児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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街路又は公園その他公衆の集合する場所での大小便(大阪高裁H29.2.7)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170207-00000535-san-soci
現場の駐輪場が、同罪で規定する「街路または公園その他の公衆の集合する場所」に当たるかどうかが争点だった。駐輪場は自転車15台ほどを止められるスペースがあり、検察側は「公園その他の公衆の集合する場所」に該当するとして男性を起訴したが、1審判決は「公園などに比べると、極めて狭い」として違法性を認めなかった。
 高裁判決も「公衆の集合する場所ではない」として1審の判断を踏襲しつつ、駐輪場が道路に面していることなどから「街路」に当たり、同法違反罪が成立するとした。閉廷後、男性の弁護人は「現場は私有地であり、街路という判断はおかしい」と話した。控訴審判決によると、男性は平成27年12月8日、大阪市福島区のビル駐輪場で立ち小便をした。

第一条[軽犯罪]
 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十六 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
軽犯罪法新装第2版」伊藤栄樹・勝丸充啓 
本号は,風俗及び公衆衛生上の観点から,街路又は公衆の集合する場所での排せつ行為等を禁止しようとするものであり警察犯処罰令第3条第3号(「街路ニ於テ尿尿ヲ為シ又ハ為サシメタル者」)を受け継いだものである。
2 行為の場所
行為の場所は,?街路又は?公園その他公衆の集合する場所である。
(1) 『街路』
「街路」の意義については,第6号の解説2(3)ア参照。すなわち,例えば,人家等が周囲にないような場所に位置する山道ゃあぜ道等は,「街路」とはいえない。
「街路」は,必ずしも表通りに限らない。また,橋, トンネル,道端の下水溝等の道路の付属物を含む。
(2) 『公衆の集合する場所』
「公衆の集合する場所」の意義については,第6号の解説2(3)ウ参照。
「場所で」とは,行為と結果とのいずれかがそれらの場所にあれば足り,排せっ行為をする際に身体の全部又は一部がそれらの場所にあることは,必ずしも必要でない。例えば,街路等から私有地やがけ下等に排せっする場合はもとより,街路.公園等の外にある屋内やがけ上等からそれらの場所に排せつする場合もまた「場所で」行ったものに当たる。
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第6号の解説2(3)
ア「街路」
「街路」とは,市街地の道路をいう。
市街地といい得るためには相当程度人家が連続している必要があるが,それで足り、当該地域が行政区画上市であるか町又は村であるかといったことや,当該道路が国道,都道府県道等であるか市町村道であるかといったことは,全て関係がない。また,道路の幅員の広狭も問わない。
ウ「公衆の集合する場所」
「公衆の集合する場所」もまた,平素多数の人が集合する場所であれば足り,現に人が集合していなくてもよい。また,そこに集合する人たちが一定の共通の目的を持っている必要はない。要するに,多くの人が集まる場所であればよい。このような場所としては.警察犯処罰令において例示されていた社寺(の境内),公園のほか,駅,競技場,町の広場等がこれに当たる。
また,立案者は,「公衆の集合する場所」としては,警察犯処罰令第2条第28号と同様に,専ら屋外の場所を考えていたようである(第2回国会参議院司法委員会会議録第6号3頁参照)が,本号において,「街路」は,専ら「公衆の通行する場所」と結び付いているものと解されるのみならず.「その他の」ではなくて,「その他」で結び付いているにすぎず(「その他」と「その他の」の差異については,第2号の解説(注5)参照), したがって,「公衆の通行し若しくは集合する場所」を屋外の場所と限定するような厳格な例示としての意味を持っていないしさらに,第l条第26号(排せっ等の罪)における「公衆の集合する場所」と殊更別異の概念と解すべき理由もないから,本号における「公衆の集合する場所」は,屋内屋外を問わないものと解する。したがって,駅の構内や公共の会堂,劇場,飲食店.ダンスホール等(第l条第5号〔粗野・乱暴の罪〕参照)も「公衆の集合する場所」に当たる。

