児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「児童とのスキンシップを大事にしていたが、感覚がずれていた。」という弁解

わいせつ校長、懲戒免 白山市教育長、引責辞任=石川
2007.02.24 読売新聞社
 県教委によると、この校長は「日ごろから児童とのスキンシップを図っていたが、感覚がずれていた。大変反省している」と話しているという。1998年度から校長職に就いているが、わいせつ行為は今回が初めてとし、性的な興味は否定している。

http://www.mro.co.jp/news/newscontents.html?newsdate=20070223&sno=8
 これは実はうまい言い訳で、強制わいせつ罪は傾向犯ですから、外形的には同じ行為でも、一定の傾向がない場合には、成立しません。

最高裁判所昭和45年1月29日
職権により調査するに、刑法一七六条前段のいわゆる強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し、婦女を脅迫し裸にして撮影する行為であつても、これが専らその婦女に報復し、または、これを侮辱し、虐待する目的に出たときは、強要罪その他の罪を構成するのは格別、強制わいせつの罪は成立しないものというべきである。

 被害者側からすれば、同じく性的自由が害された場合でも犯人の主観で罪の成否が替わるので、納得できないところです。そういう学説もよく見かけます。

しかし、実務上、下着に手を入れる行為は、猥褻な意図であると認定されることが多いので、警察でこの言いわけが通用するとは思えません。

追記
 告訴するかしないかは、被害者が任意に決めることであって、教育長が先にこういってしまうと、子ども預けている親としては、告訴しづらくなりますよね。セクハラと同じ現象。

http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070220/eve_____sya_____012.shtml
20日会見した小丸隆同市教育長は「県教委と連携して調査を進め、厳正に対処していきたい。被害を受けた児童の心のケアを最優先していきたい」と述べた。刑事告訴はしない方針という。