重い方にまとめて評価するという方法もありますが、包括評価は避けるべきだと考えています。
よくあるのが、
児童ポルノ該当総数 100枚
1号 50枚
2号 30枚
3号 20枚
という捜査報告書ですが、奥村弁護士が判定すると、1枚の写真が、1号兼2号となったりするので、重複する場合もバラバラにカウントして、
児童ポルノ該当総数 100枚
1号 50枚
2号 80枚
3号 90枚
になります。
この方が、被害の実態を忠実に反映しているでしょ。
傷害事件なら、同一被害者VS同一犯人でも、頭を殴られた、腹を蹴られた、腕を折られた・・・とか、2回殴った、2回殴ったとかって、同じ傷害でも一々カウントするでしょ。それと同じ。
(3) 1号又は2号又は3号複合形態の場合
法が、児童ポルノの定義を1〜3号に区別した結果、複数の号に該当する場合が生じる。その場合はどのように規律すべきであろうか。
総論的にいえば、本法の保護法益を忠実に保護しようとすれば、すべての号の児童ポルノ該当性を認めて、罪数問題として処理すべきである。
① m号該当場面とn号該当場面とが別個にある場合シーン1 1号ポルノ
シーン2 3号ポルノ
シーン3 2号ポルノこれは条文通り、m号該当場面はm号児童ポルノであって、n号該当場面はn号児童ポルノであるからm号該当場面はm号児童ポルノと認定し、n号該当場面はn号児童ポルノと認定し、罪数処理の手順で処理すべきである。
当然、1本の写真集ないしビデオ等のうち、m号該当場面とn号該当場面をより分ける作業が必要となるが、法は保護法益侵害の態様別に分けて規定しているのであって、m号該当場面についてm号児童ポルノ該当性が認められたからといって、n号該当場面について認定を欠けばn号児童ポルノとしては処罰できないのは当たり前であり、これはさけられない作業である。
児童ポルノの場合、構成要件の性格上、このような細かい事実認定作業が必要になる。② m号該当場面とn号該当場面とが同一の姿態としてある場合
例としては「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為」(1号)を行いつつ「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為」(2号)を行い、かつ「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」(3号)が描写されている場合である。
1号+2号+3号という合成的構成要件はないから、この場合もm号該当場面はm号児童ポルノであって、n号該当場面はn号児童ポルノであるからm号該当場面はm号児童ポルノと認定し、n号該当場面はn号児童ポルノと認定し、罪数処理(観念的競合か包括一罪か)の手順で処理すべきである。
法は保護法益侵害の態様別に分けて規定しているのであって、m号該当場面についてm号児童ポルノ該当性が認められたからといって、n号該当場面について認定を欠けばn号児童ポルノとしては処罰できないのは当たり前であり、これはさけられない作業である。
児童ポルノの場合、構成要件の性格上、このような細かい事実認定作業が必要になる。