益永義一 軽犯罪法解説s23 P119
街路とは市街の道路をゆう。その大小廣狭は問わない。路面ばかりでなく、路面にそった溝渠橋梁を含む0 市街の道路でない山道、野道.道路で怠い空地はふくまない。
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磯崎良誉 軽犯罪法解義
「街路」とは、市町村の人家の立並んでゐる地域の道路の意で、人家のない野道の如きは、包まれないと害する
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実務のための軽犯罪法解説
「街路」とは,本条第6号の「街路」と同様,相当程度人家が連続した市街地の道路をいう。したがって,いなかの山道,野道,畦道などは「街路」とはいえない。「街路」は,相当程度人家が密集していればよく,必ずしも表通りに限らない。また,橋, トンネル,路端の下水溝など道路の附属物を含む。
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軽犯罪法101問
街路とは、一般に市街地の道路をいうが、本号の立法趣旨、及び本号が単に「道路」とするのではなく「街路」と規定した趣旨からすると、相当程度人家の連続した市街地の道路を予定していると解するのが相当であろう
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軽犯罪法解説 警察庁警備局編s34
「街路」については第六号の項参照。
路面のみならず、附属の橋、溝などを含み、大通りたると露路たるとを問わない。街路から空地に向けてする場合あるいはその逆の場合、二階の窓から街路に向けてする場合あるいはその逆の場合、いずれも本号の適用がある。なお、「街路」は「又」で切れるから「公衆の集合する場所」の例としてあげているのではない。
(三堀、野木外 植松)
市街又は人家の集合した地域における道路を指し、表道路のみでなく裏露地もこれにあたる・又路面のみならず、これに沿ったみぞ、橋などもこれに包含きれる。山道、野道、あぜ道は勿論空地、野原のような場所においては本号の取締は受けない。(福原外、機崎)
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鈴木ら軽犯罪法解説s23
「街路」市街又は人家の集合した地域における道路を指し、表道路のみでなく裏露地もこれにあたる。又路面のみならず、とれに治ったみぞ、橋などもとれに包含される。
山道・野道、あぜ道は勿論空地、野原のような場所においては本号の取締を受けない
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風俗営業等取締法軽犯罪法 法務総合研究所s47
「街路」とは,相当程度人家が連続した市街地の道路で、ある。「公衆の集合する場所」は,屋内,屋外を問わない
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注解特別刑法 第7巻 (軽犯罪法)
本号は、旧令三条三号の「街路ニ於テ尿尿ヲ為シ又ハ為サシメタル者」を受け継いだものである。旧令と比べると、行為の場所に、「公園その他公衆の集合する場所」を加え、行為としても、「たんつばを吐き」を加えることにより、処罰の範囲をかなり拡大している。
街路
「街路」の意義は、本条六号の消燈の罪におけるそれと同様であり、市街地の道路をいう(6号参照)。したがって、いわゆる山道、野道、いなか道などは、「街路」にあたらない。
しかし、必ずしも表通りに限られず、相当程度人家が密集しているところであれば、裏通りもこれにあたる。橋、トンネル、下水溝などの道路の付属物とみられるものも、これに含まれる。
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註解特別刑法7軽犯罪法s58 p119
「街路」の意義は、本条六号の消燈の罪におけるそれと同様であり、市街地の道路をいう念溺睡。したがって、いわゆる山道、野道、いなか道などは、「街路」にあたらない。しかし、必ずしも表通りに限られず、相当程度人家が密集しているところであれば、裏通りもこれにあたる。橋、トンネル、下水溝などの道路の付属物とみられるものも、これに含まれる。
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植松正軽犯罪法講義s23
P147
街路叉は公園その他公衆の集合する場所である。この「街路」は「公衆の集合する場所」の例示ではない。「公衆の集合する場所」の例示とされているのは公園だけである。もし「街路」もその例示ならば「街路、公園その他公衆の集合する場所」と立言されるはずであ↓るのに、特に「街路」と「公園」との間に‐「叉は」という接續詞がはいっているのは、「公園」だけが「公衆の集合する場所」の例示であって、「街路」は別記のものであることを示すためである。『街路」は公衆の通行する場所であってその集合する場所ではないから、両者が別記されたかであるが、立法の本旨からいえば、街路も公園その他公衆の集合する場所もその性質において同種のものであるから、本号により同様の取扱を騒げるのであり、それがまた當然である
「街路」および「公衆の集合する場所』については消燈罪(6号)に関する説明参照。
P62
消燈罪(6号)
「街路」とは公衆の交通のかなり頻繁な道路を意味する。道路の大小。廣狹を問わぬ。府縣道とか町村道とかいるような行政上の種別も問題外である。こういう行政上の区別は必ずしも交通量に合致しない。府縣道であっても山間などのあまり人の通らないものもあれば、町村道でも相當廣く且つ交通量の多いものもあるから、「街路」であるか否かは行政上の区別によって決すぐくぎでない。
多くはいわゆる人家軒を連ねる市街地の道路を意味することになるが、必ずしも通俗にいう「市街」たるを要しない。要するに、交通量が相當あることを要件とする。「相當」というのは後出の「公衆の集合する場所というのに照應する程度と解すればよい。行政上は縣道というような名称になっていても、山の中に設けられて居て、あまり人の通行しないような道路もあるが、これは「街路」ではない。山道、野道、畦路のようなものが街路でないことはいうまでもあるまい。

