児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

盗撮未遂を「卑わいな言動」(富山県条例)とした事例(富山地裁高岡支部)

 児童買春の余罪として地裁判決がありました。
 3条2号は盗撮既遂ですが、未遂処罰規定がないのに、盗撮未遂を3号で同等に処罰するのはおかしいということです。

http://www.pref.toyama.jp/sections/1103/reiki_int/reiki_honbun/i0010976001.html
○公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
昭和38年4月5日
富山県条例第17号
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例を公布する。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(粗暴行為の禁止)
(卑わいな行為の禁止)
第3条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人に対し、正当な理由がなく、人を著しく羞しゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
(2) 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

量刑をめぐる諸問題―裁判員裁判の実施を迎えて/原田國男 判例タイムス1242号

 「原田國男君」に博士号が授与されたので、肩書きが「東京高等裁判所判事・博士(法学・慶應義塾大学)」になっています。
 併合されなきゃ量刑できないよということで、児童ポルノと児童淫行罪の泣き別れ事件(東京高裁H17.12.26)が紹介されています。
 原田判事は量刑で解決しようとするのですが、奥村は、量刑の前提として、量刑の場としての土俵(係属部)を一個にすべきだと考えています。複数部がある高裁では別れて、一箇部の高裁では別れないというのは、おかしい。
 そりゃ、児童淫行・児童ポルノ・児童買春野郎にとっては、量刑が問題ですけど、前提として、淫行も買春もポルノも似たような行為なので、訴訟手続を一箇にまとめてから、一気に量刑してやって下さい.
 って、いってたら、札幌高裁H19.3.8が、まとめてやってくれて、量刑面ではいいんですが、これまた、法令適用と手続上おかしい。

追記
 原田さんは、まだ、観念的競合(児童淫行罪-児童ポルノ製造罪)って言っていますね。___φ( ̄^ ̄ )メモメモ

原田國男「量刑をめぐる諸問題−裁判員裁判の実施を迎えて−」判例タイムズ 第1242号
例えば,前科という量刑事情について,これを責任に還元できないとすれば,特別予防として責任枠の中で考慮することになるが,前科のある者が複数の犯罪を犯した場合に前科を複数回考慮することはあり得ないのである。さらに言えば,併合審理がなされ,同一の裁判官が同じ被告人について量刑をするのに,これらの一般情状を二重に評価するはずはないから,重複しないのはむしろ当然というべきである。そうすると,この併合の利益の考慮の必要性は,むしろ各事実が併合審理されないような例外的な場合に顕在化するように思われる。併合の利益というものは,実体法上のものではなく,手続上の併合審理の利益ともいえよう。
このような場合には,それぞれの裁判所で一般予防・特別予防に関する一般情状が重複して考慮されるおそれがあるから,控訴審でこの二重評価をできるだけ解消する必要が生じる。控訴審における客観的併合については現在のところ一般に行われていない。家庭裁判所管轄事件と地方裁判所管轄事件(例えば,児童福祉法違反の罪と児童買春等処罰法違反の罪)がそれぞれ控訴された場合,それぞれ各部に配点されるので,偶然同一の部にでも配点されない限り,各部で各別に審理がなされるため,弁護人から併合の請求が出されることがある。例えば,児童買春等処罰法違反の罪について,地方裁判所で執行猶予付きの懲役刑の判決を得ても,児童福祉法違反の罪について,家庭裁判所実刑の判決を受けていると,その確定により執行猶予も取り消されるために,結果的には合計刑期が重めになることもあるから,同一の部で審理・判決をしてはしいというのである。(注72)
しかし,このような場合に,客観的併合をした例は今のところ聞かない。それは,事実上の調整も可能であることなどによるものであろう。しかしながら,裁判員裁判において前記のように非対象事件と対象事件との非併合処理が多くなってくるとすれば,単なる事実上の調整では不十分で,控訴審における客観的併合の必要性も高まることも予想される。この場合には,各原判決を破棄して,併合罪処理をして一つの統一刑を定めることが可能かなどの理論的検討が必要であろう。
(注72)
児童淫行罪と児童ポルノ製造罪こついて,合計の量刑が重くなるので・これを調整するために・二重評価禁止の原則を適用して,管轄を異にするため法律上併合審理が認められない場合について・併合による利益を実際上考慮すべきことを判示した判例がある(東京高裁平成17年12月26日判例時報1918号122頁)。この事例はいわゆるかすがい現象で全体が-罪になる場合でも,検察官による「かすがい」に当たる犯罪の不起訴裁量を認めるが・そのために併合審理ができないことの不利益を量刑上考慮すべきであるとするものである。なお,この判例の指摘する問題は・むしろ・将来・児童淫行罪等の家庭裁判所専属管轄の成人の刑事事件を地方裁判所に移管することによって根本的に解決すべきであろう。

サイバー犯罪とは福祉犯なのか?

