児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ・わいせつ図画の罪数 鳥取地裁H13.8.28

 包括一罪説。
 結局、わいせつ図画罪で串刺しされて1罪になる事例です。
 なお、当初訴因では、販売罪なのに、物が購入者に到達していることが主張されてなかった(それでは販売罪は成立しない)ので、その救済の趣旨の訴因変更も行われています。

当初訴因
1 H13.4.20 児童ポルノ販売+わいせつ図画販売
2 H13.5.16 児童ポルノ所持

変更後
1 H13.4.20 児童ポルノ販売+わいせつ図画販売
2 H13.5.16 児童ポルノ所持+わいせつ図画所持
3 H13.4.18 児童ポルノ販売+わいせつ図画販売
4 H13.4.19 児童ポルノ販売+わいせつ図画販売
5 H13.4.25 児童ポルノ販売+わいせつ図画販売
6 H13.4.30 児童ポルノ販売+わいせつ図画販売

鳥取平成13年8月28日
(罪となるべき事実)
 被告人は,
1 平成13年4月19日ころ,代金合計1万円を前払いしたFに対し,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したビデオカセットテープ1本及び男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ4本を,被告人自宅から,宅配便で,上記Fが指定した横浜市所在のF方にあて発送し,同月20日ころ,これをFに受け取らせ,もって,児童ポルノ及びわいせつな図画をそれぞれ販売し
2 販売の目的で,同年5月16日ころ,上記被告人自宅において,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したビデオカセットテープ9本及びCD−R6枚,18歳未満の児童を相手方とする又は児童による性交類似行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したビデオカセットテープ2本及びCD−Rl枚,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写し,かつ,これとは別に男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ3本及びCD−R3枚,男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ304本及びCD−R218枚を所持し,もって,販売の目的で児童ポルノ及びわいせつな図画をそれぞれ所持し
3 同年4月18日ころ,代金合計1万2000円を前払いしたIに申し,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写し,かつ,これとは別に男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ1本及び男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ5本を,上記被告人自宅から,宅配便で,上記Iが指定した大阪府にあて発送し,同月19日ころ,これを上記Iに受け取らせ,もって,児童ポルノ及びわいせつな図画をそれぞれ販売し
4 同月19日ころ,代金合計1万2000円を前払いしたJに対し,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したビデオカセットテープ1本,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により謬識することがでる方法により描写し,かつ,これとは別に男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ1本及び男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ4本を,上記被告人自宅から,宅配便で,大阪府上記J方にあて発送し,同月21日ころ,これを上記Jに受け取らせ,もって,児童ポルノ及びわいせつな図画をそれぞれ販売し
5 同月25日ころ,代金合計1万2000円を前払いしたSに対し,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写し,かつ,これとは別に男女の性交場面等を露骨に撮影収録したCD−Rl枚及び男女の性交場面等を露骨に撮影収録したCD−R5枚を,上記被告人自宅から,宅配便で,上記Sが指定した大津市所在の株式会杜にあて発送し,同月26日ころ,これを上記Sに受け取らせ,もって,児童ポルノ及びわいせつな図画をそれぞれ販売し
6 同月30日ころ,代金合計2万6000円を前払いしたTに対し,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したビデオカセットテープ2本,衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写し,かつ,これとは別に男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ1本及び男女の性交場面等を露骨に撮影収録したビデオカセットテープ10本を,上記被告人自宅から,宅配便で,大津市上記T方にあて発送し,同年5月1日ころ,これを上記Tに受け取らせ,
もって,児童ポルノ及びわいせつな図画をそれぞれ販売したものである。

(弁護人の主張に対する判断)
 所論は要するに,児童ポルノの罪は被撮影者の個人的法益に対する罪であるとし,これを前提として,
(1)本件訴因変更は公訴事実の同一性がないから許されず,変更後の訴因2ないし6は審判の対象になっていない。
などと言うのである。
ところで,児童ポルノ(児童回春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の俸護等に関する法律2条3項に定義された児童ポルノをいう。)を販売等する行為は,児童ポルノに描写された児童の心身に有害な影響を与えるのみならず,このような行為が社会に広がるときには,児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長することになるとともに,身体的及び精神的に未熟である児童一般の心身の成長に事大な影響を与えるものであるから,かかる行為を規制,処罰することとしたものであって,対象とされた児童の保護を主たる目的としているとはいえ,このことから当然に被撮影者の児童1名につき1罪が成立するものではなく,罪数を決するに当たっては,その構成要件的評価によるべきところ,児童ポルノの販売ないし販売目的による所持は,反復継続する行為を予想するものであるから,同一の意思のもとに行われる限り,個々の販売や所持は,これを包括して1罪と解するのが相当である。そうすると,本件訴因変更は適法であり,起訴状ないし訴因変更請求書において被害者数を明らかにしなかったからといって,訴因の特定に欠けるとも言えない。