児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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滋賀県青少年の健全育成に関する条例に違反して、青少年にいん行をしたとの非行事実で送致された少年が、行為当時16歳であったことから、同条例違反の罪が成立する余地がないとして、審判不開始とされた事例(大津家裁H22.3.23)

 「適用されない」とされている地方では、適用される罰則がないんだから触法少年・犯罪少年にはならない。
 「罰しない」とかはどうなんだ?
 適用される・処罰するという地方では、犯罪少年になる。

検察資料204「青少年保護育成条例罰則関係執務資料集-いん行・わいせつ行為等の禁止規定関係-」(法務省刑事局・S55)P4
青少年に対する免責規定
本禁止規定違反に対する罰則規定の適用について三四の条例では、青少年応対する免責規定を設けているが、その規定の内容も条例によって、相違がある。
(1)「この条例の罰則(規定)は、青少年に対しては適用しない。」とするもの18条例(埼玉、群馬、山梨、新潟、兵庫、愛知、三重、富山、佐賀、鹿児島、沖縄、福島、山形、岩手、秋田、徳島、高知、愛媛)
(2)
「この条例の違反行為をした者が青少年であるときは、この条例の罰則は、青少年に対しては適用しない。」とするもの10条例(神奈川、茨城、栃木、滋賀、福岡、大分、熊本、宮城、北海道、香川)
なお、右のうち、滋賀の条例では、青少年が営業者であって、その営業に関して違反行為をした場合には、罰則の適用があるとしている。
(3)「(罰則規定)は、青少年に対しては、適用しない。この条例の規定に違反する行為をしたとき青少年であった者についても、同様とする。」とするもの4条例〈奈良、和歌山、石川、宮崎)
(4)「(罰則規定)は、違反行為があった時に青少年であった者については、適用しない。」とするもの1条例(青森〉
 右のほか、罰則の構成要件そのものに青少年を除外している〈岐阜)のもある。

滋賀県青少年の健全育成に関する条例の手引きh21
(免責規定)
第29条この条例に違反した者が、青少年であるときは、この条例の罰則は適用しない。ただし、青少年が営業者であって、その営業に関する場合は、この限りでない。
【要旨】
本条は、この条例に青少年が違反したとき、その青少年が営業者であって、その営業に関する場合を除き罰則を適用しないことを定めたものである。
【解説】
1 .この条例が不健全な社会環境を排除したり、青少年の福祉を害する行為を防止し、健全な環境をつくりだすことによって青少年を保護し、その健全な育成を図ることを目的としていることから、罰則の適用については青少年を除外したものである。
しかし、第10条の規定で「婚姻により成人に達したとみなされた女子Jについては、本条の青少年に含まれないので罰則が適用される。
2. ただし書については、民法第6条に「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同ーの行為能力を有する。Jと規定されていることから、違反の責任を問うことにしたものである。
3 .この規定は、行為のとき青少年であった場合にも適用される。

大津家裁平成22年03月23日

主文
この事件については審判を開始しない。

理由
1 本件送致事実は次のとおりである。
  「少年は、平成21年5月日、滋賀県××市○○町×○○番地○の少年方において、B(平成×年○月×日生、当時16歳)が18歳に満たない青少年であることを知りながら、自己の性欲を満たすため、同人と性交し、もって青少年に対していん行をしたものである。」
2 ところで、滋賀県青少年の健全育成に関する条例(以下「本件条例」という。)24条1項には「何人も、青少年に対していん行またはわいせつな行為をしてはならない。」と規定され、本件条例27条1項には「第24条第1項の規定に違反した者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。」と規定されているものの、本件条例29条には「この条例に違反した者が、青少年であるときは、この条例の罰則は適用しない。ただし、青少年が営業者であって、その営業に関する場合は、この限りでない。」と規定されている(本件条例10条によれば、本件条例29条中の「青少年」とは、6歳以上18歳未満の者(婚姻した女子を除く。)を指すことになる。)。
  そうすると、本件送致事実のとおりの事実があったとしても、少年は当時16歳であり、営業者であったことを認めるに足りる証拠もないから、本件条例27条1項の適用はなく、少年について本件条例24条1項違反の罪が成立する余地はない。
3 したがって、本件送致事実が認められたとしても、少年は少年法3条1項1号所定の犯罪少年には該当せず(同法3条1項3号所定のぐ犯少年に該当すると認定し得る証拠もない。)、審判に付することができないから、同法19条1項により、この事件については審判を開始しないこととし、主文のとおり決定する。
 (裁判官 大野正男)