児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「るろうに剣心」の作者が児童ポルノ単純所持容疑で書類送検された件によせて(罰金20万円 東京簡裁h30.2.27)

 この際、正しい知識を。
 単純所持罪は7条1項の罪。H27.7.15施行なので、それ以後の所持行為が処罰されうることになります。
 業界では、「自己性的目的所持罪」といって、目的要件があるので、必ず有罪になるわけではない。

 趣旨は所持も児童性的虐待ということ(3条の2)

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
1 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
第三条の二(児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止)
 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。

 捜査の端緒は、
①別件(痴漢・盗撮等)で押収された携帯端末からの発見
②販売者側の顧客リスト
がメイン。
 
 今のところ濫用防止規定が効いてて、所持罪だけでは逮捕しない方針

児ポ対ニュース34号
警察庁少年課に対する事前協議の徹底
既述のとおり、自己性的目的所持罪については、参議院法務委員会において、捜査権の濫用を防止することについて格段の配慮をすべきとの附帯決議がなされるなど、本罪の適用は慎重に行わなければならない。こうしたことから、警察として全国的に斉一な取締りが実施されるよう、全ての事案について、平成26年6月25日付け少年課長通達「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に基づく取締りの報告について」に基づき、確実に警察庁少年課(福祉犯係[警電○○)に事前報告を行い、協議すること
自己性的目的所持罪での現行犯逮捕
自己性的目的所持罪は、「自己の性的好奇心を満たす目的」及び「自ら所持するに至った者」を客観的・外形的証拠により立証することが必要とされているため、現行犯逮捕できる場合は極めて限定的である。ただし、逮捕時に以下の全ての要件を充たしている場合には、例外的に現行犯逮捕も可能と解される。
なお、自己性的目的所持罪で現行犯逮捕した場合は、警察庁少年課に速報すること。

 刑事処分は起訴猶予ないし罰金(~20万円)
 現認されないと処罰されないので、捜索前に物理的破壊を薦める。破壊したときから所持罪の公訴時効が起算されるので、できれば弁護士に依頼するなどして、破壊した時期と状況を残しておくことが望ましい。
 捜索を回避したい場合は、弁護士と相談した上、破壊して、警察に相談すると回避できることが多い。破壊の証拠をきちんと残して持参すれば、捜索が無駄足になるので、捜索されにくくなる。
 「所持罪で逮捕回避」「起訴猶予ゲット」という弁護士の宣伝には要注意。破壊しておけば逮捕も起訴もないから逮捕回避・起訴回避を頼む必要はない。問題は捜索の回避であって、どこの警察が来るのかわからないので、対策取りにくい。
 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171121-00000125-dal-ent
作者が児童ポルノで送検…「るろ剣」とは 累計6000万部超、映画、アニメも大ヒット
11/21(火) 19:06配信 デイリースポーツ
 人気漫画「るろうに剣心明治剣客浪漫譚-」の作者、が児童買春・ポルノ禁止法違反(単純所持)容疑で21日、警視庁少年育成課に書類送検されたことを受け、集英社は同日夕、月刊誌「ジャンプスクエア」で連載中の「北海道編」について、当面の間、休載すると発表した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171121-00058545-nksports-soci
るろうに剣心」新作が当面休載、作者書類送検
11/21(火) 19:03配信 日刊スポーツ
 人気まんが「るろうに剣心」の作者容疑者が児童ポルノ所持の疑いで書類送検された。女児の裸のDVDを持っていたとして、警視庁は21日、児童買春・児童ポルノ禁止違反容疑で、漫画家容疑者を書類送検した。
 集英社は同日、「ジャンプスクエア」で連載が復活したばかりの「るろうに剣心明治剣客浪漫譚-」について、「当面の間休載させていただきます」と発表した。今月発売の12月号が3話目だった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171121-00000542-san-soci
女児の児童ポルノ動画を所持したとして、警視庁少年育成課は21日、児童買春・ポルノ禁止法違反(単純所持)の疑いで、人気漫画「るろうに剣心」作者さん(47)=東京都西東京市=を書類送検した。
 送検容疑は10月、都内の事務所で、女児の裸が映った動画を収録したDVD複数枚を所持したとしている。「児童の裸が好きで、購入していた」などと容疑を認めているという。
 同課によると、別の児童ポルノ事件の捜査で、さんが児童ポルノDVDを購入していた疑いが浮上。事務所を捜索したところ複数のDVDが見つかった。


追記
罰金20万円 東京簡裁h30.2.27

https://www.jiji.com/sp/article?k=2018022700954&g=soc
略式起訴した。東京簡裁は同日、罰金20万円の略式命令を出した。
 東京地検によると、氏は昨年10月、東京都西東京市の作業所で、10代前半の女児の裸が写った動画が記録されたDVDなどを複数枚所持したとされる。

時系列
h29.5.2 販売業者逮捕
h29.10 捜索・所持現認
h29.11.21書類送検
h30.2.27略式起訴
h30.2.27略式命令 罰金20万円