児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノと性犯罪

 奥村弁護士としては、児童ポルノに被害者がいるということがわかる立法に直してもらいたいところです。

青少年問題に関する特別委員会
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007316320051216004.htm
第4号 平成17年12月16日(金曜日)
会議録本文へ
平成十七年十二月十六日(金曜日)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 青少年問題に関する件(子どもの安全対策について)
     ――――◇―――――
○松本(洋)委員 自由民主党松本洋平でございます。本日は、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 先ほど来、各委員から質問が出ておりますとおり、本当にここ最近、児童をねらいました卑劣な犯罪が非常に横行をしておりまして、巷間、ちまた、ニュースを騒がせているところでございます。国民のこの児童犯罪に対しましての恐怖心というのは今まさにピークに達している、それが今の我が国の状況だというふうに思っております。
 私、今三十二歳でございます。私自身、先ほど来質問の中にも出ていましたけれども、学童保育クラブに通っておりました。私が小学校一年生、二年生、三年生、低学年だったころを考えてみますと、今十二月です、五時でももう真っ暗なそうした中を、友人と一緒に特に危険を感じることなく通っていたということを思い出すわけでございます。そうした中におきまして、今そういった子供たちがなかなか外を安心して歩けないという状況に対しまして、大変残念な思いでいっぱいであるわけでございます。
 そうした中におきまして、各委員の質問の中にもありましたとおり、今、地域ですとか、またお父さん、お母さんを中心といたしまして、一致団結いたしまして、安全、安心の町づくりを取り戻そうということで活動をされているわけでございます。もう時間も余りないものですから、これは御答弁は結構でございますけれども、政府といたしましても、こうした取り組みに対しましては万全の御支援というものをぜひとも御検討をいただきたい、そのように思っているところでございます。
 私、きょうはちょっと違う観点からぜひ質問をさせていただきたいと思っております。
 今申し上げましたけれども、私は、やはり道草というものは子供の教育にとって極めて重要なことじゃないかというふうに考えているところでございます。この道草を通しまして、先ほど土屋委員もおっしゃったとおり、自然体験学習ですとかいろいろなことを覚えるわけでございます。痛みですとかそういったものも、こうした道草を通して子供たちは大きく成長をしていくんじゃないか、私はそのように思っているところでございます。しかしながら、残念ながら、現状を見る限り、そうした道草がなかなかできない環境になってきてしまっている、それはやむを得ないことだと思います。
 しかしながら、私は、そうした地域の防犯対策、もちろんやらなければならないんですけれども、それに加えてぜひともやらなければならないことがあるんじゃないかと思っております。
 それはどういうことかと申しますと、本来、犯罪者にならなくてもよかった人間が犯罪者になってしまうような社会環境というものが、今我が国には存在しているんじゃないかということを非常に強く感じるわけでございます。実際に、この児童に対しましての犯罪、加害者の自宅等から、児童ポルノですとか、また有害図書ですとか、そういったものが数多く押収されるというようなことが、マスコミ上も報道をされているわけでございます。私は、やはりこういうもののはんらんというものが、ある意味犯罪を生み出す温床となっているんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 確かにスクールバスも大事でございます。しかしながら、そうしたスクールバスによって犯罪が全くなくなればこの国はよくなるのかといえば、私はそこで終わってはいけないと思っております。我々が目指さなければならない社会というのは、犯罪がなくなりまして、子供たちが安心して外で遊べる社会というものをつくり上げることが最終目的でなければならないというふうに思っているわけでございます。
 そうした観点から見まして、犯罪者を生み出さないそうした環境をつくるために、私は、ちまたにはんらんする児童ポルノ、また有害図書が容易に手に入るような、こういった社会環境を何とかしていかなければならないと考えているところでございますけれども、これに対しましての内閣府の現状認識、またその取り締まりにつきましての警察庁の見解というものをぜひともお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山口副大臣 松本委員の最初の、三十二歳、道草、私は五十七歳でありますけれども、小学校に通うころは、行きは三十分、帰りは一時間で、仲間を跳べない川を跳ばして親から怒られたり、そういう記憶を今思い出しました。
