そりゃ行為責任ですから。
弁護人としては、検察官が間違ってでも「自分の判断によって被疑者が失職する結果を恐れ,これを重視する余りに萎縮し,意識的にか無意識のうちに諸情状の適切な検討を怠り,禁錮刑を選択すべき事案にもかかわらず,公判請求を躊躇し,罰金刑を選択して略式起訴するということ」にならないかとお願いしているのです。
5 参考事項
自動車運転過失致死傷罪等の交通事犯につき,被疑者の職業が教員等のため禁鋼以上の罪で処罰されると失職するという事情がある場合,検察官としては,そうでない場合と比較して量刑に悩むこともあると思われる。過失犯の場合,わざと犯罪を犯したわけではないし,被疑者が犯行を自白し反省悔悟している場合はなおさらであろう。
検察官は,刑訴法に基づき,起訴・不起訴の決定権限を有する上,起訴する場合でも,罰金刑を選択して略式起訴するか,禁鋼刑あるいは懲役刑を選択して公判請求するかの実質的な決定権限を有している(略式起訴の場合,被疑者の同意か必要であることは勿論であるが,多くの場合,被疑者は略式手続に同意する。)。
このような権限を有しているが故に,自分の判断によって被疑者が失職する結果を恐れ,これを重視する余りに萎縮し,意識的にか無意識のうちに諸情状の適切な検討を怠り,禁錮刑を選択すべき事案にもかかわらず,公判請求を躊躇し,罰金刑を選択して略式起訴するということはあってはならない(これは.単に弱気になるなということではなく,検察行が被疑者に有利な情状を過大評価することで,適正な処罰を受けるべき者が受けないという最悪の結果を招くおそれのある,検察官としての職責放棄ともいうべき失態であるから,老婆心ながら,どうか自戒していただきたいという意味において申し上げたいのです。)。