 結局、電脳空間は淫行野郎と援助交際少女をつなぐツールなんですね。そこは出会い系で直に接しているので防げない。
 ネット詐欺はオークション業者が対策取ったので、減少。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070823-00000043-mai-soci
<サイバー犯罪>過去最多に ネット介した児童買春目立つ
 全国の警察が今年の上半期(1〜6月末)に検挙したサイバー犯罪は1808件に上ることが警察庁のまとめで分かった。年間最多だった昨年の4425件の上半期の1802件を上回っており、今年も最多となりそうな勢いだ。児童買春と青少年保護育成条例違反は385件で、出会い系サイトなどによる子どもが被害を受ける事件が昨年上半期より61.1%増加。同庁は「出会い系サイトの危険性を積極的に訴えたい」としている。
 犯罪の態様別では、ネットオークションで商品をだまし取るなどの詐欺が490件で最も多かったが、昨年同期比では33.2%減った。他人のIDやパスワードを使ってインターネットサイトに侵入するなど不正アクセス禁止法違反は156件で、同様に41.1%減った。
 これに対して、児童買春禁止法違反は275件(同62.7%増)、青少年保護育成条例違反は110件(同57.1%増)と、出会い系サイトなどを使って子どもが被害者となる事件はいずれも増加。このほか、児童ポルノ禁止法違反は96件(同1.0%減)、偽ブランドなどの商標法違反118件(同11.3%増)などだった。
 警察庁は「出会い系サイトは互いの顔が見えないことから、子どもと大人が安易に買春の金額や待ち合わせ場所などを約束して事件につながっているケースが多い」と分析している。【遠山和彦】

<わいせつビデオ>発行容認の疑いで「倫理協会」を捜索

 ビデ倫通ったビデオを販売してて摘発されたビデオ店があって、無罪になったという事例があります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070823-00000067-mai-soci
<わいせつビデオ>発行容認の疑いで「倫理協会」を捜索
 違法なわいせつビデオの発行を容認した疑いがあるとして、警視庁保安課は23日、アダルトビデオの審査機関「日本ビデオ倫理協会」(東京都中央区日本橋本町)をわいせつ物頒布ほう助容疑で家宅捜索した。併せて、東京都内のビデオ製作会社数社も頒布容疑で捜索し、審査が適正だったかどうかを詳しく調べる。協会が捜索を受けるのは、初めてとみられる。
 調べでは、各製作会社は協会の審査を経て、違法な画像が写ったアダルトビデオやDVDを発行した疑い。適正なモザイク処理が施されていないのに、協会が十分な審査を行わないまま発行させた可能性があるという。
 協会は72年、アダルトビデオ製作業者の自主規制を行う任意団体として設立。こうした団体に加盟していない業者が製作したビデオは、レンタル店で取り扱われない傾向がある。審査には明確な基準がなく「最近、規制が甘くなっているのでは」との指摘もあった。協会は取材に対し「一切答えられない」としている。

 業界レーティング作戦もだめということですかね。
 PTAからすれば、全部ダメでしょうね。
   (6) 幼児及び18才未満の者を出演させて作品とすることは、避ける。
という点は児童ポルノ法に対応していないようです。

http://www.viderin.jp/menu0604.html
法規範、社会規範及び性表現に関する作品の審査基準
 映像ソフト倫理規程に基づき法規範、社会規範に関する作品及び性表現に関する作品の審査基準を定める。
1.審査の心構え
 (1) 表現の自由に慎重な配慮をする。
 (2) 未成年者への保護の観点から判定を行う。
 (3) 社会通念の上にたって法令、条例等の規制を尊重する。
2.適用範囲
 この会に加盟する会員各社の輸入、製作、販売する映像ソフトの内容、題名、パッケージ、宣伝広告等に対して適用する。

