児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

女性の母親が3月「娘が年の離れた男と付き合っている」と同署に相談したことから発覚した事案

 被害者相談窓口が充実してきたので、最近は真っ先に警察に相談されます。福祉犯は端緒が乏しいので、警察の食い付きもいい。
 弁護士に相談しようと思っても詳しい弁護士もいないし、高額な相談料を請求されそうだしということでしょう。奥村も、被害者からの問い合わせや相談を受けていてそう思います。
 犯人側からの相談では「被害児童の将来もあるので、刑事ではなくまず民事で穏便に」という希望が多いのですが、その時点では被害者側の情報から捜査が動いていることがあって、「穏便に」の余地が無くなっている(つまり、交渉中に逮捕される)ことがよくあります。弁護士もそういう状況認識でやってほしいところです。

http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070419-186876.html
神奈川県警青葉署は19日、県青少年保護育成条例違反容疑でデイリースポーツ社東京本社の芸能社会部記者(32)を逮捕した。

http://www.asahi.com/national/update/0419/TKY200704190383.html
調べでは、容疑者は06年11月10日、横浜市青葉区カラオケボックスの個室内で、同区の無職少女(17)に対し、わいせつな行為をした疑い。インターネットのチャットで知り合い、複数回、会っていたという。3月下旬に少女の母親が、娘の行動を不審に思って署に相談したのがきっかけで発覚した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070419-00000171-mai-soci

早すぎる保釈申請

 「余罪捜査の必要性」で却下されるので、弁護人は「余罪捜査の終了」を見極めたり、見極めかねたりするわけです。
 取り調べ状況については、被告人が一番詳しいわけで、「昨日、警察の調べが終わって、明日検事調べで、明後日追起訴完了ですから、保釈よろしくお願いします」なんて言ってくる。
 弁護人もぐずぐずしている理由もないし、遠方の警察署だと接見に出向くのも面倒なので、そう信じて保釈申請すると、警察の取り調べも終わってなくて、裁判官に「ちょっと早すぎますよね。」なんて言われて「余罪捜査の必要性」で却下されることがあります。

県民の皆様へ・公教育に対する信頼回復に向けて―― 私たちの決意 ――

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070418-00000232-mailo-l39
県教委の教職員を巡っては、今年に入り、香南市の男性中学教諭が児童買春容疑で逮捕、起訴されたり、県立高校の40代男性教諭が生徒にセクハラ行為をして懲戒免職になるなど不祥事が相次いでいる。

   土佐の教育改革10年
http://www.google.com/search?q=%E5%9C%9F%E4%BD%90%E3%81%AE%E6%95%99%E8%82%B2%E6%94%B9%E9%9D%A9%EF%BC%91%EF%BC%90%E5%B9%B4&rls=com.microsoft:ja:IE-SearchBox&ie=UTF-8&oe=UTF-8&sourceid=ie7&rlz=1I7GGLJ
の結果。

http://www.kochinet.ed.jp/190417ketui.pdf
県民の皆様へ・公教育に対する信頼回復に向けて
―― 私たちの決意 ――
私たちはこれまで、不祥事防止チェックリストによる自己点検や、それをもとにした話し合い、風通しの良い職場づくりなど、様々な不祥事防止のための取り組みを行ってまいりましたが、十分な成果をあげることができていません。
その反省と、土佐の教育改革10年の取り組みの経験から、学校を開き、学校・家庭・地域が協力して教育課題を解決することで、不祥事の起きない学校づくりが実現できることを改めて認識し、県民の皆様から信頼される公教育の確立に向け、不退転の決意を持って、次のことに取り組むことをお約束します。
県民の皆様には、今後とも本県教育の発展のため、地域の学校へのご支援をよろしくお願いいたします。

1 私たちは、教育の場におけるすべての物事の判断基準を、子どもの命と尊厳を守ることに置き、子どもたちが生き生きと学ぶことのできる学校づくりに取り組みます。
2 私たちは、これまで以上に学校を開き、保護者や地域の皆様に学校運営に参画していただくことを通じて、学校のあり方、教育活動のあり方を常に見直していきます。
3 私たちは、法令や社会規範を遵守し、教育に携わる公務員としての倫理性を高める不断の努力を続けます。
4 私たちは、助け合い支え合うことを最高の価値観とする共通認識を育て、不祥事を起こさない職場環境をつくります。
5 私たちは、初心に返って、子どもたちの教育に携わることの喜びと誇りを今一度心に刻み、使命感と責任感を持って仕事に取り組みます。

 被告人質問で「これからは心を入れ替えて真面目に生きます」とか言わせると、検察官はすかさず「被告人のこれまでの長年の生活態度で本件に至っているのに、一朝一夕に変わるんですか?」と突っ込まれますが、教育改革と言われて久しいのにこうも事件が多いというのは、教育委員会にも、「長年の改革を経て本件に至っているのに、一朝一夕に変わるんですか?」と聞いてみたいですね。

