児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

MXユーザーからの電話相談

 最近は、無料電話相談の依頼は受付レベルでお断りしているのですが、時々、巧みにくぐり抜けてくる電話もあって、たいていの場合不快です。
 こっちから電話切るわけにもいかんしな。無愛想だと言われないようにかつなるべく深入りしないように。
 MXのユーザーってこんな感じですか?

電話の主
  愛知県の山田といいますが、
  winmx著作権侵害だとか告訴だとか言われそうだ。
  著作権侵害になるというのは本当か?

弁護士
  事実関係を調べないとわからないが、
  著作権侵害の可能性はあるでしょうね。刑事事件でMXでの侵害事例を扱ったこともある。
  告訴する著作権者もいるでしょうね。

電話の主
  同人誌でも著作権はあるのか?

弁護士
  事実関係を調べないとわからないが、
  同人誌も著作物の要件を充たせば「著作物」であって
  「著作権者」がいる可能性はあります。

電話の主
  損害賠償額は500万円だとか言われているが、そんなに高いのか?
  20万円くらいにならないのか?

弁護士
  被害規模は
  事実関係を調べないとわからないが、
  著作権侵害の場合は、損害がそれくらいになる可能性もある。
  20万円になるかどうかはわからない。

電話の主
  20万円払って示談して、刑事告訴もさせないという解決はできないか?

弁護士
  事実関係を調べないとわからないが、
  事実関係と相手方によっては、そういう解決になる可能性もあるでしょうね。

電話の主
  民事で弁償の交渉をしているのに、告訴なんてしていいのか?

弁護士
  事実関係を調べないとわからないが、
  著作権侵害の事実がある場合に、民事の賠償請求と刑事告訴とは、著作権者の自由選択だと思いますよ。

電話の主
  名古屋の弁護士は告訴なんてできない。って言ってたぞ。

弁護士
  告訴を制限する理屈はないと思います。
  その弁護士にやってもらえばいいんじゃないですか?

電話の主
  さっきから「事実関係を調べないとわからないが、」「事実関係を調べないとわからないが、」って、
  弁護士なのにそんなことわからないのか?

弁護士
  いきなり電話されても、事実関係なんてわかりませんから。
  無料法律相談は受けていないので、 
  個別事案については、「有料法律相談」になります。
  相談料をいただいて「法律相談」ということでお話をうかがって、
  その上で受任するかどうか・受任条件(着手金・費用)を決めています。  
  愛知県なら弁護士も多いので、予約を取って相談してはどうでしょう。
  
電話の主
  困っている人を助けるのが弁護士なのに、困っている人から金を取るのか?

弁護士
  それは貴殿のお考えですね。
  無料で、貴殿から細かい事実を聞いて、相談に応じてくれる弁護士もいるかもしれないが、
  私にはその余裕がない。

電話の主
  らちがあかない。
  もう頼まない。

弁護士
  ・・・・・

[児童ポルノ・児童買春]わいせつ図画販売罪と児童ポルノ提供罪
 不特定多数の者にわいせつ図画かつ児童ポルノを販売すると、わいせつ図画販売罪と児童ポルノ提供罪になるわけですが、両罪は微妙に違うので、新たな争点の予感。

児童ポルノ提供等)
第七条
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

 児童ポルノかわいせつ図画を販売した場合の行為は次のように分析できる。

売主→買主 広告・メール=申込の誘引
    ↓   
買主→売主 申込
    ↓
売主→買主 承諾=売買契約成立
    ↓
買主→売主 代金振込
    ↓
売主→買主 発送=わいせつ図画販売罪・児童ポルノ販売罪・児童ポルノ提供罪着手
    ↓
不在配達(郵便局・宅配業者に留置)=児童ポルノ提供罪既遂
    ↓
買主 受領=わいせつ図画販売罪既遂・児童ポルノ販売罪既遂

 わいせつ図画にしても、児童ポルノにしても、有体物が移動するのが罪の本質だから、発送時点が実行の著手でしょう。そこまでは販売(提供)目的所持で評価する。
 既遂時期について考えると、わいせつ図画販売の既遂時期は、買主の受領の時。旧法の児童ポルノ販売罪の既遂時期は、買主の受領の時。現行法の児童ポルノ提供罪の既遂時期は、買主において利用可能になった時(不在配達の連絡を受けた時)。
 とすると、児童ポルノ提供罪が既遂になっても、わいせつ図画販売罪は未遂だという時点がある。
 児童ポルノ提供罪の訴因で「受領」まで記載すると余事記載になるおそれがある(「有償性」も記載すると余事記載になるおそれがある)。