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大塚仁「特別刑法 軽犯罪法法律学全集42
「街路」とは、人家の立ち並んでいる地帯の道路を意味し、行政区劃上、市町村のいずれに属するかを問わない。それは、公衆の通行し、もしくは集合する場所の例示である。
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入戸野行雄検事 軽犯罪法詳解s23 P24
6号
街路その他公衆の通行し・…街の道路に設けられたる燈火即ち街燈を謂ふ。道路でなくとも公衆が通行する場所に設けられた燈火である。此れを消した者及公衆の集合する場所腫設けられた燈火・・・・此れは不定多數人が集る場所に設置された燈火であって停車場の廣場、公園等の燈火を指すものと解せらる
26号
街路又ば公園その他公衆の集合する場所でたんつばを吐き、又ば大小便をし、もしくはこれをさせた者 本号に似たる規定として令三條第三號がある。
街路とは市街の道路の意味である、田舎の小道や囲圃の間の道は街路でない事は勿論である水路も含までない
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馬屋原成男検事 軽犯罪法要解s23
P52
一旧警察犯処罰令三篠三項の改案で衞生警察的規定である。
二旧令では犯行の場所は街路のみを規定したのが新法ではその他公衆の集合する場所に範囲を廣めた。街路とはその側溝や橋も含む。公衆の集合する場所であるから単なる墓地とか市街地以外の山道や田圃の畦道を含まない。街路公園はその他公衆の集合する場所」の例示である
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軽犯罪法詳解 警察犯処罰令対照P86
街路 市街又は人家の集合している地域内の道路であつて•その路面はもちろん道路附属の溝渠や橋もも含むものである•従つてその道路が国道や府縣道といった道路であっても、山間村落にあつて沿道に人家が併立していなければここにいう街路ではない。

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軽犯罪法の解説 橋本裕藏
街路又は公園
「街路」は市街地の道路を意味します。市街地の道路であれば規模の大小は問いません。裏道も「街路」にあたります。橋、トンネル、街路のわきの溝も街路に含まれます。最近の地下街の通路も市街地の道路に含まれると解されます。山道、野道などは含まれません。市街地と市街地を結ぷ幹線道路は途中の市街地を通過している箇所は本号の「街路」に含まれますが、一面田畑の中を貫いて走る道路は「街路」にはあたらないでしょう。
「公園」は公有、私有を問いません。不特定または多数の人々が自由に出入り散策、休養できる構造の庭固であれば、00公園と表示されている必要はありません。
その他公衆の集合する場所
不特定または多数の人が集まる場所をいいます。屋内屋外を問いません。行為者が「場所」内にいる場合に限定されません。「場所」内から外へ本号の行為を行っても、場所外から「場所」内に行っても本号の罪の成立に影響しません。したがって、家の中から公衆の集合する場所内に本号に該当する行為を行えば本号の罪が成立します。
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警察全書 警察時報社S24
街路とは市街地の道路をいう。
もちろん路面のみならず路面に沿ったドブ・溝橋なども含む。従って空地野原のような道路でない場所を含まず、且つ、又山道野道あぜ道などは道路ではないから含まれない。


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検事谷田勝之助警察犯処罰令講義第4版m45
街路トハ市街村落内ノ道路ヲ請フ
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学説例規判例集成s03警察犯処罰例
P458
警察犯処罰令3条3号
街路トハ市街ノ道路ヲイフ。其ノ大小廣狭ハ問フトコロテナイ。叉街路卜云ソ中ニハ路面ノミナラス、路面ニ沿ヒタル溝渠及橘梁ヲ含ム・然シナカラ道路ニ非サル場所例ヘハ空地等ヲ包含セヌ・叉市街ニアラサル道路例ヘハ山道、野道、田圃道等ノ類チ含マヌ(塩野學士釈義一四四)
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街路二於テ尿尿チ爲シタル者、叉ハ爲サシメタル者ハ、緊急状態ナルコトチ主張シテ、本號ノ犯行ヲ免ルルコトチ得サルノハ勿論テアル。蓋シ外出者ハ其ノ家チ出ツルニ際シテ、予メ尿尿ノ注意チ為スキモノナルノミナラス、市街ニハ共同便所ノ設置アリ、叉他家二依頼シテ用便チ足スコトモ出來ルヵラテアル(塩野學士 釈義一四五)
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甘糟勇雄 著[他]警察犯処罰令註解p66
街路とは市街の道路なり
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刑事法学会 編 改正違警罪即決例釈義 附警察犯処罰令釈義p54
市街地の道路の謂ひなり 即ち市町村の人家列べる道路をいふ。
村落の間で通ずる道路のごとく人家列び居らざる淋しき場所を含まず
然れどもいみじくも市街地の道路なれば道路に出でて放尿する場合なると道路外より道路に向けて放尿する場合例えば二階より道路に向かいて放尿する場合なるとを問わず道路より下水道その他の水路に放尿する場合も亦包含す
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警察犯処罰令違警罪即決例解義p228
街路とは市街区の道路を言ふ 即ち市町村の人家列べる道路をいうものなり
人家無き野道のごときは街路にあらず
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警察犯処罰令講義 著者 谷田勝之助 p74
街路とは市街村落内の道路を言う
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警察犯処罰令釈義 図書 (警察叢書 ; 第2編) 大井静雄,高橋徳太郎 著 (法治社,1919)P78
街路とは市町村の道路を言う
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警察犯処罰令要論 図書 法曹閣書院 編[他] (法曹閣, 1908)P201
街路とは市街の道路(道敷及び道路に沿いたる溝並びに橋梁を含む)をいう、故に市街にあらざる道路例えば旧街道、山峠道等の路傍に屎尿を為すも本犯を構成せず。市街の道路なるときは抜け道 路地に於いてなすも本犯成立す
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検事谷田勝之助警察犯処罰令講義第4版P95
街路トハ市街村落内ノ道路ヲ請フ