児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

MXの経由プロバイダは「特定電気通信」に該当する(東京地裁H17.8.9)

 mxは1対1。

http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/c1eea0afce437e4949256b510052d736/f6b746a854c46865492570580024487d?OpenDocument
(3) 経由プロバイダを通じたWinMX送信について
ア 被告らは、たとえ送信側ユーザーからみてWinMXによる送信が「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信」に該当したとしても、経由プロバイダにとってみれば当該送信は個別のIPアドレスによって明確に定まっており、「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信」には該当しないと主張する。
 被告らの主張するとおり、WinMXに限らず経由プロバイダが行う電気通信は、送信者のコンピュータから経由プロバイダの用いる電気通信設備に入力された電子情報を、送信の際に指定されたIPアドレスが割り当てられた受信者のコンピュータに送信するのみであって、経由プロバイダの視点を基準とした場合、送信者から受信者に対する電子情報の送信は1対1でなされる電気通信であることは否めない。
イ しかしながら、経由プロバイダが行う情報の送信は送信者と受信者の通信を「媒介」するものにすぎず、送信者とは異なる独自の目的に基づいて行われるものではないから、法2条1号にいう「特定電気通信」に該当するか否かは、送信者から経由プロバイダを経由して受信者に至るまでの通信全体を1個のものとして包括的に評価すべきものであるし、同号の文字からすると、その評価はもっぱら送信の目的が不特定の者によって受信されることにあるか否かによって決すべきものと考えられる。そうすると、経由プロバイダ自体の送信行為の態様やその目的のいかんにかかわらず、送信者の送信目的が同号に該当するものである以上、送信者から受信者に至るまでの通信全体が同号にいう「特定電気通信」に該当すると解すべきこととなる。