3.審査区分
 審査区分は、「一般」「R指定」「成人指定」とする。

4.法規範、社会規範に関する作品の審査基準
 (1) 法令、条例等を尊重し、これを否定するような主題、内容は避ける。
 (2) 暴力、残酷、凌辱、SM等を主題とした内容、表現は過度にならぬ様充分注意、配慮する。
 (3) 法令、条例及び社会道徳を揶揄し、反社会的主題を扱ったものはその内容、構成を慎重にする。
 (4) 犯罪及びその手口を巧妙に表現する主題については、過度にならぬ様注意する。
 (5) 薬物及びその施使用を扱った内容のものは肯定的表現はせず、場合によっては避ける。
 (6) 基本的人権を尊重し、売春行為及び人身売買等を主題とするものは避ける。
 (7) 銃器等で表現する暴力、暴行等を扱った内容については、その表現が過度、加重にならぬ様配慮する。
 (8) 社会的弱者(身体に、または知的に障害のある人等)の扱いは、その内容を考慮し慎重にする。
 (9) 生命の尊厳を尊重し、否定する様な内容は避ける。
 (10) 上記の各項以外においてもその内容及び表現が法規範、社会規範に触れると判断されるものは、処理を指示するものとする。

5.性表現に関する作品の審査基準
 (1) 性表現の描写は法規範、社会規範をふまえ慎重にし、技術的な処理を行う。
 (2) 性行為の過程を具体的に描写表現したものも処理を行う。
 (3) 性器、恥毛及び性器内部等の描写については、適切な処理を行う。代替描写やシルエット等も同様とする。
 (4) 未成年者に好ましくない影響を与えるような性表現は処理し、また慎重な判断をする。
 (5) 男女の露出した性器愛撫の描写は処理する。性器具を使用しての場合も同様とする。
 (6) 幼児及び18才未満の者を出演させて作品とすることは、避ける。
 (7) アニメーションにおける表現であっても、これを実写映像と同様の扱いとする。
 (8) 上記項目以外に表現される性及び性風俗描写は、社会通念と公序良俗への影響をふまえ処理を行う。

6.留意事項
 (1) 内容表現においてテロップ等で明示を必要とする場合は、これを指示する。
 (2) 製作表現において臨場感過剰に及ぶとき、その他作品の内容から社会問題化するおそれがあると判定された場合は修正、審査保留、または差戻しをすることがある。
 (3) 地域、場所等及び特定の個人、団体等が詳細かつ明確に認定できるような描写によって、その住民または関係者等に不快感を生じせしめるおそれのあるものは避ける。
(C) 1997-2003 Nihon Ethics pf Video Association All rights reserved.

児童ポルノDVDの作り方教えた容疑 宮城の男を逮捕

 デジタルデータ化されると(映画やビデオに比べて)複製しやすくなるので、摘発が増えてるんですが、そんなことすら知らないのに、正犯をかってでる奴がいるんですね。

http://www.asahi.com/national/update/0823/NGY200708230002.html?ref=goo
 調べでは、容疑者は05年9月ごろ、仙台市ファミリーレストランで、名取市のDVD販売業の男(31)に、児童ポルノDVDなどの作り方を教えた疑い。わいせつ画像の編集やDVD管理ファイルの作成方法などをマニュアルにして教えていたという。

提供・販売の幇助なのか、提供目的製造の幇助なのかはっきりしませんね。

女子中生に裸写真送らせる 福岡・久留米、男を再逮捕

 この報道ぶりだと、被害児童を道具とする提供罪みたいですね。
 どれくらいの強要があれば、間接正犯になるのかが問題です。

http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070823/jkn070823028.htm
女子中生に裸写真送らせる 福岡・久留米、男を再逮捕
 調べでは、容疑者は5月2日、中学生向け携帯電話サイトの掲示板で知り合った久留米市の中学2年生2人に「自宅でできる高収入アルバイトがある」とメールを送り、3万円の報酬を約束して携帯電話のカメラで撮影した裸の写真を5枚ずつ送信させた疑い。
 「アルバイトの報酬を支払う」と言って、2人の名前や電話番号なども聞き出し「もっと高い金を払う」と電話で売春を強要。断られると「裸の画像を全国に流すぞ」と脅したという。
容疑者は、小学6年の女児2人に裸の写真を送らせた同容疑で札幌北署に5月25日に逮捕され、その後起訴されている。