児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

1号又は2号又は3号複合形態の場合の擬律

 重い方にまとめて評価するという方法もありますが、包括評価は避けるべきだと考えています。
 よくあるのが、
  児童ポルノ該当総数  100枚
         1号   50枚
         2号   30枚
         3号   20枚
という捜査報告書ですが、奥村弁護士が判定すると、1枚の写真が、1号兼2号となったりするので、重複する場合もバラバラにカウントして、
  児童ポルノ該当総数  100枚
         1号   50枚
         2号   80枚
         3号   90枚
になります。
 この方が、被害の実態を忠実に反映しているでしょ。
 傷害事件なら、同一被害者VS同一犯人でも、頭を殴られた、腹を蹴られた、腕を折られた・・・とか、2回殴った、2回殴ったとかって、同じ傷害でも一々カウントするでしょ。それと同じ。

(3) 1号又は2号又は3号複合形態の場合
 法が、児童ポルノの定義を1〜3号に区別した結果、複数の号に該当する場合が生じる。その場合はどのように規律すべきであろうか。
 総論的にいえば、本法の保護法益を忠実に保護しようとすれば、すべての号の児童ポルノ該当性を認めて、罪数問題として処理すべきである。
① m号該当場面とn号該当場面とが別個にある場合

シーン1  1号ポルノ
シーン2  3号ポルノ
シーン3  2号ポルノ

 これは条文通り、m号該当場面はm号児童ポルノであって、n号該当場面はn号児童ポルノであるからm号該当場面はm号児童ポルノと認定し、n号該当場面はn号児童ポルノと認定し、罪数処理の手順で処理すべきである。
 当然、1本の写真集ないしビデオ等のうち、m号該当場面とn号該当場面をより分ける作業が必要となるが、法は保護法益侵害の態様別に分けて規定しているのであって、m号該当場面についてm号児童ポルノ該当性が認められたからといって、n号該当場面について認定を欠けばn号児童ポルノとしては処罰できないのは当たり前であり、これはさけられない作業である。
 児童ポルノの場合、構成要件の性格上、このような細かい事実認定作業が必要になる。

② m号該当場面とn号該当場面とが同一の姿態としてある場合
 例としては「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為」(1号)を行いつつ「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為」(2号)を行い、かつ「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」(3号)が描写されている場合である。
 1号+2号+3号という合成的構成要件はないから、この場合もm号該当場面はm号児童ポルノであって、n号該当場面はn号児童ポルノであるからm号該当場面はm号児童ポルノと認定し、n号該当場面はn号児童ポルノと認定し、罪数処理(観念的競合か包括一罪か)の手順で処理すべきである。
 法は保護法益侵害の態様別に分けて規定しているのであって、m号該当場面についてm号児童ポルノ該当性が認められたからといって、n号該当場面について認定を欠けばn号児童ポルノとしては処罰できないのは当たり前であり、これはさけられない作業である。
 児童ポルノの場合、構成要件の性格上、このような細かい事実認定作業が必要になる。