児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

古新聞持ち去り、業者無罪=条例規定は「あいまい」−東京簡裁

 主張と判断がちょっと分からないんですが、「再利用の対象となる物として区長が指定するもの」というのが白地刑罰法規だというのかもしれません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070326-00000057-jij-soci
 東京簡裁の松本弘裁判官は26日、無罪を言い渡した。検察側は罰金20万円を求刑していた。
 弁護側によると、松本裁判官は、持ち去り禁止を定めた同条例について「刑罰法規としてあいまい」と判断した。 

 場所の特定らしいです。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/44924/
 同条例では「一般廃棄物計画で定める所定の場所からの古紙などの収集を禁じる」と規定しているが、判決で松本裁判官は「所定の場所に関して一般人が分かる基準が明確に示されておらず、法規の内容を明確にし、公平に処罰するために必要な事前の『公平な告知』を定めた憲法31条に反する」と述べた。

世田谷区清掃・リサイクル条例
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/topics/houki/d1w_reiki/41190101005200000000/41790101008200000000/41790101008200000000_j.html
(目的)
第1条 この条例は、区、事業者及び区民がそれぞれ地球の資源に限りがあること及び環境の保全の重要性を自覚し、相互の理解と協力の下に、廃棄物の減量を行うため、廃棄物の発生及び排出を抑制し、再利用を促進するとともに、廃棄物を適正に処理し、あわせて生活環境を清潔にすることによって、循環型社会の形成並びに生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図り、もって区民の健康で快適な生活を確保することを目的とする。
(収集又は運搬の禁止等)
第31条の2 第35条第1項に規定する一般廃棄物処理計画で定める所定の場所に置かれた廃棄物のうち、古紙、ガラスびん、缶等再利用の対象となる物として区長が指定するものについては、区長及び区長が指定する者以外の者は、これらを収集し、又は運搬してはならない。
2 区長は、区長が指定する者以外の者が前項の規定に違反して、収集し、又は運搬したときは、その者に対し、これらの行為を行わないよう命ずることができる。
第79条 次の各号の一に該当する者は、200,000円以下の罰金に処する。
(1) 第31条の2第2項の規定による命令に違反した者
(2) 第34条第4項の規定による命令に違反した者
(3) 第45条(第52条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
(4) 第48条(第52条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
(5) 第53条第3項の規定による命令に違反した者

 で「一般廃棄物処理計画」を捜してきても、「一般廃棄物処理計画で定める所定の場所」が特定されてないようです。

http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/d00005134.html
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/pdf/5134-1.pdf
世田谷区一般廃棄物処理基本計画
● 法的位置づけ
本計画は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という)」第6条第1項及び世田谷区清掃・リサイクル条例第35条に規定する一般廃棄物処理計画に該当します。

条例の罰則については、一応、検察庁がチェックしてるんですよね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070326-00000135-mai-soci
<資源ごみ>持ち去った業者に無罪「条例があいまい」と
 ごみ集積場から古新聞などを持ち去ったとして、東京都世田谷区の清掃・リサイクル条例違反に問われた古紙回収業の男計5人に対する5件の判決が26日、東京簡裁であり、いずれも無罪が言い渡された。条例は「所定の場所」に置かれたごみの持ち去りを禁じているが、判決は弁護側の主張をほぼ認め、「どこが所定の場所かあいまい」などと指摘した。
 検察側は、いずれも条例の罰則の最高額の罰金20万円を求刑していた。3人に対しては、堀内信明裁判官が、2人には松本弘裁判官が言い渡し、松本裁判官は「不明確な規定で処罰するのは憲法に違反する」と条例は「違憲」との見解を示した。
 条例は「所定の場所」に置かれた古紙などの資源ごみを、区長の指定のない業者が収集することはできないと規定。禁止命令を受けても繰り返した違反者に罰金を科すとしている。5人は04年8月〜05年2月にかけて古紙を持ち去ったとして05年に起訴された。
 判決では、「所定の場所」の明確な定義がないとし「犯行場所の特定ができない」と結論付けた。堀内裁判官は「廃棄物処理法にも無断持ち去りについて罰則を伴う禁止規定がないのに、自治体が罰則を条例で制定したのは裁量権の逸脱に当たる」とも述べた。