 今はポルノの質問でありますけれども、幼児ポルノについては、児童の尊厳を害するばかりでなく、本当に児童を性の対象としてとらえる風潮を助長することになる点で、非常に有害なものであることをまず認識しております。また、有害図書については、子供が自由に出入りできる場所では有害図書を青少年の目に触れさせないようにすることや、容易に購入できなくすることが青少年の健全な育成を推進する上で必要なことと認識をしているわけであります。
 政府としては、幼児ポルノについては、平成十一年に児童買春、児童ポルノ禁止法が通ったわけでありますけれども、この運用により規制を行っているところでありますけれども、有害図書についても、都道府県が定める青少年保護育成条例で規制がなされておりますし、地方公共団体に対しまして、条例を効果的に運用いたしまして青少年に配慮した販売方法を講ずるよう、これまでもたびたび要請はしているところであります。
 今後とも、この幼児ポルノに係る違法行為の取り締まりや、有害図書に対する適切な対策が確実に実施されるよう、政府と地方公共団体が先ほど来ありますように一体となって取り組むこと、性犯罪を初めとする青少年の犯罪被害の根絶に向けてこれからも政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
○竹花政府参考人 警察におきましては、平成十一年に制定され十六年に改正されました児童買春、児童ポルノ法を活用いたしまして、児童ポルノの製造、販売や公然陳列等の行為について、平成十六年には百七十七件を、また本年上半期では、ほぼ昨年一年分に相当いたします百七十件を検挙いたしているところでございます。
 また、青少年が性に関する有害な情報に接することは、青少年に性についての誤った認識を持たせることにもつながるものであるところ、各都道府県で制定されております青少年保護育成条例におきまして、有害図書類の青少年に対する販売の禁止あるいは区分陳列について規定されております。関係業界による取り組みが行われておりますが、警察といたしましても、有害図書類を十八歳未満の者に販売するなどの行為について、平成十六年には百二十六件を検挙いたしているところでございます。
 近年のインターネットの普及等の問題もございます。違法有害情報対策を推進して、犯罪を助長する児童ポルノや性に関する有害情報のはんらん状況についても警察としても十分な関心を持ちまして、取り締まり等の対処をしてまいりたいと考えております。
○松本(洋)委員 政府、地方一体となってお取り組みをされているという御答弁でございました。
 しかしながら、ぜひとも現実というものをより一層認識をしていただきたいというふうに思っております。それは、何よりもこうした犯罪が起き続けている、そして、そうした犯罪者のお宅からはやはりこういったものが押収されている、そこの事実というものをぜひともより一層認識をしていただきたい。そして、必要とあらば、私は、やはり規制の強化、取り締まりの強化というものをより一層推進していかなければならない重要な問題ではないかというふうに思っておりますので、その点に関しましても、ぜひとも強力な推進をよろしくお願い申し上げます。
 また、こうした児童をねらった犯罪を考えたときに、私が強く感じますのは、性に対する意識の希薄さといいますか、短絡的かつ安直にだんだん日本人の心というのがなってきて、倫理観の喪失といったものを強く感じる次第でございます。
 何でこういう国になってしまったのかなということを考えてみましたときに、もちろん、さまざまな要因が考えられるわけではございますけれども、しかしながら、私が感じるのは、やはり今の日本の教育というものに問題が潜んでいるのではないかとも私自身は思うところでございます。
 先ほども話がありましたけれども、二十歳そこそこの人間がそういった事件を起こしてしまったりというようなことが多いわけでございまして、ある意味、戦後の教育、問題はいろいろありますけれども、そういった教育を受けてきた世代からそうした事件を起こす犯罪者が非常にふえてきているような印象が私にはあるわけでございます。
 そうした教育の中で、私が非常に大きな問題になっているんじゃないかというふうに思っているのは、やはり学校教育の現場におきまして過激な性教育等が行われることによりまして、性に対しての倫理観の喪失、そういったものが生まれていることが原因の一因になっているんじゃないかというふうに私は感じているところでございます。
 そこで、ぜひ文部科学省にお伺いをしたいんですけれども、こうした過激な性教育などによりまして犯罪がふえているんじゃないかという私のこの思いに対しましての考え方、そして取り組みにつきましての御見解をぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 文部科学省におきましては、学習指導要領にのっとり、児童生徒の発達段階に沿った時期と内容で実施することや、保護者、地域の理解を得ながら進めること、そういったことを性教育に取り組む上での基本的な考え方といたしまして、各種の研修会の開催等により周知を図っているところでございます。
