児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

月刊生活指導増刊 法律・判例で考える生徒指導いじめ、体罰から出会い系サイト、児童虐待まで

 現場は混乱するでしょうね。

http://www.gakuji.co.jp/book/05712-11-2004.html
2章 「援助交際」・「出会い系サイト」と法規制
─錯綜した法にどう対応するか─ 岩下雅充

援助交際」および「出会い系サイト」をめぐる 犯罪の現状と推移
1-1犯罪に関する統計と援助交際
1-2犯罪に関する統計と出会い系サイト
1-3援助交際の動向に対する法規制の影響─学校関係者が留意すべきこと
児童買春等禁止法・出会い系サイト規制法の概要
2-1児童買春等禁止法の概要/2-2出会い系サイト規正法の概要
援助交際に対する法の態度と学校関係者の立場
―こどもの性という問題に法が介入することの難しさ
3-1今後の対応はより難しくなる?
3-2「誰が犯罪者なのか」そして「被害者は誰なのか」
3-3学校関係者のスタンス

ところが,児童買春等禁止法において被害者とされた援助交際の一方当事者は,出会い系サイト規制法の制定によって,ふたたび犯罪者として扱われる状況におちいったのである。すなわち,高校生は,出会い系サイトで援助交際に誘って性交等に及んだとき、児童買春の被害者であるのと同時に不正誘引を待った犯罪者ともなり,交錯した立場に置かれてしまうのである。.
以上から明らかなように,出会い系サイトを利用した援助交際に対しては,法の態度が錯綜している。こうした態度を生んだ原困について知るには,児童買春等禁止法および出会い系サイト規制法が制定されるまでのいきさつに注目しなければならない。
(略)
錯綜した法の態度は,法にとって援助交際の規制がとり扱いの難しい問題であることを暗示しているものと考えられよう。高校生を被害者とみるか犯罪者とみるかという違いは,第一に,こどもとおとなの関係について,上下関係の側面をより強調するか対等関係の側面をより強調するかという違いに由来している。そして第二に,性を介する人間関係の法規制にあたって,犯罪者あるいは被害者というレッテルをどのように貼るのがよいのかという考え方の違いに由来している。それぞれどの立場がよりよいのかという議論は,法の世界において今後も続けられることだろうそれでは,学校関係者はどのようなスタンスをとるべきなのだろうか。

 出会い系サイトでの不正誘引罪についても、児童は被害者であり、児童保護のために児童に罰則を設けたと説明されています。
 だれがみても矛盾するのだが。

156 - 衆 - 青少年問題に関する特別… - 6号 平成15年05月13日
○瀬川政府参考人 この出会い系サイトにおきます不正誘引でございますけれども、不正誘引のいわば問題とすべき点ということであります。
 これは大きく三つあろうかと思いますが、一つは、御質問にありましたように、当然、児童が児童買春その他の犯罪の被害者等、直接のきっかけとなるおそれはあるんだろうと思います。それから二つ目には、こういった不正誘引行為が公然と行われることによって、児童の性の商品化がどんどん助長される、そういう風潮が広がるということがあると考えられます。それから三つ目に、児童がこういったものを見たときに、これはみんながやっているんだからということで、それを見た児童も不正誘引行為をしてしまう、そういう児童の不正誘引行為を誘発をするということがあるんだろうと思います。
 こういったことから、児童一般や社会全体にとって大きな悪影響を与える極めて悪質な行為であるというふうに考えられます。
 したがいまして、この法律案は、インターネット異性紹介事業の利用に関して不正誘引はしてはならないという必要最小限度のルールを定めまして、行為者がだれであろうと、インターネットを利用する児童一般に有害で悪質な行為を禁止するというふうに考えているところでございます。
 これは、児童を含め、何人に対しましても、インターネット異性紹介事業の利用に起因する規範を確立し、児童の健全な育成を図ることができるものでありまして、何人に対しても不正誘引を禁止するということは、法の目的と何ら矛盾はないものと考えております。

156 - 参 - 内閣委員会 - 12号 平成15年06月03日
国務大臣谷垣禎一君) 今、委員が指摘されましたストックホルム宣言ですね、これは児童の商業的性的搾取を犯罪とすると、それとともに、こういう行為の犠牲となった子供を処罰しない、こういうことをうたっているというふうに理解しておりまして、児童買春、児童ポルノ法というのはそういう精神に沿って作った法律だろうというふうに理解しているわけです。
 しかし、出会い系、今回の出会い系サイトの法案は、要するに出会い系サイトに関係した子供の被害ですね、これは決して児童買春というのにはとどまらないものがあります。強姦であるとか強制わいせつとかのこういう凶悪犯罪も併せて急増しているわけでありますから、要するにこの法律は、児童、個々の児童というよりも子供一般がこういう多様な犯罪被害に遭わないようにして、それで子供の健全な育成を図ると、こういうことを目的として持っているわけで、そのために、不正誘引は、要するに不正に子供の性交等を伴う交際を誘引する、あるいは対償を伴う異性交際に誘うと、こういうのはだれがやっても危険な行為だからいけないんだと、こういうことにしたわけであります。
 ですから、この法律は、子供の性の商品化というものを、それは助長する行為ではあるけれども、児童一般が被害者となるいろんな犯罪に結び付く可能性の高い、そういう意味で反社会性というか危険性の高い行為であるこの問題を何人に対しても禁止して罰しようというわけでありまして、個々の具体的な児童買春行為の前段行為の処罰化を図ろうとするものでは必ずしもないわけであります。したがって、ストックホルム宣言と矛盾するということは私はないというふうに考えております。