児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

二重評価禁止(大阪高裁H18)

 二重評価はだめだとして、重複部分を差し引いて、量刑不当になるかどうかはまた別問題なようです。控訴審でもう一押し。

阪高裁H18
弁護人は,別途,地方裁判所における■■■■■■被告事件について被告人を懲役■■■■に処する旨の一審判決が言い渡されており,その■■■■■■被告事件の一審判決は被告人のこの種の事犯の常習性や犯罪傾向に着目して被告人の刑事費任は重いと指摘しているところ,本件○○○○○○被告事件の一審判決においても,被告人は認定された犯罪行為のみならずその属性である常習性や犯罪傾向によって刑を加重されているのであるから,量刑上不当な二重評価がなされているとして一審判決の量刑が不当である旨主張する。
そこで検討すると,なるほど上記のような常習性や犯罪傾向を刑の加重要素とすること自体は正当であるが,同一の被告人に対して,同時期に行われた類似の犯罪について,同一の事情を二重に評価してそれぞれの刑を加重することには自ずと限界があるというべきである。
本件一審判決の量刑の理由の説示中,被告人にこの種の事犯の常習性ないしは犯罪傾向が看取され,規範意識も鈍麻している旨指摘している部分は,先行してなされた■■■■■■被告事件の一審判決の説示とその内容のみならず表現までもがほぼ同一である上,被告人に対して,先行して,■■■■■■の罪により懲役■■■■に処する旨の判決が言い渡されたという事情については何ら触れられていない。
このような一審判決の措辞からは不当な二重評価を回避したことが明らかとはいい難い。そうすると,一審判決が同一の量刑事情を二重に評価している旨の弁護人の主張を排斥することは困難であるというべきである。