児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

米で児童ポルノ摘発、日本人関与も

 検索がえらい増えましたが、身に覚えがある方が多いんでしょうか?

http://news.tbs.co.jp/headline/tbs_headline1132644.html
 ワイオミング州の捜査当局だそうですよ。FBIとか、ボーダーパトロールとかも捜査権があります。

 児童ポルノの公然陳列罪だとして
自首でもして、日本で裁判受ければ執行猶予。罰金の事例もある。
もし、引き渡されてアメリカで裁判受けることになれば重罪。執行猶予はつかないということにもなりかねない。"5 to 20 years for a first offense, for between 15 and 40 years for persons with certain prior offenses"っていうんだから。

 欧米の共同作戦の時は、自殺者が続出したようですが、幸い、ここは日本ですから早まったことはしないでくださいよ。


 連邦法とか引き渡し条約とか調べておきます。アメリカは併合罪は加算するんですよね。

http://www.usdoj.gov/criminal/ceos/obscenity_stats.html
18 USC § 1466A
Obscene visual representations of the sexual abuse of children.
Penalties: For production, distribution, or receipt or possession with the intent to distribute: imprisonment for 5 to 20 years for a first offense, for between 15 and 40 years for persons with certain prior offenses, and a fine of up to $250,000; for possession: imprisonment for up to 10 years for a first offense, for between 10 and 20 years for persons with certain prior offenses, and a fine of up to $250,000.

量刑基準
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20041231/1107130497

逃亡犯罪人引渡法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28HO068.html

 逃亡犯罪人引渡法によれば、日本国民は引き渡されないが、個別条約で例外があるかもしれない。

(引渡に関する制限)
第二条  左の各号の一に該当する場合には、逃亡犯罪人を引き渡してはならない。但し、第三号、第四号、第八号又は第九号に該当する場合において、引渡条約に別段の定があるときは、この限りでない。
一  引渡犯罪が政治犯罪であるとき。
二  引渡の請求が、逃亡犯罪人の犯した政治犯罪について審判し、又は刑罰を執行する目的でなされたものと認められるとき。
三  引渡犯罪が請求国の法令により死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑にあたるものでないとき。
四  引渡犯罪に係る行為が日本国内において行なわれたとした場合において、当該行為が日本国の法令により死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に処すべき罪にあたるものでないとき。
五  引渡犯罪に係る行為が日本国内において行われ、又は引渡犯罪に係る裁判が日本国の裁判所において行われたとした場合において、日本国の法令により逃亡犯罪人に刑罰を科し、又はこれを執行することができないと認められるとき。
六  引渡犯罪について請求国の有罪の裁判がある場合を除き、逃亡犯罪人がその引渡犯罪に係る行為を行つたことを疑うに足りる相当な理由がないとき。
七  引渡犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。
八  逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪以外の罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について逃亡犯罪人が日本国の裁判所において刑に処せられ、その執行を終らず、若しくは執行を受けないこととなつていないとき。
九  逃亡犯罪人が日本国民であるとき。

 日米には日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約があって、付表には明文として「児童ポルノ罪」はない。「わいせつ物」が微妙。
 弱気な弁護士としては、
   児童ポルノ罪でアメリカ当局に引き渡される可能性は否定できない
と結論しておきます。

http://homepage1.nifty.com/arai_kyo/intlaw/docs/jap-us-extradit.htm
第二条
1 引渡しは、この条約の規定に従い、この条約の不可分の一部をなす付表に掲げる犯罪であつて両締約国の法令により死刑又は無期若しくは長期一年を超える拘禁刑に処することとされているものについて並びに付表に掲げる犯罪以外の犯罪であつて日本国の法令及び合衆国の連邦法令により死刑又は無期若しくは長期一年を超える拘禁刑に処することとされているものについて行われる。
  前記犯罪の一が実質的な要素をなしている犯罪については、合衆国政府に連邦管轄権を認めるために州際間の輸送又は郵便その他州際間の設備の使用が特定の犯罪の要件とされている場合であつても、引渡しを行う。
2 引渡しを求められている者が1の規定の適用を受ける犯罪について請求国の裁判所により刑の言渡しを受けている場合には、その者が死刑の言渡しを受けているとき又は服すべき残りの刑が少なくとも四箇月あるときに限り、引渡しを行う。
第三条
  引渡しは、引渡しを求められている者が被請求国の法令上引渡しの請求に係る犯罪を行つたと疑うに足りる相当な理由があること又はその者が請求国の裁判所により有罪の判決を受けた者であることを証明する十分な証拠がある場合に限り、行われる。
第四条
1 この条約の規定に基づく引渡しは、次のいずれかに該当する場合には、行われない。
 (1)引渡しの請求に係る犯罪が政治犯罪である場合又は引渡しの請求が引渡しを求められている者を政治犯罪について訴追し、審判し、若しくはその者に対し刑罰を執行する目的で行われたものと認められる場合。この規定の適用につき疑義が生じたときは、被請求国の決定による。
 (2)引渡しを求められている者が被請求国において引渡しの請求に係る犯罪について訴追されている場合又は確定判決を受けた場合
 (3)日本国からの引渡しの請求にあつては、合衆国の法令によるならば時効の完成によつて引渡しの請求に係る犯罪について訴追することができないとき。
 (4)合衆国からの引渡しの請求にあつては、次のいずれかに該当する場合であつて、日本国の法令によるならば時効の完成その他の事由によつて引渡しの請求に係る犯罪について刑罰を科し又はこれを執行することができないとき。
 (a)日本国が当該犯罪に対する管轄権を有するとした場合
 (b)日本国がその管轄権を現に有しており、かつ、その審判が日本国の裁判所において行われたとした場合
2 被請求国は、引渡しを求められている者が引渡しの請求に係る犯罪について第三国において無罪の判決を受け又は刑罰の執行を終えている場合には、引渡しを拒むことができる。
3 被請求国は、引渡しを求められている者が被請求国の領域において引渡しの請求に係る犯罪以外の犯罪について訴追されているか又は刑罰の執行を終えていない場合には、審判が確定するまで又は科されるべき刑罰若しくは科された刑罰の執行が終わるまで、その引渡しを遅らせることができる。


