児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

3サイバー刑事法研究会報告書

http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/Cybercriminallawcom.htm
 サイバー刑事法研究会報告書
欧州評議会サイバー犯罪条約と我が国の対応について」の公表
平成14年4月18日
商務情報政策局
情報セキュリティ政策室
 経済産業省は、2001年8月から欧州評議会サイバー犯罪条約への国内対応等を検討するために、サイバー刑事法研究会(座長:山口厚東京大学教授)を開催し検討を進めて参りましたが、今般、検討の結果として報告書を取りまとめましたので公表いたします。 電子商取引の進展や電子政府の実現に代表されるように、社会・経済のコンピュータ・ネットワーク利用が進展していますが、健全な進展のためには、情報セキュリティの確保が重要な課題となります。
 情報セキュリティの確保には、自己責任に基づく適切な対応がまず重要ですが、一方で、セキュリティを侵害する行為を禁圧するのに必要な処罰を与える刑事法制の整備及びこれを実質的に担保する刑事手続法制(以下、併せて「サイバー刑事法制」という。)の整備も重要となります。
 国外においても1997年から、英、独、仏等の欧州各国により構成される欧州評議会(Council of Europe)では、サイバー犯罪についての刑事法制のあり方に関する調査・検討を進めてきており、2001年11月8日に、「サイバー犯罪に関する条約」を正式に採択しました。オブザーバとして検討に参加してきた我が国も、欧州評議会加盟国や、米国、カナダ等と並んで、同年11月23日に同条約に署名したところであります。
 本条約は、サイバー犯罪からの社会の保護を目的とする国際的な法的枠組みを定めるものであり、サイバー犯罪の深化・蔓延に効果的かつ迅速に対処するために国際協力を行い、共通の刑事政策を採択することを目指しているものであります。具体的には、コンピュータ・システムへの不正なアクセス、不正な傍受等一定の行為を犯罪とすることを締約国に義務づけた上で、これらの一定の犯罪についての裁判権の設定、これらの一定の犯罪及びコンピュータ・システムという手段によって行われる他の犯罪についての犯罪人引き渡し並びに捜査、訴追及び司法手続における法律上の援助等について規定しています。
 本条約は、サイバー犯罪対策分野における世界初の条約であり、我が国もこれに署名したことを踏まえれば、本条約を基に、我が国のサイバー刑事法制のあり方を検討し、条約を批准した場合に必要となる立法作業等について十分な検討を行うことは、政府内部のみならず、我が国全体にとっての喫緊の課題と言えます。特に、その際には、可罰的行為の適切な処罰や、捜査手続の迅速・円滑な実施のみならず、個人情報の保護や、民間事業者への過重なコスト負担の回避という観点も踏まえた上で、国際的にも調和のとれた、バランスのとれた法制度の整備を目指す必要があります。
 以上のような観点から、経済産業省では、2001年8月から、国内の専門家に参集を依頼し、東京大学大学院法学政治学研究科 山口 厚教授を座長とするサイバー刑事法研究会で同条約の内容及び関連法制に関する検討を進めて参りました(委員リストは別紙1.参照)。本研究会においては、条約の内容を精査し、その結果を逐条解説としてまとめていただくとともに、現行の刑事法制を前提として、条約上の義務が担保されていない又は担保されていない可能性が高いと考えられる条項について、これを担保するために必要な立法措置についての試案等を提示していただいております。(概要は別紙2.参照)。