児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「少年が他の少年の福祉を害した場合には地方裁判所の管轄になるという矛盾した感じがある」という学識経験者の発言

 それは家裁だという裁判例がありますけど、学識経験者もご存じないようです。

http://www.courts.go.jp/tokyo/about/iinkai/pdf/giziroku_kasai_04_01_19.pdf
東京家庭裁判所委員会議事概要
平成16年1月19日(月)に開催された家庭裁判所委員会における議事の概要は,次のとおりです。

成人の刑事事件は,少年の福祉を保護する精神に基づいて
家庭裁判所に専属管轄があると定められているものです。具体的には18歳未満の少女に援助交際等の名目で売春的なことをやらせたというような事件です。年間約50〜60件あります。

・・・・・

(学識経験者等委員)
人事訴訟が移管されますが,少年の福祉を害する成人の刑事事件について,少年が他の少年の福祉を害した場合には地方裁判所の管轄になるという矛盾した感じがあるのですが,いかがですか。
(裁判所委員)
他の少年の福祉を害する非行で検察官送致になった少年で,当庁に起訴された事例がありました。人事訴訟が家庭裁判所に移管になるのだから,家庭裁判所の成人事件も,もう地裁にという御意見もあろうかと思いますが,まだそこはあまり議論になっていないというのが実情です。

  あまり議論無く、地裁に移管されます。

自民党少年法見直しに関する取りまとめ

 自民党の政策に出ていました。
 児童ポルノ・児童買春法のせいだと思いますが。

http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/seisaku-023.html
少年法見直しに関する取りまとめ
平成19年11月9日
自由民主党政務調査会法務部会
少年法に関する小委員会
? 成人の刑事事件の管轄移管
少年法第37条第1項に規定された事件は、家庭裁判所の管轄とされていることから、被告人が併合関係にある他の事件で地方裁判所に起訴された場合には、併合の利益が受けられなくなるなどの不都合が生じているとの指摘があり、この点については、早急に手当てをすべきである。

未成年者喫煙禁止法

 たばこの関係でも移管の圧力がありました。
 移管すると、略式の処罰が増えますよね。不起訴になっているのが刑罰化されるわけです。

2005年度6月 全国規制改革要望書      2005.8.16
http://muen2.cool.ne.jp/kaikakuyobo0506.htm
未成年者喫煙対策のために,2000年に本法第5条の改正で,タバコ営業者が,未成年者自らが喫煙することを承知してタバコを販売した場合には,罰金が大幅に引き上げられ,50万円以下に処せられることとなった。翌年の2001年に本法に年齢確認措置の第4条が新設されたにも関わらず,これら法改正の実効性が全く上がっていない。これは,本法に関する事件については、少年法第37条の規定により家庭裁判所に対してのみ提起し,全部公判請求をしなければならないために起訴件数が皆無に近いと思われる。50万円以下の罰金刑のような罪の場合には、通常では略式手続により、簡易裁判所に対して略式命令の請求をすることが多いので,略式命令の請求が可能とする措置を採ることとすべきである。

対応策[措置の概要](警察庁回答) b
 未成年者の喫煙を防止するためには、未成年者喫煙禁止法に違反する行為について迅速的確な罰則の適用を図ることが重要であると考えられることから、略式命令により罰金等の刑を科すことを可能にすることについて、関係省庁とともに慎重に検討することとしたい。

対応策[措置の概要](法務省回答) b ?
未成年者喫煙禁止法違反事件の送致がなされたときは,検察官において,個別の事案の内容に応じた適切な処理が行われているものと承知しており,同法違反事件が略式手続の対象とされていないことが個々の事件の処理に影響しているわけではないと考えている。

未成年者喫煙禁止法違反事件について略式命令が認められていないのは,少年法において少年の福祉を害する一定の事件については家庭裁判所に公訴を提起しなければならないと定めるとともに,刑事訴訟法において略式命令は簡易裁判所がこれを行うこととしていることによるものであり,これらの規定の見直しについては,少年法第37条第1項各号の罪に係る事件の公訴・審理の在り方や略式手続の主体・範囲等の見直しの要否という観点から慎重な検討を要するものと考えている。

