児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

後藤弘子「子どものセクシャリティに対する刑事規制」21世紀における刑事規制の行方

 後藤先生の御説を主張して裁判所の反応を見たいんですが、なにせみんな略式罰金ですし、実刑になった事件でも弁護人が知識不足で主張できてません。
 児童が勧誘した場合の帰責性というのは、建前としては考慮してはだめなんですが、量刑理由に表れることも滅多にないですが、考慮されているのは当然であり、刑期において歴然としていると思います。

後藤弘子「子どものセクシャリティに対する刑事規制」
この私法的子ども観が、なぜ、買春に関しては、あたかも成人と児童の間に対等性があるかのように擬制されるのであろうか。なぜ、子どもとおとなの地位の構造的非対称性を無視して、児童買春を性的搾取ではなく、対等な合意に基づく性愛関係であると読み替えることが可能になるのだろうか。
児童買春・ポルノ処罰法にしても、児童福祉法にしても、児童は被害者として扱われている。児童が勧誘しているという現象は、あくまでも、二重の権力構造において、下位に位置しているものからの勧誘である。その意味では、その行為は、勧誘として評価できる条件を備えていない。このような勧誘を、不正勧誘行為として、処罰の対象とすることは、買うおとなに対して、「誘われた」という口実を司法過程において自らが有利になるように利用することを推奨することにつながる。
このことは、児童買春行為を禁止している児童買春・ポルノ処罰法の持つ意味を薄め、かえって、児童買春の被害を増大させることになりかねない。
また、今回の勧誘行為のとらえ方は、性犯罪において、被害者の落ち度を指摘する発想と軌を一にしている。出会い系サイト規制法のように、被害者を加害者化することで利されるのは、加害者であるおとなである。被害者を犠牲にして、加害者を利する必要性はどこにも存在しない。