児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年条例違反につき「劇団の秘蔵っ子として育ててやる」ともちかけていた事例

 児童淫行罪が疑われます。

少女にわいせつ行為 容疑の自称俳優を逮捕 保土ヶ谷署など=神奈川
2007.11.14 読売新聞社
 女子生徒は4月から声優やアニメ制作者などを養成する専門学校の「声優タレント科」に在籍、劇団を主宰していた容疑者は臨時講師として勤務していた。
 容疑者は女子生徒に「劇団の秘蔵っ子として育ててやる」ともちかけていた。

 「みだらな」を否認しているようです。

アニメ専門学校の部外講師を逮捕 生徒にみだら行為容疑 /神奈川県
2007.11.14 朝日新聞社
容疑者は都内の劇団の団員で、「やってはいけない行為をしたが、性欲を満たす目的ではない」と供述しているという。
 調べでは、容疑者は9月7日午後3時ごろ、横浜市の高校1年の女子生徒(16)の自宅で、みだらな行為をした疑い。女子生徒は横浜市内のアニメ専門学校に通っており、容疑者は部外講師だった。容疑者は「うちの劇団員として育てる」などと言い寄ったという。

神奈川県青少年保護育成条例
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jorei/jorei.htm
(みだらな性行為、わいせつな行為の禁止)
第19条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
3 第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。

違法な訴因変更

 弁護人としては、観念的競合とかかすがいだとか言ってなんでも科刑上一罪にしようとするわけですが、時には併合罪主張が有利なときもある。

 厳密にいうと刑期についてはこうならないんですが、わかりやすく説明しますが、
 被告人(勾留中)が
  A事実(懲役2年相当)
  B事実(懲役3年相当)
を実行して、実は併合罪なのに、
  1/1 A事実起訴
  2/1 B事実訴因変更請求
  3/1 A+B事実で有罪判決。懲役5年未決算入60日。
となった場合、控訴して
  併合罪だから訴因変更は違法・無効
と主張すれば、審判対象からB事実は落ちますから、懲役2年に減軽されますよね。反省深めたとか情状追加すれば、もうちょっと落ちる。
  3/15 控訴
  11/15 控訴審判決 原判決破棄 懲役2年。 原審の未決60日算入
 原審の未決算入+法定通算が得られるとして、A事実について、刑期はあと1年ちょっと。
 B事実については、多分、再起訴されますが、45条後段の併合罪ですが、不利益変更禁止が類推されるので、上限は懲役3年ですよね。これはやり直しだから早い。
 とすると、併合罪の主張というのは、一見被告人に不利益な主張に見えますけど、この場合は未決勾留の法定通算の分だけ強制労働しなくていいので儲かりますよね。
 そもそも、違法な訴訟手続をやり直して是正して刑期を決め直すというのは、根本的な被告人の利益。
 滅多にないことですが、児童ポルノ罪関係では訴因変更が違法な実刑判決が散見されます。弁護人は罪数処理もチェックして欲しいということです。

第495条〔未決勾留日数の法定通算〕
上訴の提起期間中の未決勾留の日数は、上訴申立後の未決勾留の日数を除き、全部これを本刑に通算する。
②上訴申立後の未決勾留の日数は、左の場合には、全部これを本刑に通算する。
一 検察官が上訴を申し立てたとき。
二 検察官以外の者が上訴を申し立てた場合においてその上訴審において原判決が破棄されたとき。
③前二項の規定による通算については、未決勾留の一日を刑期の一日又は金額の四千円に折算する。
④上訴裁判所が原判決を破棄した後の未決勾留は、上訴中の未決勾留日数に準じて、これを通算する。

覚せい剤で3回目の逮捕

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000205-yom-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000053-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000081-jij-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000924-san-soci
 報道では、少年のころいろいろあって、覚せい剤
  横浜地裁川崎支部H13.4.25 懲役2年執行猶予5年保護観察
そうです。
 一応、執行猶予期間を経過していますから、法律上は執行猶予可能ですけどね。
 薬物の親和性とか、再犯防止とか考えさせられます。

第25条(執行猶予) 
次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。