児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

安心協、いじめや性行動などをテーマにネットが青少年に及ぼす悪影響を調査

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130129_585415.html
インターネット使用が性行動を活発化する可能性
 「性意識・行動」班は、インターネット使用が高校生の性意識や性行動にどのような影響を与えるかなどを検討するため、同一の高校生に対して、学校を通じて3回の質問紙調査を実施。3回とも回答した高校生は 734 名(男子 282 名、女子452 名)。
 得られたデータを分析した結果、インターネットをよく使う高校生のほうが、そうでない高校生に比べて、同年代のセックス経験を高く見積もるようになり、とくに女子においては、デート、ペッティング、コンドームなしのセックス経験が増えることなどが示され、インターネット使用が性行動の活発化につながる可能性が示唆されたという。また、インターネット使用の影響は、パソコンよりも、携帯電話における使用においてよく見られたとしている。
 しかし同時に、インターネット使用が性意識・行動に与える影響よりも、友人・先輩との性的情報交換が与える影響のほうがずっと大きいこともわかった。
◇インターネット利用と性意識・行動の関係性に関する研究(PDF)
http://good-net.jp/usr/imgbox/pdf/20121026100235.pdf

http://good-net.jp/reseach-study_release.html
性意識・行動
インターネットなどのメディア利用量が性意識や性行動に与える影響の差異を見るとともに、調整変数による差異を調査。悪影響があるのであればその強さは、従来のメディアと比較してどの程度のインパクトであるのか、これらの悪影響は、メディアリテラシーや正確な性知識を身につけたり、フィルタリングソフトを利用したりすることにより軽減させることができるのかについて検討。
調査対象:高校生
報告書:インターネット利用と性意識・性行動の関係性に関する研究

http://good-net.jp/usr/imgbox/pdf/20121026100235.pdf
4.研究のまとめ
1. ネット利用は、高校生の性意識・行動に影響を及ぼす場合がある。
まず、女子においては、ネット利用が多いほど、デートとペッティング、コンドームなしのセックス経験が増えるという影響が確認された。デートとペッティングへの影響を「悪影響」と断じることはできないが、コンドームなしのセックス経験への影響については、性感染症や望まない妊娠の予防の観点からみて、対策が必要と言えるだろう。
性行動まで至らない現状認識レベルへの影響については、男女両方において、ネット利用が多いほど、同年代のセックス経験を高く推定するようになるという影響が確認された。同年代が高い割合でセックスを経験しているという認識は、若年でのセックスを容認し、皆から遅れたくないという焦りから、結果的に親密な性行動に結びつく可能性も考えられる。本研究の結果では、このような若年での性経験の肯定や憧れに関連する性意識(「性的寛容さ」「通過儀礼としての性」および「責任意識」)が、ネット利用により増強されるという直接の影響関係は検出されなかった。しかし、現状認識を媒介したネット利用の影響、すなわちネット利用が現状認識に影響し、現状認識が性意識に影響するという間接的な影響関係について今後検討していく必要がある。一方で、ネット利用が「性的マイノリティに対する偏見」を増強するという影響がみられたことには注意が必要である。
2. ネット利用の影響は、友人・先輩との性的情報交換の影響力に比べ、総じて弱い。
友人・先輩との性的情報交換は、男女ともにおいて、性意識・行動の様々な面に影響を及ぼしていた。特に、性の現状認識と性行動については一貫した促進効果が見られ、ネット利用の影響に比べて、友人・先輩との性的情報交換が非常に大きな影響源となっている
と言えるだろう。前項の通り、ネット利用の影響について注意を要するべきことがあるのは事実であるが、青少年を取り巻く様々な性的情報源の中で、ネット利用の影響力が必ずしも大きいわけではないようである。