本日1件上告した。

 判例に従えば、完全無罪じゃなくて一部無罪のはず。
 やっぱり判例違反で有罪にされちゃうと納得できませんよね。
 法律がまずいせいで、裁判所は悪くないと思います。

警察庁「サイト管理者、開設者等には違法情報を削除するという義務が現在かかっておりませんので、削除しないというだけでは違法にはならない」

 これは嘘ですよね。
 削除しないと違法で、他に条件が整えば掲載した罪(公然陳列罪など)の正犯です。判例です。
 井澤君も片桐君も勉強不足。判例使って等しく取り締まってください。

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm
http://blogsv.digital-r.com/izawakyoko/2007/12/post_345.html
青少年問題に関する特別委員会
第4号 平成19年12月11日(火曜日)
○井澤委員 ぜひ警察庁の方でも、迅速化、効率化、そして現場が今どうなっているかということを十分に把握していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ここで、上川大臣にも、ぜひこのホットラインセンターの支援強化について、福田総理大臣そして額賀財務大臣等にも働きかけをしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、ホットラインセンターでの有害情報の処理について、続けて質問をしたいと思っております。
 実際、担当者の方に伺いましたところ、有害情報が削除されるまでの手続というのは、有害情報が記載されているサイトの管理者にまずは削除の依頼をする、そして、大体二週間ぐらいたってから、それが削除されているかどうか、そのサイトを見てから確認をする、まだ確認されていないようなところには、サイトを管理しているプロバイダーに依頼して、そしてまた確認をするというような、確認作業、確認作業というような繰り返しで、実際削除されるまで非常に時間がかかっているのが現状です。
 あくまでも、これはセンターの側には強制力がありませんので、依頼、削除をお願いするというようなことで、依頼されたプロバイダー等にも義務もありません。この時間がかかる間にもどれだけ多くの利用者がそのサイトに触れ続けているのかと思いますと、これは早急な、依頼というだけではなく、何か強制力のようなものが必要ではないかと考えるところでございます。

 そこで、効果的な違法・有害情報等の対策のために、現在のホットラインセンターの業務に、依頼ではなく、もっと強制力を与えることが必要ではないかと思っておりますが、まずは警察庁の御見解をお伺いします。

 とともに、削除に応じない場合に、特定のプロバイダー等が少数いると聞いております。少しアドレスを変えてまた同じようなサイトを運営する、そういう悪質なプロバイダーもいると聞いておりますので、何かそこに行政指導ができないものなのか、総務省にお伺いいたします。

○片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 違法・有害情報に迅速な処理が必要だという御指摘は、まさにおっしゃるとおりだと考えております。

 そこで、まず、現在、サイト開設者がインターネット・ホットラインセンターからの削除要請に応じない場合一体どういうふうな対応をしているかということから御説明申し上げますと、当該サイトに書き込まれた情報が違法情報である場合、これはセンターからまず警察に通報がございます。この場合、一般論で申し上げれば、それ自体が違法でございますから、その情報を書き込んだ者に対して捜査という形でもって取り締まることができるということでございまして、この場合はある程度迅速な対応が可能ではないかというふうに考えております。

 しかしながら、違法情報の情報量というものは相当膨大でございまして、すべて捜査では解決できないということから、一定のものについてはセンターの方から削除要請をするということになっているところでありますけれども、こうした要請にもかかわらずサイト管理者等が要請に応じなかった場合、じゃ、どうなるかということでございますけれども、サイト管理者、開設者等には違法情報を削除するという義務が現在かかっておりませんので、削除しないというだけでは違法にはならないということでございます。

 ただ、情報自体違法でございますから、書き込んだ者等に対して捜査という形でもってこれを検挙するということは可能でございますけれども、ただ、事案の数と捜査力の見合いの問題がここではあるということを申し上げておきたいと思います。

