児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

被害青少年(14)が、被疑者と結婚の相談をしていたにもかかわらず「結婚なんてあり得ない。被疑者は私の体目当てで付き合っていただけ。」などと供述した事例

 親にバレちゃうと、そうなるものです。
 奥村が経験した事件でも、数件の淫行があって、警察が青少年条例違反で捜査して、略式起訴されて、罰金払えないので正式裁判になったところで、全部の淫行について強制性交の告訴が出たことがあります。
 検察官請求証拠は青少年条例違反で出来上がっていて、暴行脅迫の証拠がないので、強制性交罪であれば無罪(青少年条例違反も不成立)になるので、被告人・弁護人は強制性交への訴因変更を希望しましたが、検察官から「取下させますから」という連絡があり、検察官が被害者を説得して、告訴取下となり、青少年条例違反で罰金になりました。

研修(平31. 4, 第850号)北から南から
新任検察官奮戦記 加藤由衣検事
3被害者の本音2つ目は,青少年保護育成条例違反の事件です。
この事件は, 中年男性の被疑者が, 当時14歳の女児と性交し,青少年育成条例で罰則規定のある「青少年とのみだらな性行為」(結婚を前提としない単に欲望を満たすためのみに行う性行為)に及んだとして逮捕された事案でした。
被疑者は,女児と性交したことは認めるものの,結婚を前提に交際する中で性交したのであって,単に欲望を満たすためではない旨供述し,「みだらな」該当性を否認していました。
一方,女児は,警察の取調べで「結婚なんてあり得ない。被疑者は私の体目当てで付き合っていただけ。」などと供述しており,私自身も,被疑者と女児には二回り以上の年の差があり,女児は結婚を具体的に考えられる年齢でもなかったこと等から,結婚を前提とした交際は考えにくく,被疑者の弁解を排斥して起訴する方針で検討していました。
しかし,捜査を進めていくと,被疑者と女児のメッセージのやりとりの中には,結婚の時期や,子どもの人数や名前の相談, また,被疑者から女児に対して,女児の気持ちの準備ができるまで性交を待つことを伝えるなどのメッセージが確認され, さらに,女児が, 当初「被疑者は真剣に付き合っている彼氏だから捕まえないでほしい。」などと言っていたこと等が明らかになりました。
私は,警察の取調べでの女児の供述に何となく違和感を覚え,処分方針に悩み,指導担当検事に相談したところ,指導担当検事から, 「自分で直接確かめないと処分は決められない。女児が本心ではないことを話したのだとしたら, どうしてなのか, どうしたら本心を話してくれるのか考えて,取調べをしたらどうか。」といった御指導をいただき,女児の取調べを行うことにしました。
女児の取調べの前に,女児の生活環境等について捜査を行うと,女児が親と不仲であったことや,女児の供述は本件発生後に親と接触してから一変したこと等が明らかになり, これらの事情から,女児が,親の顔色をうかがって供述を変遷させた可能性が出てきました。
女児からどのように話を聞くか悩みましたが,女児の立場だったら,話が親に伝わることを危愼すると思い,女児に対しては, 聞いた話を親に報告することはしないと伝えた上で,話を聞くことにしました。
すると,女児は,取調べで,被疑者に対する正直な思いを語ってくれました。
女児の供述は変遷したわけですが, その理由は,予想していた内容に近い,納得できるものでした。
私は,女児の話を聞いて附に落ちる感覚があり,最終的な処分は,青少年保護の観点等からよくよく悩みましたが,不起訴処分としました。
この事件を通じて,供述に違和感を覚えたら, なぜその人がそのような供述をするのか想像力を働かせ, どうしたら本当のことを話してもらえるかを検討することの重要さと難しさを学びました。