児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年委員会でのリベンジポルノの話題

 児童ポルノは法務委員会で、リベンジポルノは青少年委員会のようです

186 - 衆 - 青少年問題に関する特別… - 6号
平成26年06月10日
○宮川委員 自由民主党宮川典子でございます。
 きょうは、当委員会二回目の質問の機会をいただきました。委員長並びに理事の先生方に心から感謝を申し上げたいと思います。
 今、日本の中で、日々テレビで、また新聞で、凶悪犯罪が報道される毎日が続いております。いろいろな事件が起きているのは確かでありますけれども、しかし、私が思うのは、こういう情報に毎日さらされている日本の子どもたちは、これから犯罪というものに対して感覚が鈍くなり、また、自分たちがいとも簡単に凶悪な犯罪に手を染めるようになってしまうんじゃないか、そういうことに対して大変危惧をしております。
 今、子どもたちが犯す青少年の犯罪を見ましても、大人顔負けの内容になってきたなと皆様もきっと思われるところではないかなと思いますが、そういう大きな犯罪にいとも簡単に手を染めてしまう、また、みずからの人生やこの世の中を悲観して心の闇の中に閉じこもって引きこもってしまったり、みずから命を落としてしまう青少年がたくさんいる。
 こういう問題を見るに当たって、私たちが本当に思いますのは、時代というのは必ず変遷をしてまいりますから、私たちが若者だったときの常識は、今の若者には通用しません。ですから、私たち大人が常識を捨てて、そして、今の子どもたちに一体何が起きているのかをしっかり冷静に分析をし、判断をしながら青少年問題を考えていかなければいけないと日ごろから思っております。
 青少年に関する問題というのは、表面的な対処療法では全く解決をいたしません。きょうは、私も元教師でありました、青少年に寄り添ってきた経験をもとに、幾つか質問をしてまいりたいと思っております。
 まず初めにですけれども、青少年にかかわる問題というのは大変多岐にわたっておりますので、青少年問題と一くくりにしますと、さまざまな分野まで広がってまいるわけでありますけれども、今、青少年問題と大きく一くくりにしたときに、少し改善方向に向かっているのか、それとも、そうではなく、また少し悪化の一途をたどっているのか、政府として、それぞれの省庁でどのように認識をされているのか、伺いたいと思います。
 また、もし改善できていないというような分野があるとするならば、例えば、その中で特に事態が深刻化していると思われているものについて、政府参考人より御意見を伺いたいと思います。
○安田政府参考人 お答え申し上げます。
 青少年の問題、とりわけその非行等をめぐりましては、平成二十五年の刑法犯少年の検挙人員につきましては、十年連続で減少となっておりますものの、人口比では成人の約四倍と依然高い水準にあり、少年による凶悪事件も後を絶っていないと認識をしております。
 また、近年、合法ハーブ等と称して販売される薬物等新たな乱用薬物について、青少年への広がりが懸念されているところであります。
 一方、青少年の犯罪等の被害につきましては、警察から児童相談所への児童虐待の通告人員は増加の一途をたどっております。平成二十五年は、約二万一千人と過去最多となっております。また、児童ポルノ事犯の被害児童数も、六百四十六人と過去最多であります。
 特に、青少年を取り巻くインターネット利用環境が大きく変化をする中で、インターネットを利用して青少年が児童ポルノ事犯等の犯罪の被害やトラブルに遭う事例が絶えないなど、予断を許さない状況となっていると認識をしているところでございます。


