児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

芋づる式に4人目逮捕(栃木県警)

 児童買春罪が端緒が掴みにくい犯罪だということは、一度端緒を掴むと、とことん検挙してくることになります。
 2人目以降は、弁護士に相談して対応してもらえば(自首にはなりませんが)、逮捕されずに済む可能性がありますから(逮捕されても有利な事情を作れる)、身に覚えがある人は、最寄りの弁護士に相談して下さい。

同じ少女にわいせつ容疑、4人目 埼玉の男逮捕 宇都宮中央署など=栃木
2007.08.03 読売新聞社
 宇都宮中央署と県警少年課は2日、容疑者(54)を、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)の疑いで逮捕した。
 調べによると、容疑者は3月21日、携帯電話の出会い系サイトで知り合った県央部の女子中学生(当時15歳)が18歳未満と知りながら、宇都宮市内のホテルでみだらな行為をした疑い。この少女に対するわいせつな行為での逮捕者は4人目

罰金前科の被告人に保護観察(名古屋地裁H19.8.2)

 条例9条3項の常習一罪で、処断刑期は懲役1年。
 最近、保護観察の性犯罪プログラムに期待するのか、保護観察が多いようですが、専門家を紹介してくれるだけです。

常習盗撮元教諭に保護観察付き有罪 名古屋地裁判決=中部
2007.08.03 読売新聞社
 女性のスカートの中の盗撮を繰り返していたとして、愛知県迷惑防止条例違反の罪に問われた元小学校教諭被告(35)の判決が2日、名古屋地裁であった。大村泰平裁判官は、「スリルや興奮を味わうために盗撮を繰り返した」と述べ、懲役10月、保護観察付きの執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
 判決によると、被告は今年4月、地下鉄瑞穂区役所駅の階段に、遠隔操作できる小型のワイヤレスカメラを設置し、当時16歳の女子高生2人のスカートの中を撮影した。
 被告は2001年4月ごろから盗撮を始め、これまでに150〜160回も盗撮を繰り返しており、02年にも盗撮で罰金5万円の略式命令を受けている。

http://www.som.pref.aichi.jp/d1w_reiki/33890101000400000000/41490101004100000000/41490101004100000000_j.html
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
第2条
2 何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、故なく、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
二 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
三 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

第9条
1 第2条第2項の規定に違反した者は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
3 常習として第1項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

「児童福祉法違反(年齢確認の義務)容疑」?

 そんな罪はないんですけど。
 児童福祉法違反があると、罰金でも公判請求されます。

児童福祉法違反:女子高生らをホステス雇用 容疑で経営者ら書類送検 /福岡
2007.08.02 毎日新聞社
 県警は1日、女子高生ら少女をホステスとして働かせたとして、中央区のスナック経営者(37)ら計4容疑者を児童福祉法違反(年齢確認の義務)容疑などで書類送検したと発表した。
 調べでは、昨年12月から今年4月にかけて福岡市内のスナック店で、高校生や無職少女(16、17歳)を身分照会しないままホステスとして雇い、午後10時から午前3時ごろまで働かせた疑い。「若い子が入ると売り上げが見込めた」などと容疑を認めている。少女は25人おり、客の入りが多い日に呼び出され、時給1300〜1500円程度で働いていたという。

34条1項の何号でしょうか?9号の有害支配くらいでしょうか。

第34条〔禁止行為〕
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為
二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為
三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為
四 満十五歳に満たない児童に戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為
四の二 児童に午後十時から午前三時までの間、戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為
四の三 戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満十五歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第四項の接待飲食等営業、同条第六項の店舗型性風俗特殊営業及び同条第九項の店舗型電話異性紹介営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為
五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為
六 児童に淫行をさせる行為
七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
八 成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつせんする行為
九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設又は児童自立支援施設においては、それぞれ第四十一条から第四十三条の三まで及び第四十四条に規定する目的に反して、入所した児童を酷使してはならない。

第60条
第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
②第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
③第三十四条第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
④児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
⑤法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第一項から第三項までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、当該各項の罰金刑を科する。
⑥第二項(第三十四条第一項第七号及び第九号の規定に違反した者に係る部分に限る。)の罪は、刑法第四条の二の例に従う。

