児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

13歳未満へのわいせつ行為を青少年条例違反とする場合の問題点

 立法趣旨は抵触しないとしても、強制わいせつ罪の親告罪の趣旨に反しないか?法律で親告罪とされているのを条例で非親告罪にしていいのか?
 それから、条例の青少年わいせつ罪は傾向犯か?
 そこ判例ないですよね。

大阪高等裁判所判決昭和48年5月9日
刑事裁判月報5巻5号899頁
そして、刑法上、一三歳以上の婦女に対する姦淫ないしわいせつの行為は、暴行、脅迫または婦女の心神喪失ないし抗拒不能に乗ずる等してした場合にのみ処罰の対象としているので、一三歳以上の青少年に関する限り、本件条例の右規定は、刑法上犯罪とされない行為を禁止し、その違反に対し、刑罰を科すものであることは明らかであるが、しかし、刑法の強姦罪または強制わいせつ罪は、たしかに風俗犯としての面をももつていることは否定できないけれども、むしろ主として個人の性的自由ないし貞操を保護法益とするのに対し、本件条例が青少年に対するみだらな性行為を禁止するのは、「青少年の健全な育成および保護」を所期するものであるから、両者はその趣旨、目的を異にするものというべく、本件条例八条の二、一項、一七条二項一号が刑法に反するといいえないのはもとより、同条項所定の事項につき法令に特別の定めがある場合には当らないというべきである。もつとも、青少年に対するみだらな性行為等を禁止することは、ひとり地方公共団体の区域内における利害に関係ある事項にとどまらず、広く国民全体の利益に関係のある事項ではあるが、地方の実況に応じて「青少年の健全な育成および保護」を図る必要のあることは否定しがたいところであるので、これをもつて直ちに本件条例の右条項所定の事項が、地方自治法二条一〇項一号にいう司法に関する事務であるとし、国によつて処理される事務であるから、法律によつてのみこれを禁止しうるとの所説にはにわかに賛成しがたく、地方公共団体の自主的立法である条例によつても、これを禁止しうると解すべきである。