児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

コイン式駐車場で料金を踏み倒し

 タイムズって、お金払っても障害物が下がらないことが時々あって、ガードマンを呼ぶことがありますが、数十分待たされても、「お待ちいただいた分の料金はいいですから」って言われますね。
 徹底した商売人だなあと。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070821-00000134-jij-soci
駐車料金踏み倒し250回=49歳男を逮捕−大阪府警
8月21日19時32分配信 時事通信
 調べによると、容疑者は2月から4月にかけ、旭区大宮の無人駐車場「タイムズ千林大宮」に車を16回止めたのに、使用料3万9600円を支払わなかった疑い。
 容疑者は当初、駐車場のセンサーが作動しないよう2台分の駐車スペースにまたがって車を止めていたが、利用者に通報されてからは1台分に駐車していた。 

児童買春「被害児童」の親は怒っている

 福祉犯の被害を被害感情で計るのは間違いで、被害児童自身の「犯人を許せません」という供述は、誘導されたもので信用できないと思うんですが、親は怒っていることがあります。
 娘は数万円で「売って」いて、親は「買った」人にその数十倍も請求することがあります。
 「福祉犯の被害も金銭賠償しかない」ってそこまで割り切って考えるようになったのかと思うことがあります。

自首した人には必要的減軽・免除を!

 次の改正ではどうせ法定刑を引き上げてくると思うので、処分にメリハリをつけて欲しいところです。
 端緒が掴みにくい犯罪の場合の常套手段ですよね。
 全員自首したら、量刑相場が下がりますけど、そんなことはないでしょうし。

銃砲刀剣類所持等取締法
第31条の5
第三条第一項の規定に違反してけん銃等を所持する者が当該けん銃等を提出して自首したときは、当該けん銃等の所持についての第三十一条の三の罪及び当該けん銃等の所持に係る譲受け又は借受けについての前条第一項又は第二項の罪の刑を減軽し、又は免除する。
第31条の10
第三条の三第一項の規定に違反してけん銃実包を所持する者が当該けん銃実包を提出して自首したときは、当該けん銃実包の所持についての第三十一条の八の罪及び当該けん銃実包の所持に係る譲受けについての前条第一項又は第二項の罪の刑を減軽し、又は免除する。
第31条の12
第三十一条の二第一項又は第二項の罪を犯す目的でその予備をした者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
第31条の13
情を知つて第三十一条の二第一項又は第二項の罪に当たる行為に要する資金、艦船又は航空機(以下この条において「資金等」という。)を提供した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、当該資金等に係る同条第一項又は第二項の罪が実行に着手される前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

自衛隊
第122条
防衛秘密を取り扱うことを業務とする者がその業務により知得した防衛秘密を漏らしたときは、五年以下の懲役に処する。防衛秘密を取り扱うことを業務としなくなつた後においても、同様とする。
2 前項の未遂罪は、罰する。
3 過失により、第一項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三万円以下の罰金に処する。
4 第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。
5 第二項の罪を犯した者又は前項の罪を犯した者のうち第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

都市計画法
第90条
前条第一項から第三項までに規定するわいろを供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる

会社法
第970条(株主の権利の行使に関する利益供与の罪)
第九百六十条第一項第三号から第六号までに掲げる者又はその他の株式会社の使用人が、株主の権利の行使に関し、当該株式会社又はその子会社の計算において財産上の利益を供与したときは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
6 第一項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

爆発物取締罰則
第11条〔自首〕
第一条ニ記載シタル犯罪ノ予備陰謀ヲ為シタル者ト雖モ未タ其事ヲ行ハサル前ニ於テ官ニ自首シ因テ危害ヲ為スニ至ラサル時ハ其刑ヲ免除ス第五条ニ記載シタル犯罪者モ亦同シ

外国ニ於テ流通スル貨幣紙幣銀行券証券偽造変造及模造ニ関スル法律
第8条〔自首〕
本法ニ規定シタル罪ヲ犯シタル者偽造又ハ変造ニ係ル第一条ニ記載シタル物ノ未タ行使セラレサル前又ハ第五条ニ記載シタル物ノ未タ授付セラレサル前ニ於テ官ニ自首シタルトキハ主刑ヲ免除スルコトヲ得

経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律
第4条〔贈賄、自首〕
第一条及第二条ニ規定スル賄賂ヲ供与シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ為シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ二百五十万円以下ノ罰金ニ処ス
②前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽シ又ハ免除スルコトヲ得