○宮川委員 ありがとうございます。
 凶悪犯罪も、犯罪数としては少し下がってきているけれども、数ではなくて率で見たときにやはり増加をしているというのは現実として受けとめなければいけないと思いますし、今お話をいただいた中で、やはりインターネットにかかわる問題というのは大変大きな問題であるということ、そして、薬物の問題というのも、違法薬物のみならず、今は、いわゆる脱法ハーブとかそういうもの、また、医薬品の過剰摂取だとか、そういう問題が大変大きくなってきていると思っております。
 私もその問題意識を大変強く持っている者として、きょうは、リベンジポルノ問題、それと青少年の薬物問題に特化して質問をさせていただきたいと思っております。
 まず一つ目、リベンジポルノについてですが、これは、三鷹のストーカー殺人事件を機に、大変社会の中でも取り上げられるようになりました。あの殺害をされた女子生徒が、命を奪われたのみならず、当時交際相手だった男性との交際当時の画像、動画をインターネット上に流されて、亡くなった後も侮蔑を受けたという、本当に痛ましい事件だったと思っております。
 まず自分の命を奪われ、そして社会的にもその存在を殺されてしまったというふうに思いますから、二度の殺人に遭ったと言っても過言ではないと私自身思っております。
 このリベンジポルノという問題、この言葉をもう少し変えなければいけないという問題はあると思いますが、リベンジポルノとインターネットで検索をすると、検索サイトにもよりますけれども、九十万件以上の画像や動画が出てまいります。それだけ一般の人たちの商業用ではない画像や動画というものがたくさん世の中に流布されている、これが今現状だというふうに思います。
 リベンジポルノについて、現在どのように実態を把握して、どのくらいの被害件数が出ているか、また、今の法制下ではどのような処罰もしくは対応をすることができるのか、政府参考人よりお答えいただきたいと思います。

○宮城政府参考人 お答えを申し上げます。
 警察では、いわゆるリベンジポルノとしての統計というのは、実は、これは定義の問題がございまして、数値はとってございません。
 したがいまして、統計上の数値といった形ではお出しできませんが、我々が行っております生活安全相談、これは警察署、本部の生活安全部門が受ける相談でございますが、この中にリベンジポルノに関するものがあるということを把握してございます。
 こうした相談の中を見ますと、一番多いのが、実は、そういった画像を公開するぞとおどされた、こういったものが多うございます。このような行為につきましては、脅迫罪あるいは強要罪、これに当たるということで対応してございます。
 さらに、その画像の中身によりましては、インターネット上に性的な画像等を掲載するということになりますので、これについては、例えば名誉毀損罪、あるいは、さらに進んでわいせつ図画陳列罪、さらには、先ほど先生御指摘のあった児童ポルノという形でも罰則を適用して、厳に取り締まりを行っているところであります。
 こうした行為の被害者でございますが、何よりも望んでおられるのは、当該画像の削除でございます。ですので、警察といたしましては、こうした被害者の心情に最大限配慮しつつ、各種法令を適用して、まず取り締まりを行います。とともに、サイト管理者等に対しまして、速やかに削除するように、このような要請を行っているところでございます。
 以上でございます。


○宮川委員 ありがとうございます。
 まさに今おっしゃったとおり、画像や動画が流された方にとってみたら、一番重要なのは、即刻削除をしてほしいということなんですね。一秒でも一分でも一時間でも長くインターネット上にそれがあれば、どこで保存をされ、またどこまで広がっていくかわからないという、本当に被害者の方たちは恐怖に駆られていると思います。
 現在、被害者にとって一番重要な画像、動画の即時削除ということに対してどのような対処ができ得るのか、参考人からお伺いしたいと思います。

○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のような画像や動画がインターネット上に流通した場合、その削除が適切、迅速に行われることは大変重要と認識しております。
 このため、プロバイダーなどがそうした画像の削除に適切に対応できるよう、通信関連の事業団体において、削除できる場合を明らかにするためのガイドラインでありますとか、プロバイダーなどと利用者との間で適用される契約約款のモデル条項といったようなものを、これは法律の専門家などの意見も聞きながら作成してきているところでございまして、総務省といたしましても、そうした取り組みを支援してきているところでございます。
 こうした中、プロバイダーなどにおきましては、契約約款上の禁止事項でありますプライバシー侵害でありますとか名誉毀損などに該当する画像や違法なポルノ画像などがネット上に投稿された場合、基本的に、このような約款でありますとか利用規約あるいはガイドラインに違反するものとして、迅速に削除等の対応を行ってきているところでございます。
 総務省といたしましても、このような民間の取り組みを引き続き精いっぱい支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○宮川委員 ありがとうございました。
 あともう一つ、よく保護者の皆様から言われるのは、スマートフォンやそれに代表されるようなモバイル端末にカメラ機能がついているけれども、それでわいせつな画像を撮れないようにする機能はつけられないのかとか、そういうお話があるわけですが、今、これは私の承知する範囲では、そういう開発はされていないというふうに存じております。
 それ以外に、スマートフォンやモバイル端末に関するインターネット上でのフィルタリング機能は日々強化をされていると実感をしておりますけれども、これに対しての対処はどうなっているのか、それについてもお答えください