 次に、当該サイトに書き込まれた情報が有害情報であった場合にはどうなるのかということでございますが、これは、警察に通報されることはございませんで、センターから削除要請を行うということになっております。

 ただ、この場合にも、サイト開設者等には削除義務があるわけではございませんので、応じなかったとしても、サイト開設者に対して捜査を及ぼすということはできないということでございまして、あくまでも要請の範囲にとどまるということが現状でございます。

 御指摘は、サイトに書き込まれた違法情報、有害情報についてサイト開設者等に削除義務を課すべきだというような御意見だというふうに考えられますけれども、特に有害情報については、何をもって削除すべき情報とするかということについて極めて難しい問題があるというふうに考えております。

 いずれにしましても、違法情報、有害情報につきましては、警察だけでは解決することが大変困難でございまして、関係省庁とも連携をしながら、そのあり方について検討してまいりたいと考えております。

○井澤委員 今、違法情報、有害情報について、極めて難しい部分がある、まだまだこれから各省庁と連携をして検討しなければならないという御指摘もございました。ぜひ、ここにきょうお集まりの各関係省庁連携をしてこの問題に早急に取り組んでいただきたいことを提案させていただきます。ありがとうございました。

 この点については、学会誌用の論文を書いていて、判決の引用が長いとか言われているところです。
 猫の目の奥村説よりも未公開の判決の方が有用だと思って、正確に掲載しようと思っています。

プロバイダの刑事責任〜名古屋高裁H19.7.6と東京高裁H16.6.23
奥 村  徹*1
Toru Okumura
1. 問題点
 画像掲示板に他人が事前連絡なく違法画像(わいせつ、児童ポルノ)を掲載した場合、掲示板管理者の刑事責任は公然陳列罪(刑法175条、児童ポルノ法7条4項)の正犯か幇助か、作為犯か不作為犯か。
 大変難しい問題であるが、裁判例を紹介しつつ分析を試みたい。
2. 裁判例
 裁判例を見ると、正犯か幇助か、作為犯か不作為犯かが定まっていないことが明かである*2。
?横浜地裁H15.12.15*3(「インターネット上の誹謗中傷と責任」P149)(不作為犯・正犯)
?東京高裁H16.6.23*4(「インターネット上の誹謗中傷と責任」P151)(作為犯・正犯)→上告棄却(最高裁H19.3.28)
?名古屋地裁H18.1.16*5(公刊物未掲載)(不作為犯・幇助犯)
?名古屋地裁H19.1.10*6(公刊物未掲載)(作為犯・幇助犯)
?神戸簡裁H19.2.29(公刊物未掲載)(不作為犯・幇助犯)
?名古屋高裁H19.7.6*7(公刊物未掲載)(作為犯・幇助犯)→上告棄却(最高裁H19.11.9)
 この点について詳細に判示した二つの高裁判決を紹介する。
・・・・

警察庁も幇助だっていってたのに。

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20070909/1189335657
警察学論集52巻4号
 掲示板開設・管理者と投稿者の関係は、映像送信型性風俗特殊営業における、自動公衆送信装置設置者と映像送信型性風俗特殊営業者の関係と同じである。
 映像送信型性風俗特殊営業においては、自動公衆送信装置設置者が児童ポルノ映像の存在を知ったときは当該映像の送信を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない(31条の8第5項)とされているが、違法画像の存在を認識しただけでは「知った」ことにはならず、明確な認識が必要である。(警察学論集52-4P106)
 しかも、必要な措置を講じる義務に罰則はなく、措置を講じなくても「同項の規定が遵守されることを確保するため必要な措置をとるべきことを勧告することができる。」だけである。
 しかも、義務違反の場合の刑事責任については、せいぜい公然陳列罪の幇助と説明されている。(警察学論集52-4P107〜8)