強姦・強制わいせつの裁判例150件

 係属中の事件処理のために、量刑の傾向・量刑の要素・法令適用を知る必要があって、ぼちぼち回っています。
 東京・大阪は件数膨大なので、らちがあかない。
 そこで周辺の小庁で数十件まとめて閲覧して、分析しています。
 札幌、函館、和歌山、長崎、大阪・・・で、現在150件くらい。1庁1日でのべ5日程度の調査。1000件くらい集めれば納得。
 具体的なデータは弁護士会と保管検察官から口止めされていますが、抽象的な要素くらいなら構わないでしょう。

量刑要素
 未遂・既遂 未遂の理由
 暴行・傷害の程度
 後遺症(精神的)
 謝罪・示談(示談金の相場との比較)
 被害感情
 共謀・主従
 計画性
 常習性
 被害者の過失
 被害者の年齢
 罪数
 現場の性格(被害者宅・路上・・・)
 二次的被害(被害者尋問)

 まあ当たり前な要素が考慮されていますが、それらが考慮されると、どれくらいの量刑になるかは判決を見ないとわからない。見ればわかる。
 犯行のパターンも数種類(侵入型、通り魔型・・・)に分けられますし、量刑ゾーンというのも見えてきました。
 奥村弁護士の仕事に使うのは構わないが、公表はだめなんだそうですから、知りたい人は、奥村の手法をまねて、ご自分で調べて下さい。

 よく「わいせつ判例100選」でも出したらと言われますが、古典的な罪で、論点も出尽くしているので、判例として注目すべき判決はめったに見あたりません。

見知らぬ人から「奥村先生に昔お世話になった事件について・・・」という問い合わせ

 電話の声にも見覚えがない。
 事務所の記録庫にも見あたらない。
 事件管理と独立前の事務所にも聞いて見あたらない。
 名字でパソコンのファイルを検索してもヒットしない。(書いた文書に名前が出てこない)
 仕方がないので、裁判所に聞いたら、代理人は「○奥×××弁護士」だったと判明。
 登録以降に書いた書面はHDDに全部残しているので、これで見つからなければ扱っていないことがわかります。

出会い系サイト:関連犯罪、過去最高の248件 県警、フィルタリング要請 /神奈川

 
   出会い系で見知らぬ男と会って被害に遭えば、
   被害者の過失として被告人に有利な事情として考慮される(刑が軽くなる)
というのも教えて下さい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070419-00000023-mailo-l14
同課によると、06年の検挙数は前年比43件増。統計を取り始めた01年の48件に比べ、5倍以上に増加した。うち9割以上が、未成年者を対象とした児童買春・児童ポルノや県青少年育成条例違反事件だった。
 NTTモバイル社会研究所の調査(05年3月)によると、携帯電話を持つ少年は▽高校生96%▽中学生67%▽小学生24%――に上る。出会い系サイトや、自殺方法や爆弾作製方法を教える有害情報サイトも多い。携帯電話大手3社は、3社が公認したサイト以外に接続できなくなる「フィルタリング」の無料サービスを実施しているが、あまり知られておらず利用者も少ないのが現状だ。

小中学生の少女9人に暴行、18歳少年に懲役5─10年(八王子支部H19.4.20)

 PTSDで致傷になっていて、無期懲役が求刑されています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070420-00000414-yom-soci
小原春夫裁判長は「人間性の片鱗(へんりん)すら見出すことのできない冷酷で卑劣な犯行」として、少年法の有期刑では最も重い懲役5年以上10年以下(求刑・無期懲役)を言い渡した。
 判決によると、少年は昨年9月2日、町田市内の路上で女子中学生に対して「騒いだら殺すぞ」と脅して性的暴行を加え、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせるなど、2005年7月〜昨年9月に、7〜14歳の小中学生の少女9人に対し、性的暴行やわいせつな行為をした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070420-00000064-jij-soci
弁護側は「教育を基礎とした保護処分が必要」として、家裁移送の決定を求めていたが、小原裁判長は「被害者の受けた肉体的、精神的苦痛は極めて深刻で、被告のゆがんだ性格や性的嗜好(しこう)には根深い問題があり、刑事処分をもって臨むほかない」と退けた。
 一方、検察側の求刑については、「犯行当時16歳から18歳と未熟で、成育環境にも恵まれなかった」などと指摘。「無期懲役は重きに失する」と判示した。 

 少年法51条2項の緩和は適用せず、52条2項の有期刑の上限になっています。

少年法
第51条(死刑と無期刑の緩和) 
罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
2 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上十五年以下において言い渡す。
第52条(不定期刑)
少年に対して長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、その刑の範囲内において、長期と短期を定めてこれを言い渡す。但し、短期が五年を越える刑をもつて処断すべきときは、短期を五年に短縮する。
2 前項の規定によつて言い渡すべき刑については、短期は五年、長期は十年を越えることはできない。
3 刑の執行猶予の言渡をする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。

 ちなみに、犯人が成人の場合は、被害者が児童で9罪もあると、懲役15年〜20年くらいでしょうか。2年×9=18年みたいですが。