児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「役員報酬とかそういう形ではもらってない。どこかの会社から給料としてもらっている。それがどこか分かると差し押さえられるので(カネの流れを)常時動かしている」

 仮差の報道がありました。

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007011201.html
ユーザーショック…2ちゃんねる、再来週にも強制執行
昨年11月に早大で講演した「ひろゆき」。ついに追い込まれることに…(クリックで拡大)
 ネット界激震!! 賠償命令を無視し続けてきた日本最大の掲示板「2ちゃんねる」(2Ch)の管理人、西村博之氏(30)の全財産が仮差し押さえされることが12日、分かった。債権者が東京地裁に申し立てたもので、対象となるのは西村氏の銀行口座、軽自動車、パソコン、さらにネット上の住所にあたる2Chのドメイン「2ch.net」にまで及ぶ見込み。執行されれば掲示板の機能が一時停止するのは必至だ。

 債務名義持ってる原告代理人はいろいろ策を練っているようです。債権者破産という報道もあったと思うんですが、どうなったんでしょうか?

 なんか、プロバイダ責任制限法が民事責任のみに適用されることを忘れているようですね。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070101ddm003040021000c.html
 −−法で規制すべきだとの意見もあるが。
 ◆海外とつながるネットを国内法で規制しても絵に描いた餅だ。
 −−あなたの管理責任は。
 ◆発言の妥当性を見極めてから載せるべきだとの意見もあるが、それはしなくてもいいのが今の法律。文句を言いたければ法律を作って下さいと国会議員に言うべきだ。
 −−2chは今後も「怪しい」情報が交じりつつ続くのか。
 ◆(危険なのに人が集まる)歌舞伎町と同じ。きれいな情報だけを集めることは難しい。いろいろな情報があるから面白いこともある。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070101ddm002040009000c.html
 しかし、判決の通りにはなっていない。裁判所がひろゆき氏の住所に通達書を送っても「不在」で届かず、手続きが進まない。「彼がずっと無視できるなら法治国家とは何なのか」。有道さんは昨年4月、ひろゆき氏が発信者情報の開示と内容の削除を実行しなければ1日20万円を支払うことを裁判所に申し立てて認められた。だが、この通達書も本人に届いていない。
 ひろゆき氏は毎日新聞の取材に「賠償命令は総額で四、五千万円くらいある」と語った。1億を超える年収があると認め、こう明かした。「役員報酬とかそういう形ではもらってない。どこかの会社から給料としてもらっている。それがどこか分かると差し押さえられるので(カネの流れを)常時動かしている」

 これも、まずいんじゃないか?

刑法第96条の2(強制執行妨害)
強制執行を免れる目的で、財産を隠匿し、損壊し、若しくは仮装譲渡し、又は仮装の債務を負担した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

最高裁判所昭和35年6月24日
 およそ刑法九六条の二の罪は、国家行為たる強制執行の適正に行われることを担保する趣意をもつてもうけられたものであることは疑のないところであるけれども、強制執行は要するに債権の実行のための手段であつて、同条は究極するところ債権者の債権保護をその主眼とする規定であると解すべきである。同条は「強制執行ヲ免ルル目的ヲ以テ」と規定しているのであるが、その目的たるや、単に犯人の主観的認識若しくは意図だけでは足らず、客観的に、その目的実現の可能性の存することが必要であつて、同条の罪の成立するがためには現実に強制執行を受けるおそれのある客観的な状態の下において、強制執行を免れる目的をもつて同条所定の行為を為すことを要するものと解すべきである。そして、いかなる場合に強制執行を受けるおそれありとみとめるべきかは具体的な事案について個々に決するの外はないのであるが、本件のように、何らの執行名義も存在せず単に債権者がその債権の履行請求の訴訟を提起したというだけの事実をもつては足らず、かくのごとき場合に本条の罪の成立を肯定するがためには、かならず、刑事訴訟の審理過程において、その基本たる債権の存在が肯定されなければならないものと解すべきである。従つて、右刑事訴訟の審理過程において債権の存在が否定されたときは、保護法益の存在を欠くものとして本条の罪の成立は否定されなければならない。

条解刑法
既遂
強制執行を免れる目的で,財産を隠匿,損壊,仮装譲渡し,又は仮装の債務を負担すれば,既遂に達する。現実に強制執行を免れたことは必要でない。現実に強制執行が行われることも要しない。
罪数
強制執行ごとに罪数を決する。したがって,1個の強制執行を免れるために財産を隠匿,損壊等する行為は,包括して本罪が成立する。財産が複数であっても,強制執行が1個であれば一罪である。


 死んで慰謝料3000万円の国ですからなかなか個人の名誉毀損・プライバシー侵害では500万円も認容されないんですが、http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007011201.html
によれば間接強制金が溜まって500万円になってるんですね。

民事執行法第172条(間接強制)
作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。

 実際的なのは、経済的余裕がある会社被害者+若干から債権者破産の申立が出ることでしょうね。その手続に個人被害者が乗っかる。

破産法第18条(破産手続開始の申立て)
債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
2 債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。

追記 0115
 早速
   差し押さえて欲しい。
   仕置き人風に、仕置きして欲しい
   捕まえて欲しい
という相談がきました。
 コストとメリットの説明を3回した。