航空機の強取等の処罰に関する法律
第3条(航空機強取等予備)
第一条第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、三年以下の懲役に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律
第4条(自首)
前二条の罪を犯した者が当該罪に係る公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行の着手前に自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

破壊活動防止法
第38条(内乱、外患の罪の教唆等)
3 刑法第七十七条、第七十八条又は第七十九条の罪に係る前二項の罪を犯し、未だ暴動にならない前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

被害児童自身も製造罪の主体となりうるという論証

 自分で撮って陳列するような児童もいれば、強要されて恐れおののいて撮って送る児童もいるので、主体の問題としては、児童についても可能性を認めておく必要があります。

この点は、児童ポルノ製造罪の保護法益の理解による。
目的規定を根拠にして、個人的法益と社会的法益を複合的に考慮するのが判例である。

第1条(目的)
この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。

名古屋高裁H18.5.30
性交又は性交類似行為に係る児童ポルノを製造,提供するなどの行為は,児童ポルノに描写された児童の心身に有害な影響を及ぼし続けこのような行為が社会に広がるときには,児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長することになるとともに,身体的及び精神的に未熟である児童一般の心身の成長にも重大な影響を与えるため,児童ポルノ処罰法7条もこれらの行為を処罰しているところ,そのうち同条6項は,外国の児童が児童ポルノの描写の対象とされて性的に搾取されている実情があることなどにかんがみ,これに対する国際的な対処が必要であることから,日本国民が同条4項に掲げる行為の目的で児童ポルノを外国に輸入する行為及び外国から輸出する行為をも処罰の対象にしたものと解される。そして,外国からの輸出罪の場合,同条4項に掲げる行為の目的をもって児童ポルノを他の国に搬出するため,その地域に仕向けられた船舶,航空機等の輸送機関にこれを積載ないし搭載させれば,現代の輸送機関の発達等にもかんがみると,児童ポルノが他の国において流通し,ひいてはこれに描写された児童の性的搾取が重ねられるという危険が現実化したものということができる。これに加えて,輸出という概念の日常的な用法や,輸出罪を処罰する各種法令においても積載ないし搭載の時点で既遂に達していると解されていることなどにも照らすと,児童ポルノの外国からの輸出罪は,輸送機関が輸出国の領域を出るのを待つまでもなく,上記のような輸送機関へ積載ないし搭載した時点で既遂に達すると解するのが相当である。

従って、被害者の同意によっても違法性阻却しない。
島戸検事も阿部検事も賛成されている。
阿部健一「児童買春・ポルノ禁止法及び人身売買罪等の人身の自由を侵害する行為についての犯罪事実等のポイント」捜査研究No.662
島戸「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」警察学論集57-08

さらに、名古屋高裁金沢支部H17.6.9*16。も、被害児童が共犯となる場合があることを認める。

名古屋高裁金沢支部H17.6.9
2被害者の承諾による違法性が阻却されるとの所論について(控訴理由第6)
所論は,原判示第2の2の児童ポルノ製造罪について,被害児童の実勢な承諾・積極的関与があり,違法性を阻却するのに,児童ポルノ製造罪を認定したのは法令適用の誤りであるとする。
しかし,法7条3項は,児童に法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真等に描写することにより児童ポルノを製造した者を罰する旨規定しており,その文言からしても,強制的に上記姿態をとらせることは要せず,被害児童が上記姿態をとること等に同意している場合を予定していると解されるし,上記の態様によって児童ポルノを製造することが,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならないとして児童ポルノ製造罪が創設された趣旨からしても,被害児童の同意によって,違法性が阻却されるとは解されない。また,記録を検討しても,被害児童に,違法性を阻却するほどの真摯な承諾,積極的関与があったとも認められない。

 また、大阪地裁H17.7.15は3項製造罪(姿態とらせて製造)の保護法益はもっぱら社会的法益だと判断しており、

大阪地裁H17.7.15
児童ポルノ製造罪の主要部分は、個人的法益ではない。「とらせる」というのは、処罰範囲限定の趣旨にすぎない。

だとすれば、法益保護の見地からは、被害者も行為主体となりうることになる。

 従って、被害児童自身も製造罪の主体となりうる。

 別に、児童を処罰しろというんじゃないですよ。被害者自身も主体になりうるという理屈の話です。
 結局、保護法益論なんですが、こう主張すれば、おそらく「児童は主体になり得ない」という判断が出ますよね。