「抗争事件で忙しくなり、年齢確認がおろそかになった」という弁解

 抗争事件で、派遣業がおろそかになるのならわかりますが、年齢確認のみおろそかになるというのは、弁解になってないような気がします。

中学生ホステス派遣で組幹部に懲役1年求刑/福岡家裁
2007.08.02 読売新聞社
 暴力団幹部らが女子中学生15人をホステスとして飲食店に派遣していた事件で児童福祉法違反の罪に問われた指被告(44)と、被告(30)の論告求刑公判が1日、福岡家裁(坂主勉裁判官)であった。検察側は「暴力団組織を背景にした悪質な犯行」とし、被告に懲役1年、被告に同10月を求刑した。判決は9月5日。
 起訴状などによると、両被告は共謀し、今年3月31日ごろ、中学3年生の少女(当時15歳)をホステスとして接客することを知りながら、福岡県久留米市の飲食店に派遣するなどした。
 被告人質問で被告は、「18歳未満を雇うつもりはなかったが、(道仁会分裂に関連した)抗争事件で忙しくなり、年齢確認がおろそかになった」と供述。検察側は「派遣ホステスの6割が18歳未満だった時期もあった」と指摘した。
 県警は4月、両被告の自宅兼事務所を捜索し、約120人分のホステスの履歴書などを押収。中学生15人を含め、少なくとも約30人が18歳未満だったとしている。

第34条〔禁止行為〕
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
第60条
2第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

東御市の保護者の責任

 出会い系サイトの被害児童が東御市民の場合、この条例を理由にして、保護者の落ち度が主張できそうです。

http://www.city.tomi.nagano.jp/data/syougaigakusyuu/seisyounen_jorei.pdf
http://www.city.tomi.nagano.jp/manabu/syougai_gakusyu/1183444533_7318.html
東御市青少年健全育成条例
第22条
保護者並びに学校及び職場の関係者その他青少年の育成に携わる者は、青少年がインターネットを利用するに当たっては、有害情報(第12条第2項各号のいずれかに該当すると認められる情報その他青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認められるものをいう。以下この条において同じ。)を青少年が閲覧し、又は視聴することを防止するよう努めるとともに、青少年の有害情報に関する健全な判断能力の育成が図られるよう啓発及び教育に努めなければならない。
2 インターネットを利用することができる端末設備(以下「端末設備」という。)を公衆の利用に供する者は、当該端末設備を青少年の利用に供するに当たっては、フィルタリング(インターネットを利用して得られる情報について一定の条件により受信するかどうかを選択することができる仕組みをいう。次項において同じ。)の機能を有するソフトウェアの活用その他適切な方法により、有害情報を青少年が閲覧し、又は視聴することを防止するよう努めなければならない。
3 端末設備の販売又は貸付けを業とする者及び特定電気通信役務提供者(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成13年法律第137号)第2条第3号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。)は、その事業活動を行うに当たっては、フィルタリングの機能を有するソフトウェアに関する情報その他の青少年がインターネットの利用により有害情報を閲覧し、又は視聴することを防止するために必要な情報を提供するよう努めなければならない

公然わいせつと強制わいせつの複合形態

 尼崎支部でありましたよね。
 併合罪とか観念的競合と言ってみたところで、強制わいせつ致傷の量刑。

http://www.chibanippo.co.jp/news/shakai/kiji.php?id=shakai07080410094301
帽子に靴だけ全裸出歩き「20回以上」
女性に抱きつきけが負わせる 30歳調理師男を船橋署が再逮捕
疑者は六月七日午前一時二十五分ごろ、同市海神西の歩道上で、ニット帽とスニーカーだけのほぼ全裸状態ではいかい。帰宅途中の同市の会社員女性(35)に後ろから抱きついて転倒させ、後頭部に軽傷を負わせて逃げた疑い。

第174条(公然わいせつ) 
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第176条(強制わいせつ)
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
第181条(強制わいせつ等致死傷)
第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
3 第百七十八条の二の罪又はその未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。

実刑控訴中の被告人からお手紙続々。

 そう連続で東京高裁事件ばっかり持ち込まれても・・・。
 罪となるべき事実と量刑理由を写してもらって、量刑相場と対照してるんですが、国選弁護人は大した情状立証もしてないから、記録上、重すぎることはないですね。
 控訴審は私選でも国選でも、反省・謝罪関係をこれでもかというほど補充すれば、減軽される可能性が出てくる。
 それだけでは、「原判決の量刑は、いささか重いともいえるが、重すぎて不当であるいうほどではない」と言われることもあるので、援護射撃的に他の控訴理由も考えられる限りバンバン書いておく。

第381条〔同前−量刑不当〕
刑の量定が不当であることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて刑の量定が不当であることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。

第382条の2〔同前−量刑不当・事実誤認に関する特則〕
やむを得ない事由によつて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠によつて証明することのできる事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものは、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であつても、控訴趣意書にこれを援用することができる。
②第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものについても、前項と同様である。
③前二項の場合には、控訴趣意書に、その事実を疎明する資料を添附しなければならない。第一項の場合には、やむを得ない事由によつてその証拠の取調を請求することができなかつた旨を疎明する資料をも添附しなければならない。

実刑事案の共通点は

  1. 被害者多数
  2. 一審は国選弁護人
  3. 一審弁護人曰く「慰謝の措置を何もしなくても執行猶予」
  4. 被告人も弁護人も福祉犯の本質について不勉強(反省不足)

です。