児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

地裁・家裁で連携してバランスを取った事例(仙台地裁・家裁)

 懲役8月というのは、量刑相場上、実刑の場合の下限あたり。
 地裁はその辺で執行猶予をつけておいて、1ヶ月後の家裁判決は地裁判決を証拠採用してその猶予が取り消されることを見越して量刑しています。
 これでもいいんじゃないでしょうか。
 しかし、後行の裁判所は、先行の判決書だけから量刑の重複をしない考慮をさせられます。

仙台地裁H××年5月○日
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
懲役08月執行猶予
1/1 買春1罪
量刑理由
被害児童に対する一連の犯行のうちで本件が特に悪質ではなく、
被告人の量刑は、最終的には別件の裁判所の判断に委ねるべき要素が強く、別件裁判所の判断を最初から不当に拘束することがないように配慮する必要がある。
被告人を実刑に処すこと長期にすることにはある程度謙抑的にならざるを得ないこのような特殊な観点を踏まえ、量刑した。 

仙台家裁平成××年6月○日
児童福祉法違反
懲役2年08月実刑
第1 1/1 A子 詐称して被告人と性交
第2 2/1 B子 被告人と性交
第3 3/1 C子 被告人と性交
第4 4/1 D子 被告人と性交
第5 5/1 E子 被告人と性交
第6 6/1 F子 被告人と性交
第7 7/1 G子 被告人と性交

量刑理由
 援助交際の約束。
 同種前科(仙台地裁H13.5)あり

 一連の児童を狙った性犯罪(児童買春罪か児童淫行罪)が分けて起訴されているので、別々に審理すると、量刑の重複・二重評価が大きくなるおそれがあります。