児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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1年10月ほどの間に,住居侵入・強姦1件,住居侵入・強制わいせつ2件,路上での強制わいせつ1件,住居侵入・窃盗2件及び邸宅侵入1件を犯した事案について、懲役7年とした事例(京都地裁H29.12.7)

 撮影行為がわいせつ行為とされています。

住居侵入,強制わいせつ,強姦,窃盗,邸宅侵入被告事件
【事件番号】
京都地方裁判所判決平成29年12月7日
【掲載誌】 
LLI/DB 判例秘書登載
       主   文
 被告人を懲役7年に処する。
 未決勾留日数中220日をその刑に算入する。
       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1(平成29年3月29日付け起訴状記載の公訴事実)
   正当な理由がないのに,平成27年1月7日午後零時5分頃,K市内の当時のA方に,玄関から侵入し,その頃から同日午後零時54分頃までの間,同所において,帰宅してきた同人(当時20歳)に対し,背後から抱きついてその口を塞いだ上,「叫んだら殺すぞ。」と言い,同人の衣服を脱がして全裸にし,同人の胸部付近に馬乗りになるなどの暴行脅迫を加え,その反抗を抑圧した上,強いて同人を姦淫し
第2(平成29年7月21日付け起訴状記載の公訴事実)
   正当な理由がないのに,平成27年2月15日午前1時45分頃から同日午前1時54分頃までの間,株式会社B代表取締役会長Cが看守するK市所在のマンションの空き室である○-△号及び共用通路等に1階出入り口から侵入し
第3(平成29年6月20日付け起訴状記載の公訴事実)
   正当な理由がないのに,平成27年5月28日午後11時頃から同月29日午前3時頃までの間に,K市内の当時のD方に,無施錠の西側掃き出し窓から侵入し,同人所有の現金約2万5000円を窃取し
第4(平成29年5月18日付け起訴状記載の公訴事実)
   正当な理由がないのに,平成27年9月15日午前7時30分頃から同日午後4時30分頃までの間に,K市内の当時のE方に,無施錠の西側腰高窓から侵入し,同人所有の現金約8万5000円を窃取し
第5(平成29年9月20日付け起訴状記載の公訴事実)
   平成28年1月13日午後11時38分頃,K市内の路上において,F(当時20歳)に対し,いきなり背後から抱きつき,スカート内に手を差し入れてストッキングの上からその陰部を触り,もって強いてわいせつな行為をし
第6(平成29年3月2日付け起訴状記載の公訴事実)
   G(当時18歳)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成28年10月28日午後7時25分頃,K市内の当時の同人方に,あらかじめ不正に入手していた合い鍵を使って玄関から侵入し,その頃から同日午後7時40分頃までの間,同所において,帰宅してきた同人に対し,その口を布様のもので塞ぎ,「声を出すな。」などと言い,同人の身体をつかんで床に倒すなどの暴行脅迫を加えて,その反抗を抑圧した上,同人のブラジャーの中に手を入れてその乳房をもみ,同人のパンティーの中に手を入れてその陰部を弄ぶなどし,もって強いてわいせつな行為をし
第7(平成29年1月23日付け起訴状記載の公訴事実)
   H(当時19歳)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成28年11月4日午前9時30分頃,K市内の当時の同人方に無施錠の玄関から侵入し,その頃から同日午前9時49分頃までの間,同所において,同人に対し,その左腕を右手でつかみ,その口を左手で塞ぎ,同人をベッドに押し倒して,両手で同人の首を絞め,「抵抗したら殺すぞ。」と言うなどの暴行脅迫を加えて,その反抗を抑圧した上,同人の衣服を脱がして全裸にし,「舐めたら許したる。」などと脅迫して自己の陰茎を口淫させ,その口淫させている状況をスマートフォンで撮影するなどし,もって強いてわいせつな行為をし
たものである。
(証拠の標目)
 省略
(法令の適用)
 省略
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,1年10月ほどの間に,住居侵入・強姦1件,住居侵入・強制わいせつ2件,路上での強制わいせつ1件,住居侵入・窃盗2件及び邸宅侵入1件を犯した事案である。
 強姦又は強制わいせつを含む4件の犯行のうち,最も重い住居侵入・強姦(判示第1)は,被害女性の自宅に侵入しての犯行という点で大きな恐怖を与えるものであり,姦淫行為の様子を撮影している点でも,被害女性に強い恐怖や不安を与えるものであるから,計画的犯行とまでは認定できないことや,姦淫行為に及んだ時間が長くないことを考慮しても,かなり悪質であり,これが低いなどという弁護人の主張は到底採用できない。住居侵入・強制わいせつ2件(判示第6及び第7)も,いずれも被害女性の自宅に侵入しての犯行であり,そのうちの1件(判示第6)は不正に入手した鍵を使用したという侵入態様の特に悪質なものであることに加えて,いずれの犯行の態様も,下着の中に手を入れて陰部や乳房を弄んだり(判示第6),全裸にした上で自己の陰茎を口淫させて射精し,その様子を撮影するなど(判示第7),被害女性の性的自由に対する侵害の程度の大きいものであり,悪質性が高い。さらに,被告人は,夜間に帰宅途中の被害女性に対して後方から抱きついて着衣の上から陰部付近を触るという路上での強制わいせつ(判示第5)も犯している。これらの犯行の被害女性の肉体的・心理的苦痛が大きく,結果が重大であることはもとより明らかであって,そのことは,各犯行の内容自体に加えて,住居侵入による各犯行の被害者がいずれも事件後に転居していることや,強制わいせつの被害者がいずれも厳罰を望み,示談の申出にも応じていないことなどからも裏付けられている。加えて,被告人は,住居侵入・窃盗(判示第3,第4)や邸宅侵入(判示第2)にも及んでいる。そうすると,被告人については,性犯罪の常習性が認められるだけでなく,規範意識の鈍麻が顕著であるというべきであり,厳しい非難に値する。以上によれば,被告人の刑事責任は重く,侵入類型の強姦1件に加えて複数の強制わいせつ等に及んだ場合の量刑傾向にも照らすと,被告人は相当長期の実刑を免れない。
 他方で,父親の協力を得て住居侵入・強姦,住居侵入・窃盗2件及び邸宅侵入(判示第1から第4)の各被害者との間で示談が成立していること(それ以外〔判示第5から第7〕の各被害者に対しても被害弁償の申出をしている。),被告人に前科前歴がないことは量刑上相応に考慮すべき事情というべきであり,その他,被告人の父親が公判廷において同居の上での監督を誓約していること,被告人が各犯行を大筋で認め,カウンセリングを受けるなどして再犯防止に努める旨供述していることなど被告人のために酌むべき事情も存在するので,これらも考慮して具体的な刑期を量定した。
(求刑 懲役9年)
(検察官江戸まりん及び国選弁護人清水和隆各出席)
  平成29年12月7日
    京都地方裁判所第1刑事部
        裁判長裁判官  橋本 一
           裁判官  奥山雅哉
           裁判官  秦 卓義