児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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強制性交等罪2罪で懲役4年(神戸地裁h30.3.20 求刑5年)

 法定刑の下限が引き上げられましたが、酌量減軽で従前の量刑相場を維持している感じです。

「本件が暴行脅迫を用いたり、抵抗しにくい状況に乗じたりしての犯行ではないこと、被告人が本件犯行を行ったこと自体は認めて反省の言葉を述べていることなどを考慮し、13歳未満の女性に対するこれまでの強姦罪の量刑傾向を踏まえつつ、被告人に対しては、酌量減軽」ということです。

神戸地方裁判所
平成30年03月20日

主文
被告人を懲役4年に処する。
未決勾留日数中50日をその刑に算入する。

理由
(犯罪事実)
 被告人は、被害者が13歳未満の者であることを知りながら、同人と性交等をしようと考え、
第1 平成29年11月14日午後7時23分頃から同日午後11時26分頃までの間に、A市a区bc番dにおいて、同人(当時11歳)と性交及び口腔性交をし
第2 同日午後11時32分頃から同月15日午前5時45分頃までの間に、同区e町f番gにおいて、同人と口腔性交をし
た。
(証拠)
(法令の適用)
罰条 判示第1、第2の各所為につき、いずれも刑法177条後段
併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の重い判示第1の罪の刑に法定の加重)
酌量減軽 刑法66条、71条、68条3号
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件は、インターネットを介して知り合った11歳の被害者に対する強制性交等の事案である。
 被告人は、被害者が過去の特異な性体験などによって心身ともに大きく傷ついていることを知っていたのだから、30歳にもなる大人としては、そのような被害者を慮り、その発達に更なる悪影響を及ぼすような行動は厳に慎み、むしろ、年齢に応じた健全な性的価値観を有することができるよう諭さなければならない立場にあったといえるのに、かえってその心の傷に乗じるようにして、性欲の赴くままに、異なる場所で繰り返し犯行に及んだ(本件の犯行態様等からすれば、被告人が性欲を満たすために犯行に及んだことは明らかで、これに反する被告人の供述は信用できず、また、前記経緯に照らすと、被害者が被告人に対して好意を抱いている旨を供述していることも大きく考慮することはできない)。このように、本件犯行は身勝手かつ卑劣であり、そのような犯行により被害者の心身の健全な発達に悪影響を及ぼすことが強く懸念される。また、被告人は、平成28年11月に恐喝罪等により懲役1年6月、3年間執行猶予に処せられ、執行猶予中であるにも関わらず本件犯行に及んだことも、強い非難に値する。被害者の母親も、厳しい処罰を求める旨述べている。これらの点からすると、被告人の刑事責任は重いというべきである。
 そこで、本件が暴行脅迫を用いたり、抵抗しにくい状況に乗じたりしての犯行ではないこと、被告人が本件犯行を行ったこと自体は認めて反省の言葉を述べていることなどを考慮し、13歳未満の女性に対するこれまでの強姦罪の量刑傾向を踏まえつつ、被告人に対しては、酌量減軽の上、主文のとおり刑を量定した。
(求刑懲役5年)
第2刑事部
 (裁判長裁判官 小倉哲浩 裁判官 倉成章 裁判官 牛濵裕輝)