第五条
  被請求国は、自国民を引き渡す義務を負わない。ただし、被請求国は、その裁量により自国民を引き渡すことができる。
付表
1 殺人、傷害致死又は重過失致死(自殺の教唆又はほう助を含む。)
2 人を殺す意図をもつて行われた暴行
3 悪質な傷害、重過失致傷又は暴行
4 堕胎
5 遺棄致死傷
6 略取、誘かい又は不法な逮捕若しくは監禁に関する罪
7 脅迫
8 強かん、強制わいせつ
9 いん行勧誘又は売春に関する罪
10 わいせつ物に関する罪
11 重婚
12 住居侵入
13 強盗
14 窃盗
15 恐かつ
16 詐欺(欺もう的手段により財物、金銭、有価証券その他の経済的価値を有するものを取得すること)
17 横領、背任
18 ぞう物に関する罪
19 財物、文書又は施設の損壊に関する罪
20 工業所有権又は著作権の保護に関する法令に違反する罪
21 暴行又は脅迫による業務妨害
22 放火、重過失による失火
23 騒じようの主導、指揮又はせん動
24 公衆の健康の保護に関する法令に違反する罪
25 激発力、水力その他の破壊的手段により公共の危険を生じさせる罪
26 国際法上の海賊
27 列車、航空機、船舶その他の交通手段の不法な奪取又は管理に関する罪
28 列車、航空機、船舶その他の交通手段の正常な運行を妨げ又はこれに危険を生じさせる罪
29 爆発物、火炎装置又は危険な若しくは禁止された武器の規制に関する法令に違反する罪
30 麻薬、大麻向精神薬若しくはコカイン又はそれらの原料若しくは派生物その他の危険な薬品若しくは化学製品の規制に関する法令に違反する罪
31 毒物その他の健康に有害な物質の規制に関する法令に違反する罪
32 偽造に関する罪
33 とばく又は富くじの規制に関する法令に違反する罪
34 公務執行妨害、職務強要
35 虚偽報告に関する罪
36 偽証に関する罪
37 この条約の第二条1に規定する犯罪を行つたことによつて拘禁され又は刑に服している者の逃走に関する罪
38 犯人蔵匿、証拠隠滅その他の司法作用の妨害に関する罪
39 贈賄、収賄
40 職権濫用に関する罪
41 公職の選挙又は政治資金の規制に関する法令に違反する罪
42 脱税に関する罪
43 会社その他の法人の規制に関する法令に違反する罪
44 破産又は会社更生に関する法令に違反する罪
45 私的独占又は不公正な商取引の禁止に関する法令に違反する罪
46 輸出入又は資金の国際移動の規制に関する法令に違反する罪
47 前記の各罪の未遂、共謀、ほう助、教唆又は予備

おりしも

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/17/rls_0125a.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty159_13.html
「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」の批准書の寄託について
平成17年1月25日
わが国は、1月25日(火)(現地時間1月24日(月))、ニューヨーク(国際連合本部)において、「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」の批准書を国連事務総長に寄託した。この選択議定書は、批准書の寄託の日の後一箇月となる本年2月24日、わが国について効力を生じることとなる。
この議定書は、平成12年5月に国連総会において採択されたものであり、性的搾取等から児童を保護するため、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに係る一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪人引渡し、国際協力等を主な内容としている。


http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20050215/1108460426

[児童ポルノ・児童買春]アメリカで児童ポルノに詳しい弁護士を紹介して欲しい。
最近、そんなメールばっかりです。
気の早いご質問です。しかも「無料で紹介してください。」と。
 大阪の弁護士なので、アメリカまでは知りません。
 アメリカでは重罪だから、きっと敏腕弁護士がいるよ。きっと。
 突き放すのも気の毒なので、日本の弁護士としてできることといえば、自首するなりして法定刑の軽い日本で刑事処分を受けることしか思いつかない。
 在宅捜査でも取調は長くなるし、積極的な資料収集も必要なので、ちゃんと弁護士に着手金を払って、弁護人として選任して、払った分働いてもらってください。