日本刑法学会関西部会平成19年度冬期例会

 京都で一月末。
   お寒いですねぇ〜

http://www.clsj.jp/sir/bukai/kans/index.htm
関西部会
日本刑法学会関西部会平成19年度冬期例会のお知らせ
下記の要領で、例会を開催します。
日時: 2008(平成20)年1月27日(日) 10:00〜17:00
場所: 京大会館 〒606-8305 京都市左京区吉田川原町15-9
プログラム:
個別報告
「刑法における治療行為の正当化」 田坂 晶氏(同志社大
「身分犯における正犯と共犯」 佐川友佳子氏(立命館大

共同研究
「罰金刑の諸問題」
川本哲郎 氏 (京都産業大
永田憲史 氏 (関西大)
小島 透 氏 (香川大)
鈴木眞理子 氏 (京都産業大大阪高検

 略式命令の範囲拡大で、児童買春数罪でも罰金に落ちる例も見受けられますが、そんなお話でしょうか?
 略式の適用範囲という訴訟法の規定がが実体法の量刑を縛っているというのはおかしいのと違うか?と日頃から感じています。

1人目逮捕・2人目逮捕・3人目書類送検

 最初の2件も、捜索入ってしばらくしての逮捕でした。
 弁護士に相談して適切に対応すれば逮捕されない可能性もあったと思いますね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071217-00000013-kyt-l26
阪急タクシー前社長らを書類送検 府警、出走馬表違法輸送の疑いで
12月17日13時39分配信 京都新聞
 調べに対し、5人は容疑を認め、前社長は「違法行為の認識はあったが、利益を上げたかった」と供述している、という。
 阪急タクシーは「深く反省しています。これを機に一層の法令順守を徹底し、お客さまの信頼回復に務めたい」とのコメントを出した。
 タクシーの出走馬一覧表などの違法輸送をめぐっては、京阪タクシー(京都市伏見区)と大開タクシー(神戸市)の社長らが府警に逮捕されている。

医師・歯科医の被告人さんへ

 刑事処分か確定してから、検察庁から厚生労働省に通知されるので、確実に行政処分があります。
 「行政処分が来ないかもしれない」なんて甘い期待を持って放置していると、1年過ぎたころに、「○月○日までに弁明書を出してください」という連絡が都道府県の医事課からあります。
 そのときに、情状を稼ごうとしても余裕はありません。
 刑事手続の段階から、弁護人に行政処分を見据えた対応をしてもらってください。

                 平成22年6月1日
   弁明の聴取及び再教育研修に係る弁明の聴取通知書
医師××様
                      知事X
あなたに対する下記の事実を原因とする不利益処分に係る医師法第7条第11項の規定による弁明の聴取及び再教育研修に係る弁明の聴取を下記のとおり行いますので通知します。

1.弁明の聴取
弁明の聴取の件
 医師「××」の医業停止又は戒告に関する件
予定される処分の内容
 3年以内の医業停止又は戒告
根拠となる法令の条項
 医師法第 7条第 2項

処分の原因となる事実
 平成21年1月1日児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反違反により罰金○○万円、罰金を完納することがきないときは、金5千円を1日に換算した期間労役場に留置するとの略式命令が確定したため

弁明の聴取の期日
 平成22年6月22日16時00分から
弁明の聴取の場所
  県庁 会議室

 あなたは、弁明の聴取及び再教育研修に係る弁明の聴取の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し、又は期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができます。

 弁明の聴取の期日に、医師法第7条第14項の規定により代理人を出頭させる場合は、事前に医務課に連絡するとともに、あなたの委任状を持参のうえ、出頭させて下さい。
また、厚生労働省が作成した「行政処分を受けることが見込まれる医師・歯科医師の方々へのお知らせ」を同封いたしますので、ご覧下さい。

求む!児童ポルノ製造罪の判決書

 前提性犯罪との罪数とか、被害者複数の場合の罪数処理とかで、被告人に有利な方に、一罪の主張をしたり、ときには併合罪の主張をしたりしてるんですが、判例によれば結局「社会見解」によることになるので、裁判例を集めて、集計することにしました。
 ということで判決書下さい。
 個人名は要りません。
 証拠の標目と量刑理由は要りません。
 法令適用は欠かせません。
 秘密は厳守します。
 お願いします。<(_ _)>