児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

“児童買春”小学校教諭逮捕

 なんか、わいせつ事件で捕まる北海道の教員って、多すぎないですか?人口多いはず無いのに。
 人口密度が低い地域では、出会い系でもなければ、接触できなかったでしょう。ということで、PCや携帯の出会い系が福祉犯のインフラとなっていることが顕著です。
 奥村にも北海道の事件依頼とか相談とかも多いんですけど。
 道教委は「わいせつ行為をすると、懲戒処分になるし、退職金も減る」という通達を回したんですが、被告人質問で「わいせつ行為をすると、相当な懲戒処分になるとは聞いていたが、犯罪になるとは知らなかった」と言った人がいました。ご本人は本気なので、違法性の意識が薄かった(減刑して!)という主張をしました。
 奥村にとって
   教わったことは頭にはいるけど、教わらなかったことは分からない。
というのが教員像。
 だから弁護士から
   君の行為は何何罪であって、こういう意味で悪い
   ここを反省しなければならない。
   再犯の危険性についても対策が必要だ
と説明すると、飲み込みは早い。弁護人もちょっと救われた気分。
 だから、教員試験で刑法(特別刑法)の問題を入れればいいんじゃないですか?法教育は教員から。

http://www.nhk.or.jp/sapporo/lnews/02.html
旭川市の公立小学校の教諭が出会い系サイトで知り合った17歳の女子高生に現金を渡してわいせつな行為をしたとして逮捕されました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070422-00000091-mailo-hok
同容疑者は「相手は18歳未満で、違法行為であることは知っていた」と容疑を認めているが「いくらお金を払ったか覚えていない」と供述している。

 必ずしも対償金額を特定する必要はありませんから、無理して特定することはありません。無理すると、弁護人に突っ込まれます。

名古屋高裁金沢支部H17.6.9
②原判示第2の1で,被害児童に供与された対償額を5万円と認定しているが,その中にはモデル撮影の対価2万円も含まれているから,対償額は3万円である,というのである。
しかしながら、・・・・所論②の対償金額の点については,弁護人も指摘するとおり,対償金額を摘示する必要はない上,記録によれば,被告人と被害児童との間では,当初,ヌード撮影に対して2万円の対価とするメールでのやりとりがあったことは認められるものの,最終的には性交や性交類似行為等をし,それを撮影等することを含めて5万円という金額となったものであり,所論が指摘するように,ヌード撮影の対価が2万円,児童買春の対価が3万円というふうに分けられていたわけではないから,児童買春の対償として5万円と認定した原判決の認定が誤りとはいえない。

 相手がガキなので、3万でも6万でもガキにとっては同じく「大金」ということになって、「対償供与の約束」としては金額が曖昧なことが実際上あるようです。
 被告人も強いて問われると「金額が違う」ということがあって、訴因にある以上、裁判所がこだわってしまって争点になってしまうことがありますが、あまり実益はありません。

東京地裁H15.10.22
1 被告人は,公判廷において,I及びYに約束した買春行為の対償は,各3万円ではなく,合計で3万円であった旨供述し,弁護人も,被告人から現実にI及びYに支払われたとおり,約束した対償は1人1万5000円であった旨主張している。
そこで検討すると,I及びYは,要旨,携帯電話の出会い系サイトに「I&Y。中学2年の2人組。ゴールデンウイークなのにお金がないよ」旨の援助交際の相手を募集する書き込みをしたところ,約20件の返信メールがあったこと,その中にあった「2人でフェラしてくれたら6万円あげる」旨の被告人のメールが,金額的にも一番高いものであった上,嫌なセックスをせずにフェラチオだけで6万円をもらえるなら良いと思ったことから,被告人と携帯電話で連絡をとった上,セックスはせず,フェラチオだけで3万円ずつ2人分,合計6万円をもらうことを約束してから被告人と会うことにしたこと,当日,被告人は当初2万円しかくれず,約束していた6万円より随分少ないと思ったものの,不満は言わなかったところ,被告人は,「君たち面白かったから,もう1万円あげる」などと言ってさらに1万円をくれたことなどを一致して供述しているが,このI及びYの供述内容は,いずれも具体的かつ合理的であって,信用性が高いと考えられる。
そして,被告人自身も,捜査段階において,逮捕当初こそ,金額はよく覚えていない旨弁解したものの,その後,自己の経験上,援助交際におけるフェラチオ代金の相場は約1万円,セックス代金の相場は約3万円であるが,何とか中学2年生の2人組と援助交際がしたいという気持ちから,高額の金額を対償として約束すれば援助交際に応じると思い,6万円を支払う約束をしたことを思い出し,当日も,6万円を支払うつもりはなく,最初に2万円を支払ったところ,不満そうであったので,さらに1万円を支払った旨供述するに至っており,被告人のこの捜査段階の供述は自然であって信用できることなども勘案すれば,判示第5及び第6の各犯行に際し,被告人は,I及びYに対して各3万円(合計6万円)の対償を支払うことを約束したものと認定できる。
以上に対し,I及びYに対して約束していた対償は,各1万5000円(合計3万円)であったなどとする被告人の公判供述は,被告人質問の過程で,各1万円(合計2万円)であったとも供述したり,金額等の点は詰めていなかったとするなど甚だ曖昧である上,各3万円(合計6万円)を支払う旨約束していたとする自己の捜査段階の供述を変遷させた理由も合理的でなく,信用できない。