○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 スマートフォンを初めとしたさまざまなICTサービスが急速に普及する中、青少年がインターネットにアクセスし、利用する機会もますます拡大しており、こうした中、いろいろな面で利便性が飛躍的に向上している反面、青少年有害情報への接触でございますとか、いわゆるソーシャルメディアの利用拡大に伴うプライバシー問題など、青少年が、増大するさまざまなリスクに直面している側面もあるところでございます。
 このような状況下で、青少年が安心、安全にインターネットを利用できる環境をつくるためには、青少年インターネット環境整備法に規定するフィルタリングの利用促進と、青少年の適切なインターネット活用能力、いわゆるリテラシーの向上のための施策を講じていくことが重要となるところでございます。
 こうした中、特にフィルタリングにつきましては、近年、青少年に急速に普及しつつありますスマートフォンの場合は、従来の携帯電話と異なりまして、多様なアプリケーションを利用したり、場合によっては、公衆無線LANを通じてインターネットにアクセスする場合もあることから、そうした場合にも閲覧制限の機能が働くフィルタリングサービスが必要となるところでございます。
 このため、携帯電話事業者では、そうした必要な機能を有するフィルタリングサービススマートフォンに向けて提供しているところであります。また、あわせて、契約時などにおける、そうした新しい機能を持ったフィルタリングの設定サポートでございますとか、フィルタリングを解除した場合のリスクの説明等も行っているところでありますが、よりわかりやすく説明していくといったことも重要であり、そうした面でのさらなる取り組みが求められているところでございます。
 一方、青少年がこうしたインターネットを安心、安全に利用できる環境を確保していく上で、事業者側の取り組みとともに、例えば、青少年がフィルタリングを勝手に解除してしまわぬよう、保護者が、フィルタリングを解除した場合のリスクを十分に理解した上で、フィルタリングに係るID、パスワードを適切に管理するなど、利用者におけるリテラシーの向上に向けた取り組みも非常に重要となってくるところでございます。
 総務省といたしましても、関係府省や民間事業者と連携して、そうした青少年や保護者などの利用者のリテラシー向上に向けたさらなる普及啓発活動を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○宮川委員 ありがとうございます。
 今お話を聞いていて二点思うことは、民間の力に、民間の常識にかなり頼っている部分があるんだなというところです。
 まず、プロバイダー責任制限法という法律がありますけれども、この法律では、画像は七日間のうちに削除をするということになっていまして、今のように、協力的な業者さんとかプロバイダーであれば、即日、被害者の皆さんの心に寄り添って、削ってくれるということはあるかもしれません。しかし、そのプロバイダーがそれに対する理解がない、もしくは悪質であった場合は、画像が削除されないというおそれもあるわけですね。
 もう一つ、フィルタリング機能も、これはしっかりと、今、業者さんが保護者の皆さんにも理解を得ながらやっているところでありますが、それに対して理解のない保護者であったら、このフィルタリングを勝手に外してしまうこともあり得るということでありますから、つまり、完全に、その人の個人の性質、その考え方に今頼っているにすぎないんです。
 ということを考えると、子どもたち、また青少年がまだ未熟であるということを考えたときに、私たちは、これを法として罰することもできないし、法的拘束力がない、また、プロバイダーが画像を削除してしまったときに、捜査をするに必要なログを残す義務もないんです。つまり、捜査をしようがない。ですから、自分が出した画像が削られたとしても、その後、それが犯罪にならなければ、また同じことを繰り返すということも十分あり得るわけですね。
 ですから、リベンジポルノ問題ということに関しては、これだけ大きな社会問題になって、海外ではたくさんの法整備ができています。その抜け道をつくらないために、また、そういう犯罪を犯す人間をしっかり罰することができるように法整備をしていかなきゃいけないということと、子どもたちにリテラシーを身につけさせるのと同時に、保護者、いわゆる大人にしっかりこの問題を考えてもらう、そういう機会を設けていかなければいけないと思います。
 インターネットは私たちの時代には使わなかった、苦手だからよくわからないと大人が言っているだけではこういう問題は防げないということを改めてここで申し上げるのと同時に、そしてリベンジ問題に関しては、早急に削除ができる、一秒でも早く画像を消してもらいたいと思う被害者の方たちの要求にしっかり応えられる法整備をしていくことが何よりも重要であるということを改めて申し添えたいと思います。
 一方で、犯罪の出口対策というのは今後考えていかなければいけませんが、入り口対策としては、やはり子どもたちにしっかり、メディアリテラシー、ネットのリテラシーをつけさせることが重要だと思います。
 今、教育現場でどのような具体的な取り組みがされているか、参考人から伺いたいと思います。

