児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

被告人は,性交場面等の動画を投稿して金銭を得る目的で,知り合った女性被害者をだまして,被害者らとの性交場面を無断で撮影・投稿したなどとしてその罪を問われた事案。裁判所は,犯行態様はまことに卑劣・非人間的で,被害者らが受けた精神的苦痛は極めて大きく,常習性の高い職業的犯行であり,利欲目的の動機や経緯に酌むべきところはなく,被告人の認知にはゆがみがあり,これを矯正しない限り同種異種の再犯のおそれを否定できないところ,被害者のうち1名と示談が成立していることなどを考慮し,懲役1年10月,保護観察付き執行猶予4年

 判例秘書なんだけど、調書判決の起訴状を載せてくれないので何をやってこの量刑なのかがわかりません。判示第3まであることはわかりますが。
 罪となるべき事実がわからないので、法令適用も合ってるのかわかりません。

判例番号】
L07250533
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列被告事件

【事件番号】
京都地方裁判所判決/平成29年(わ)第262号、平成29年(わ)第330号、平成29年(わ)第474号
【判決日付】
平成29年7月3日
【判示事項】
被告人は,性交場面等の動画を投稿して金銭を得る目的で,知り合った女性被害者をだまして,被害者らとの性交場面を無断で撮影・投稿したなどとしてその罪を問われた事案。裁判所は,犯行態様はまことに卑劣・非人間的で,被害者らが受けた精神的苦痛は極めて大きく,常習性の高い職業的犯行であり,利欲目的の動機や経緯に酌むべきところはなく,被告人の認知にはゆがみがあり,これを矯正しない限り同種異種の再犯のおそれを否定できないところ,被害者のうち1名と示談が成立していることなどを考慮し,懲役1年10月,保護観察付き執行猶予4年,罰金20万円に処した事例
【掲載誌】 
LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

 被告人を懲役1年10月及び罰金20万円に処する。
 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。
 この裁判確定の日から4年間その懲役刑の執行を猶予し,その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。
 訴訟費用は被告人の負担とする。

       理   由

(罪となるべき事実)
第1 平成29年4月28日付け起訴状記載の公訴事実のとおりであるからこれを引用する。
第2 同年3月10日付け起訴状記載の公訴事実のとおりであるからこれを引用する。
第3 同月24日付け起訴状記載の公訴事実のとおりであるからこれを引用する。
(証拠の標目)括弧内の甲,乙で始まる番号は,証拠等関係カードにおける検察官請求証拠番号を示す。
事実全部について
・ 被告人の公判供述
・ 被告人の警察官調書(乙2,3,5,12)
・ 捜査報告書(甲6〔抄本〕,7,9),検証調書抄本(甲10),実況見分調書(甲16)
第1の事実について
・ 被告人の検察官調書抄本(乙18),警察官調書抄本(乙15から17)
・ K・Aの警察官調書抄本(甲18)
・ 捜査報告書(甲19,20〔抄本〕,21〔抄本〕,乙19)
第2の事実について
・ 被告人の警察官調書抄本(乙7,9)
・ M・Fの警察官調書抄本(甲2)
・ 実況見分調書抄本(甲3),捜査報告書(甲4,5〔抄本〕)
第3の事実について
・ 被告人の検察官調書(乙14),警察官調書抄本(乙13)
・ S・Sの警察官調書抄本(甲12)
・ 捜査報告書抄本(甲13,14),実況見分調書(15)
(法令の適用)
罰条       各行為中,第三者が撮影対象者を特定できる方法で私事性的画像記録物を公然と陳列した点はいずれも私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3条2項,2条1項1号,わいせつな電磁的記録に係る記録媒体を公然と陳列した点はいずれも刑法175条1項前段
科刑上一罪(観念的競合)
         いずれも刑法54条1項前段,10条(いずれも一罪として重い私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反の罪の刑で処断〔ただし罰金刑との併科の点及び罰金額の上限についてはいずれもわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪の刑のそれによる。〕)
刑種の選択    いずれも懲役刑と罰金刑との併科刑を選択
併合罪加重    刑法45条前段,47条本文,10条,48条2項(懲役刑については犯情の最も重い第1の罪の刑に加重,罰金刑については各罪所定の罰金の多額を合計)
労役場留置    刑法18条(金5000円を1日に換算)
懲役刑の執行猶予 刑法25条1項
保護観察     刑法25条の2第1項前段
訴訟費用の負担  刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の事情)
 被告人は,性交場面等の動画を投稿して金銭を得る目的で,知り合った女性被害者をだまして,被害者らとの性交場面を無断で撮影・投稿して本件各犯行に及んだ。その態様はまことに卑劣・非人間的であり,被害者らの受けた精神的苦痛も極めて大きい。そして,本件は常習性の高い職業的犯行でもあって,利欲目的という動機や経緯にももとより酌むべきところはない。弁護人は被害者に一定の落ち度があったと主張するが,被告人は被害者に対して自己が閲覧するだけの目的である旨うそを言って撮影をしているのであって,被害者に落ち度があるとはいえない。被害回復として犯行に用いた携帯電話の処分を求められても利己的な理由で応じようとしないことを含め,被告人の認知にはゆがみがあり,これを矯正しない限り同種異種の再犯のおそれも否定できない。
 他方,被害者のうち1名とは被告人が同被害者に20万円を分割払いすること(など)を内容とする示談が成立しており,また被告人は前科がないなどの事情もあるので,今回は主文の刑を定めた上で懲役刑に限ってその執行を猶予することとしたが,本件犯行の内容,常習性の高さ,被告人の性向や生活状況等を考慮すると,その猶予期間は長めとする必要があり,また,他の被害者に対する被害弁償も実現させる必要のあること(なお,訴訟費用を負担することを被害弁償をしない理由にさせないことを含む。)や,被告人に適正な監督者や満足できる更生資源が見当たらないことを考慮すると,保護観察による強力な指導が不可欠である。
 そこで,主文のとおり量刑した。
(求刑 懲役2年及び罰金30万円)
  平成29年7月3日
    京都地方裁判所第1刑事部
           裁判官  橋本 一