http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/200409/contents.html
特別寄稿
Winny事件にみる 著作権侵害と幇助罪
(佐久間修/大阪大学大学院教授) <<しかし,ファイル共有ソフトを開発しただけで,ただちに自動公衆送信樺および送信可能化権の侵害に鹿びつくわけではない。例えば、犯罪に利用される道具を用意した場合にも.これを製造した行為は,幇助の準備段階にとどまるからである。例えば,製造者が自宅内で保管する意図であったならば,第三者がこれを盗み出して使ったときにも,せいぜい,管理費任を負うにとどまり,幇助犯(従犯とも呼ばれる)となるわけではない。
開発意欲が阻害される?
なるほど.一部の論者は,こうした違いを無視して,.ファイル共有ソフトの開発自体が幇助犯とされる結果,今後,ソフトの開発意欲が阻害されると主張する。しかし,そこでは,自ら開発したファイル共有ソフトを,犯罪に利用されることを承知で第三者に提供した場合には.単なる開発(作成・製造)と区別するべきではなかろうか。インターネット上の行為であっても,正犯者の実行を容易にする目的で,犯行に使う道具を提供する場合にまで.刑事責任を免れさせる理由はないからである