 文部科学省におきましては、これまでの性教育の指導に加えまして、本年度、公立の義務教育諸学校を対象とした実態調査をするなど、その実態把握に努めているわけでございまして、今後とも適切な性教育が実施されるよう努めてまいりたいと思っているところでございます。
 今お話がありましたいわゆる過激な性教育との関係につきましては、私ども、明確にお答えするということは困難であると考えておりますけれども、いずれにいたしましても、性教育は、科学的な知識を理解させるということのみならず、情報への適切な対処でございますとか、異性についての正しい理解を深め、相手の人格を尊重するということも目的としているわけでございますので、そのようなことを踏まえて性教育を進めていくことが大事であろうかと考えているところでございます。
○松本(洋)委員 今回のこうした児童を対象にいたしました犯罪のその根本的な問題がどこにあるのかというのは、議論が分かれるところだというふうに思っております。しかしながら、もう時間もございませんので最後に一言だけ申し上げさせていただこうと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、我々が目指すべき姿というものは、単に犯罪がなくなればいいというものではないということだけ、ぜひとも強く申し上げたいと思っております。その先にある、子供たちが安心して外で遊べる社会をつくるために我々は今何をしていかなければならないのかということを強く意識していかなければならないわけでございます。
 そうした観点に立ちまして、こうした問題点の根本的な原因が一体どこにあるのか、ぜひともより一層御議論をいただきたいというふうに思っておりますし、そうした問題意識に基づきました解決策というものも、ぜひとも全力をもって取り組んでいただきたい、そのように思っているところでございます。
 私自身も、一生懸命頑張りまして、そうした取り組みに御協力をさせていただく。私が小学生のころ自分自身が体験したように、道草を通しましてさまざまな体験学習をする機会というものをぜひとも子供たちに与えてほしい、そして、そういった社会が実現できなければ活力ある社会というものを我が国が取り戻すことはできない、そのように考えておりますことを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
・・・・

○石井(郁)委員 担当大臣にお越しいただきましたので、最後に一問お伺いさせていただきます。
 私は、こうした問題、通学路の点検、防犯ブザー、さまざまな手だてをとろうとしているわけですけれども、それでも一〇〇%安心できないというところに子供と親の不安が今高まっているかというふうに思うんですね。なぜ幼い女児がねらわれるのか、この犯罪の特質や誘因は何なのかということに目を向けなきゃいけないというふうに思っています。
 少女が犠牲になるという共通項なんですよね。新聞報道あるいは裁判の事例などから見ても、アダルトビデオとかあるいはアダルト雑誌等々の影響が言われているわけですね。また、児童ポルノがはんらんしています。そこでは本当に女児を傷つけることが、もうむごたらしい映像が流されているわけですよ。
 これは、最近ではインターネットサイトの問題がございます。家庭にまで入り込んでいるんですね。だれでもアクセスできる。実は私も本当に引いてみて、もうとてもとても見るにたえない。これはあるサイトですけれども、アダルトロリータの検索という結果を見ますと八十九万件だと。これは一つのサイトだそうですから、もっともっといろいろある。それはもう本当に、裏ビデオとか言われるような、そのもの自身がインターネット、目の前であらわれてくるわけですね。ここでは、私は女性でもありますが、女性を性的なものとしか見ていない。そして、暴行し傷つけるという、命を奪うことが許容されている、こういうのが流されているわけですね。
 日本のポルノ産業というのは数兆円だと言われております。だから、児童ポルノがこれほど野放しになっている異常さ、こんな国というのは本当にあるんだろうかというふうに思うわけでございます。
 そこで、最後に大臣に、今度女性の担当大臣でございますし、このような実態をどのように見ていらっしゃるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○猪口国務大臣 児童ポルノにつきましては、これは児童の権利の侵害に当たることであり、絶対に許すことができないということは言うまでもございません。非常に深刻な問題であると認識しております。
 そのようなことがないように、徹底的な施策を推進していきたいと思いますけれども、インターネット上の有害情報につきましては、関係業界に対しまして、フィルタリングの普及促進など、こういう側面からも要請してきているわけですけれども、一層その努力を強くしてまいります。
 また、新たな技術開発におきまして、やはり青少年に配慮した自主的な対応、そのようなことも一層引き出していきたいと考えております。
 児童買春、児童ポルノ禁止法の厳正な運用により規制を行ってきたところでございますけれども、その取り組みを一層強化していきたいと当然ながら考えております。