○有松政府参考人 お答え申し上げます。
 インターネットやスマートフォンの普及など社会の情報化が進展する中で、児童生徒が情報化の影の部分を理解しながらインターネットなどを適切に活用していくために、学校教育において情報モラルを育成することは重要だと認識しております。
 このため、文部科学省では、学習指導要領におきまして、情報モラルを身につけさせることを明記しておりまして、例えば、インターネット上の犯罪や違法・有害情報の問題を踏まえた指導を行うこと、情報発信による他人や社会への影響や、ルールやマナーを守ることについて考えさせること、ネットワークを利用する上での基本的な法律を理解し違法な行為のもたらす問題について考えさせる学習活動を行うことなどを指導することとしております。
 また、スマートフォンなどによる新たなトラブルなどに対して、学校において、一度書き込んだら記録が残るといったインターネットの特性や情報モラルの指導の充実を図るために、ことしの三月でございますが、教員が指導する際に役立つ動画の教材や、この教材の解説と指導のポイントをまとめました教員向けの指導手引書を作成いたしまして、全国の教育委員会などへの普及を図っているところでございます。
 さらに、スマートフォンなどによるトラブルや犯罪被害の事例ですとか対処方法のポイントを盛り込みました児童生徒向けのリーフレットも作成をしておりまして、全国の小学校、中学校、高等学校などに配付をしております。このうち、高校生向けのリーフレットには、いわゆるリベンジポルノについても盛り込んでおるところでございます。
 また、文部科学省総務省、関係団体が連携して、子どもたちのインターネットの安全、安心な利用のための啓発講座、これはe―ネットキャラバンと申しておりますが、この講座を実施するなど、情報モラルの育成に資するさまざまな取り組みを推進しているところでございます。
 インターネットなどの利用に係る問題につきましては新たな課題が次々発生しておりますけれども、文部科学省としては、関係省庁や関係団体とも連携をしながら、引き続き、児童生徒の情報モラルの育成に係る取り組みを推進してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
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○青柳委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 次の質問に移りたいと思います。
 これも、前回の参考人の質疑あるいはその前の一般質疑でも私は指摘させていただいたんですが、最近社会問題化している一つに、リベンジポルノの問題があります。この問題について大臣にお伺いしたいと思います。
 前回の参考人質疑で、全国webカウンセリング協議会の安川理事長あるいは千葉大学の藤川教授、お二方とも、このリベンジポルノの対策については立法化が必要なのではないかということを述べられました。立法化、規制の強化による抑止力が高まるということについての効果、これは極めて重要だという指摘がありました。
 また、立法化する場合については、被害者の視点に立つこと、これは当然でありますし、さらに被害者の親の視点に立つこと、女性の視点に立つこと、さらには男性の視点に立つことも必要だという指摘がありました。
 あわせて、立法化以外に行政がとり得るべきことについては、実際に警察や弁護士に相談するというのは被害者にとってはハードルが高いので、気軽に相談に乗ってくれる人や場所、機関などが必要じゃないかということも、参考人からは意見があったわけであります。
 こうしたリベンジポルノの立法化の必要性あるいは抑止力の効果について、あるいは相談できる機関の設置について、大臣の御見解、御所見を改めてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○森国務大臣 いわゆるリベンジポルノですけれども、断じて許しがたい行為だと思っております。
 立法化については、参考人から御意見があった、法律を制定することで抑止につながるという考え方も、一つの御見識であるというふうに認識をしております。
 法制化については現在自民党においても検討がなされていると承知しておりますので、そのような議論を積極的に注視し、フォローもしながら、現行でできることはしっかりと対処しながら、また相談の場についても検討してまいりたいと思います。