児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

<健康番組>専門家登場で半数が信用する

 報道やバラエティ番組の法律関係の話題でも、学者とか弁護士のコメント・絵が欲しいという依頼があります。
端的に
   番組構成上、弁護士のコメントがあると締まる(信用性が増す)ので
   お願いします
というのですが、あまりに専門外のことを聞いてくるし、今からカメラが行くとか言うので閉口しています。そういう時は、適当な弁護士や学者を紹介して逃げることにしています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070305-00000010-mai-soci
 「どういう健康情報番組なら信用するか」を複数回答で尋ねたところ、「専門家が登場して解説する」が47%で最も多く、▽効果がない例も紹介している(39%)▽新聞記事などでも紹介されている(34%)▽人を使った「実験」をしている(27%)――と続いた。

ということで、弁護士や法学部教授がコメントしていても、専門外の場合は、結構、トンチンカンなこと言っていることがあります。

当番弁護士にも否認。

 依頼者が弁護士に言った言わないというトラブルはいやなので、最近、接見でも、目前で打ち合わせメモを作って、事務所宛にメールして、印刷して差し入れています。打ち合わせの可視化。

http://www.asahi.com/national/update/0304/TKY200703040205.html
 男性は02年3月に起きた強姦未遂事件で県警から同4月に任意の取り調べを受けた。当初否認したが、聴取3日目に自白。県警は男性を逮捕した。当時、同居していた父親は入院中で、一人暮らしだった。
 男性によると、任意の取り調べの際、取調官から「家族が『お前に違いない、どうにでもしてくれ』と言っている」などと何度も迫られた。「犯行時間帯には電話をかけていた」と訴えても、取調官は「相手は電話を受けていないと言っている」と認めず、「家族にも信用されていないし何を言ってももうだめだ」という心境になったという。
 逮捕後、思い直して、検察官と裁判官に対し一度は否認した。その後、県警の取調官から「なんでそんなこと言うんだ、バカヤロー」と怒鳴られた。翌日、当番弁護士にも否認した。すると、取調官から白紙の紙を渡され、「今後言ったことをひっくり返すことは一切いたしません」などと書かされ署名、指印させられた。「『はい』か『うん』以外は言うな」と言われ、質問には「はい」や「うん」と応じ続けたという。
 起訴後の弁護士は国選で、数回やりとりをしたが、すでに取り調べで罪を認めざるを得ないと思い詰めていた。「否認しても信じてもらえない」と、公判でも一貫して認め続けた。
 男性は「誰かが、がんばれがんばれと言い続けてくれたら、がんばることができたかもしれない」と無念さをにじませた。判決を言い渡され「申し訳ございませんでした」と言ったが、「やってもいないのに、何でこんなことを」と悔しくて涙が出たという。

 奥村がよく聞くのは、年齢知情の問題。ときどき、元被告人(在宅・獄中)から、
   実は被害者の年齢を知らなかった
   ××弁護士も認めた方がいいと言っていた
   納得できない
   裁判をやり直したい
という相談がありますが、それこそ再審請求になるので、後から言い出してもなかなか取り返しがつきません。

 児童ポルノ・児童買春・児童淫行罪・青少年条例違反・強姦・強制わいせつの児童・青少年の知情(年齢知情・不知)については、奥村弁護士は、
    知っていれば知っていた、知らなかったら知らないと供述せよ
    警察に合わせて背伸びする必要はない
    知らなかったという主張が通れば、起訴されないであろう。
    ただし、知っていたのに知らなかったと供述した場合、
    不合理な弁解と評価されて・・・の量刑になる。
という姿勢です。児童ポルノの個別の被害児童についても同じ。

 弁護士の中には、否認事件は弁護人にも面倒なので、
   認めた方が楽になる・軽くなる
と自白を勧める人もいますが、軽い罪ならともかく、福祉犯・性犯罪は認めても重いわけだから、慎重に語るべきだと思っています。

被疑者・被告人からだいたいの量刑を聞かれて、法定刑を回答する弁護士。

 これ、時々聞きます。
 たとえば著作権法違反なら
   「五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金、又は併科」じゃ。
   後は個別事情だ 実刑もある。
と回答するらしいです。

第119条 
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作者人格権著作権、実演家人格権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者

 しかし
   質問者が聞きたいのは、質問者に科される量刑であるのに、答えていない
   罪数処理によっては併合罪加重されることがあることを看過している
点で問題です。
 せめて、弁護士会の量刑調査くらい調べて回答すべきです。
 量刑の見通しを誤ると、初動の弁護が遅れて(国選弁護人に任せて弁償も謝罪も全然してないとか)、取り返しがつかないことがあります。
 ということで、受任した罪名ごとに量刑を調べているんですが、この辺の弁護士会は「そこまでしなくていい」と消極的なようです。

 重い量刑(実刑)を覚悟させておいた方が、
  「先生のおかげで執行猶予がつきました」
  「そうじゃろうー」
なんてことで、報酬とか請求しやすいんですが、量刑相場がわかってくると、それも詐欺みたいじゃないですか。
 奥村が今日起案した刑事事件用の委任契約では、量刑調査によって執行猶予は確実なので、報酬は無料にして、着手金+弁護士の手間(接見とか保釈とか公判とか)の手数料+実費という計算方法にしました。
 実刑の危険が現実にある事件では、
   実刑・求刑より減軽の場合(確率 %)  万円
   執行猶予の場合(確率 %)  万円
など場合分けを例示して報酬金をもらうという契約にしています。

2ちゃんねる管理者、敗訴43件も制裁金4億円不払い

 奥村も名誉毀損・信用毀損の民事事件を抱えています。

 民事訴訟は「支払え」という判決が確定したら払うという約束で回っている制度ですので、こういう人がいると困りますね。

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20070305it05-yol.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070305-00000005-yom-soci
命じられた賠償額は約5800万円、仮処分命令などに従わないことによる「制裁金」が1日当たり約88万円、累計約4億3400万円に上るが、氏が自ら支払いに応じたケースはほとんどないと見られる。原告側は勝訴にもかかわらず賠償を得られない状態で、ネットの無法状態と司法の限界が露呈した形だ。

 どうやって調べたんでしょうか?裁判所しかないですけど。
 債権者破産の申立に使えると思いますが。
 なんか次の動きがありそうです。


 先日、相談に見えた方は、欠席判決と執行困難について説明すると
  弁護士より必殺仕置人さがしますわ
と言ってました。
 まさに司法の危機ですね。

しかし、管理者の刑事責任については、

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20070209/1170924851
画像掲示板管理者の刑事責任に関する裁判例
(1)幇助とするもの
①新潟簡裁H12.1.21
名古屋地裁H18.1.16(起訴は共謀共同正犯。不作為犯構成)←奥村弁護士
名古屋地裁H19.1.10(控訴中)←奥村弁護士
名古屋高裁h19 ←奥村弁護士
(2)単独正犯とするもの
横浜地裁h15.12.15(不作為犯構成)←奥村弁護士
②東京高裁H16.6.23(上告中)(作為犯構成)←奥村弁護士
京都地裁H9.9.24(不作為犯構成)
④大阪高裁H11.8.26(不作為犯構成)
最高裁 ←奥村弁護士
(3)共謀共同正犯とするもの
千葉地裁H14.9.24(事前共謀による開設の事例)
東京地裁H18.4.21(名誉毀損
名古屋地裁H18.2.24

という状況ですから、不当に重い責任とならないように見守る必要もあると考えています。