児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

鎌田真理雄 デジタルコンテンツの保護制度の現状 情報管理2004年6月号p189

日本において,非中央管理型P2Pソフト提供者について.その法的責任の有無を判断した判例は筆者の知る範囲ではないと思われるが,著作権侵害自体を緩やかに解する裁判例における「管理支配性及び利益の帰属」の解釈基準からすると,中央サーバを介さない非中央管理型P2Pソフトの場合にはソフト提供者についての管理支配性の認定が難しいと思われるものの,間接侵害を認める裁判例における「条理上の注意義務違反」を広げていくと当該注意義務違反が認められるケースもあり得るのではないかと考える。

中略

著作権法第30条1項は,ベルヌ条約9条2項の「特別の場合について(1)の著作物の複製を認める権能は,同盟国の立法に留保される。ただし,そのような複製が当該著作物の通常の利用を妨げず,かつ,その著作者の正当な利益を不当に害しないことを条件とする」との条項を受けて規定されたものであるから.第30条1項の「私的使用目的の複製」の該当性判断において,ベルヌ条約の同項の趣旨も考慮にいれて,インターネット上で違法に送信可能化状態に置かれたデジタルコンテンツをダウンロードする行為は著作者の相当な利益を害すると解釈・あてはめをすることも不可能ではないと思われる。