児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

巡査長、高1少女と性関係=「独身」とうそ、書類送検へ−大阪府警(時事通信)

 「青少年が健やかに育つことは、府民すべての願いである」という趣旨です。これを踏まえて反省してください。

 なお、大阪府条例では、
   専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、
という絞りが掛かっています。
 (準)強姦・(準)強制わいせつに至らない程度に限ります。

http://newsflash.nifty.com/news/ts/ts__jiji_30X901KIJ.htm
 大阪府警警備部の巡査長(31)が同僚の結婚式で知り合った高校1年の少女(16)に、既婚なのに「彼女がいない」とうそを言いホテルで性的関係を持ったとして・・・

大阪府青少年健全育成条例
   前 文
 青少年が健やかに育つことは、府民すべての願いである。われわれは、青少年自らが、たくましい自立の力、やさしい心、豊かな創造性を身につけて、互いに助けあい、社会の発展と人類の幸福に貢献する人間に成長することを心から希望し、期待する。
 同時に、青少年を取り巻く環境が大きく変化する中で、彼らをささえ、みちびくことは、社会全体の責務であることを改めて自覚するものである。
 われわれは、大阪の誇る自由と進取の伝統を大切にしつつ、府民のすべてが、それぞれの立場で心身ともに健やかな青少年を育成することに努力したい。
 ここに新たな決意をもつて、この条例を制定する。
   第3章 青少年の健全な成長を阻害する行為の禁止
(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第23条 何人も、次に掲げる行為を行つてははならない。
 (1) 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
 (2) 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
 (3) 性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。
 (4) 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。


追記051002
http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/20051002/p3の疑問に寄せて追加情報。

大阪府解説書
<解 説>
1現代社会においては、「高校生売春」など青少年の性を欲望の対象として取り扱う大人の背徳的行為が跡を断たない。その影響で、青少年の闇に性の乱れが大きな問題になるとともに、このような行為を契機として、家出や覚せい剤中毒、職業的売春婦などに転落していく青少年も数多く見受けられる。本条は、このような実態に鑑み、青少年の性をもてあそぶ心ない大人から青少年を保護するとともに、青少年に正しい性意識を持たせる一助とするため設けられたものである。
また、運用に当たって、プライバシーその他の人権を不当に侵害することのないよう、その構成要件の明確化に努め、取り締まり対象行為を、その動機や手段において、社会的に非難を浴びるような典型的な四つの性的行為に限定したところである。

大阪府青少年健全育成条例の運用について(大阪府警例規
11 みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止(第23条関係)
(1) 本条違反は、何人も青少年に対し第1 号から第4 号までのいずれかに該当する性行為又はわいせつな行為(以下「性的行為」という。)を行うことによつて成立する。
(2) 各号の規定は、反祉会性の強い性的行為を具体的に条文に盛り込んだものであるが、男女の関係は、極めて微妙な判断を要するので、事件処理を行うときは本条の趣旨、目的をよく理解し、性的行為等に至った経緯、態様、可罰性、妥当性等を総合的に検討すること。
(6) 本条第2号は、専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫するなどにより当該青少年に対し性的行為を行うことであり一般的には「専ら」でないことを縷々弁解するものと予想されるので、性的行為に至る経緯、状況等から「専ら」性的欲望を満足させる目的であつたか否か判断する必要がある。
ア「威迫し」とは、暴行又は脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により心理的威圧を加えて相手方に不安の念を抱かせ、自由な判断力を低下させることをいう。
イ「困惑させて」とは、借金の返済を厳しく迫つたり、雇用関係、職場における上司と部下の関係等の特殊な関係を利用して義理人情の機敏につけ込むことなど、心理的な圧迫を加え、精神上の自由な判断力を低下させることをいう。

なお、「困惑」とか「欺罔」というのは、売春防止法7条1項に見られる文言です。

売春防止法
第7条(困惑等による売春)
人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 人を脅迫し、又は人に暴行を加えてこれに売春をさせた者は、三年以下の懲役又は三年以下の懲役及び十万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

  判例刑法研究8特別刑法の罪「売春防止法
  注釈特別刑法第8巻 児童福祉法 売春防止法p714
  古川龍一刑事裁判実務大系3風俗営業・売春防止「対償の収受等」
などによれば、
詐欺罪の「欺罔」と同じ。