児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ公然陳列・警察官・依願退職

 国選弁護人は罰金を主張したようですが、量刑相場を知らないようです。
 この種事案は、執行猶予期間が長めです。そういう性癖に基く犯罪の場合には、再犯危険が高いので、長期間、自己管理・自重自戒してもらう必要があるという判断だと思います。

68画像を次々掲載した行為を1罪で処理しています。被害者の人数に着目していない点に不備があります。

社会ニュース - 10月23日(木)14時0分
千葉県警元巡査部長に有罪=児童ポルノ画像公開で東京地裁
時事通信) [10月23日14時0分更新]


東京地裁H15.10.23
懲役1年執行猶予4年
(罪となるべき事実)
被告人はインターネットを利用する不特定多数の者に対し児童ポルノ画像を送信して,児童ポルノを公然と陳列しようと企て、別紙一覧表のとおり,平成15年1月6日午後8時2分ころから同日午後8時31分ころまでの間、A方において,パーソナルコンピュータ接続したインターネットを利用し、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである画像合計68画像を、インターネット接続会社Bが管理する  所在のサーバーコンピューターを経由して、C株式会社管理に係るIPアドレスを割り当てられた、D方のサーバーコンピューターに送信し、同コンピュータの記憶装置であるハードディスクにこれらを記録蔵置させ,インターネットに接続したコンピュータを利用する不特定多数の者に対し,前記児童ポルノ画像を閲覧可能な状態に設定し,もって,児童ポルノ画像を公然と陳列したものである。


(量刑の理由)
本件は、(職業)である被告人はインターネットを利用して,多数の児童ポルノ画像を送信し,インターネットに接続したコンピュータを利用する不特定多数の者が上記画像を閲覧することができる状態にし児童ポルノを公然と陳列したという事案である。
児童ポルノを公然と陳列する行為は,児童ポルノに描写された児童の心身に有害な影響を与えるだけでなく,このような行偽が社会に広がるときには,児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長するとともに,身体的及び精神的に未熟である児童一般の心身の成長に重大な影響を与えるものであるところ,被告人が,インターネットを利用して,児童ポルノ等の投稿欄が設けられているホームページに大量の児童ポルノ画像を送信したことや,被告人が送信した画像の中には児童の性器等の部分を拡大したものも含まれていたことにも照らせば,本件私営利性のない事案であるとはいえ,反社会性の強い悪質な犯行というべきである。
被告人は,長年にわたって児童ポルノに親しみ,自分が入手した児童ポルノを同じ趣味を持つ者たちに自慢したいなどといった安易な気持ちから本件犯行に及んでおり,強い非難を免れない。
また.被告人は,多数の児童ポルノ画像を短時間で送信するため,画像を保存した自分のノート型パソコンをA宅に持ち込み、通信速度の速い同人宅の回線を利用して本件犯行に及んでいる。そのため,Aは,本件に何ら関与していないにもかかわらず,捜査機関による家宅捜索や事情聴取を受けることとなり,多大な迷惑を被っている。さらに,本件の発覚により,両親を初めとする被告人の家族が受けた衝撃が非常に大きなものであったことも察するに難くない。
自己の行為の悪質性や社会的な影響はもと.より,自分の家族に思いを致すこともなく,本件犯行に及んだことは言語道断というほかない。
以上によれば,被告人の刑事責任を軽視することは許されない。本件は罰金刑を選択すべき事案であるとは到底認められず,懲役刑をもってのぞむのは当然である。