児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

最近の国会会議録から

163 - 参 - 法務委員会 - 3号 平成17年10月27日
前川清成君 
 ちょっと時間の都合もありますから、次の質問に行きますけれども、平成十一年の十一月に施行された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に基づく検挙実績について警察庁の方からお答えいただけますでしょうか。


○政府参考人(荒木二郎君) お答えを申し上げます。
 児童買春、児童ポルノ法の違反につきましては、警察といたしまして、児童の性をもてあそぶ大変問題の多い、大きい事案だということで、法施行後、強力な取締りを展開しております。本年六月末までの統計でありますけれども、児童買春事件について八千四百六十件、五千五百十一人を検挙し、児童ポルノ事件につきましては一千九十件、九百十九人を検挙いたしております。また、カンボジア、タイなどにおけます国外での児童買春、ポルノ事犯につきましても、七事件、十三名を検挙いたしているところでございます。

前川清成君 富雄北小学校の小林被告人については、小児性愛に傾倒するきっかけになったのは「くりぃむれもん」というポルノアニメだったというふうに検察官の冒頭陳述で述べられています。ところが、この児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律は、児童ポルノを写真と電磁的記録に限定していまして、アニメについては取調べの対象にならない。表現の自由との関係もありますけれども、こういうふうな事件が出てきましたので、その教訓として、その取締りの範囲を更に拡大する必要はないのかどうか、御所見、警察庁にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(荒木二郎君) 御案内のように、現行の児童買春、児童ポルノ法は、実在する児童の権利の保護を目的としておりまして、アニメにつきましては同法による処罰の対象とはならないものと承知をいたしております。
 改正時におきましてもいろいろ議論があったとお聞きしておりますけれども、私どもといたしましては、現行法の範囲内で、児童ポルノ、児童買春禁止法では処罰できませんけれども、例えば、昨年でしたか、警視庁におきましてわいせつ物としてとらえられるコミックにつきましてこれを刑法で検挙をいたしております。現行法を活用いたしまして、何とかこういう、何といいますか、あくどいものにつきまして積極的に対処してまいりたいと考えております。
前川清成君 今のお答えは、取締りする必要があるんだけれども現行法では無理だから刑法を活用して頑張っていますと、こういうことなんですかね。
 私のお尋ねしたのは、この法律の処罰範囲を法律を改正して拡大する必要について警察庁の御見解はいかがかな、それをお伺いしたいんですけれども。
○政府参考人(荒木二郎君) 私ども取り締まる立場でございまして、立法御当局において適切な対応がなされることを期待をいたしております。

163 - 衆 - 外務委員会 - 3号
平成17年10月21日
○丸谷委員 おはようございます。公明党の丸谷でございます。
 ただいま議題となっております万国郵便条約及び郵便送金業務約定につきましては、それぞれ、切手、スタンプ、印影の偽造等への罰則等を規定し不正を防止すること、また、郵便為替、郵便振替等の郵便送金業務を適切に行うとの観点から、賛成の立場でございます。
 今回、改めて万国郵便条約をしっかりと読ませていただきました。その中で、私が取り組んできたものに関連するものとして、児童ポルノの郵送についての規定がございましたので、きょうは、今議題となっております議定書の内容とは違いますけれども、万国郵便条約の議論として質問をさせていただきたいと思います。
 この万国郵便条約第十一条の違反行為の中には、郵便物に入れてはいけないものとしまして、麻薬あるいは爆発物、そして小児性愛、小児ポルノの性質を有するものは郵送はしてはならないという規定がございます。
 この規定に基づいて各国の取り組みも必要になってくるわけでございますけれども、我が国には、御存じのとおり、いわゆる児童買春、ポルノ規制法というものがございまして、その七条には、児童ポルノの輸出入を禁じているところでございます。また、国内法の郵便法の十四条にも同様の規定があるわけでございます。
 このように、各国が批准をしているこの条約において、郵便物には入れてはいけないものが規定をされ、それが入れられないような仕組みを各国にとるように求めているところでございますけれども、実態はどうなっているのか、この点をまず郵政公社にお伺いをさせていただきます。
○本保参考人 お答え申し上げます。
 お客様が外国へ物品を郵送するため郵便局にお持ちになった場合、児童ポルノを含めまして、今委員御指摘の郵便法第十四条に定める禁制品に該当するものにつきましては、これが入っているか入っていないかということを確認することになっております。
 禁制品の疑いがある場合には、同法の規定に基づきまして、差出人に内容品について申告を求めまして、あるいは開示を求めることができることとなっております。
 こういう手続を経まして、内容品が郵送できないものに該当するということがはっきりした場合には、その旨を説明いたしまして引き受けをお断りする、こういうような仕組みになっております。

○本保参考人 お答え申し上げます。
 具体的な数字につきましては、手元にございませんので申し上げることはできませんけれども、どういう形で判断ができるかというと、やはり外見等で判断せざるを得ないというのが実態でございまして、例えば、差出人がそのものずばりで、児童ポルノ出版とか、こう書いてある場合じゃないとちょっとわからないというのが実態だと思います。
 信書については中身が保護されることになっていますので、勝手に開示したりもできないということで、相当の制限があるというのが実態ではないかと理解しております。

○丸谷委員 では、後ほど資料で提出をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 昨日、質問通告をしていく中で、お話を聞いた限りにおいては、例えば郵便物の中に児童ポルノ、児童性愛に関するものが入っていて、そして、窓口の中で未然にそれを防いだという例はありませんというお話を聞いております。
 確かに、そうだと思います。実際に私が児童ポルノあるいは性愛に関するものを輸出しようとして、これは明らかに違法であるとわかっていて輸出をしようとして、窓口で、例えば児童ポルノに関するものは入っていますかと聞かれて、入っていますというふうに答えるわけがないわけでございます。
 では、実際に、郵便物に入れてはいけないものを入れているものを輸出させないためにはどうすればいいのかということになると、非常に難しいということも十分に私は理解をしているつもりでございます。憲法上、検閲というものが許されておりませんので、実際には、今行っていただいているように、禁止されているものが入っていないかどうかを聞くというのが、やはり手順としては、今のところできる限りの、最大限の努力だと思うわけでございます。
 UPUという万国郵便連合ですか、これは一八七四年に創設されまして、世界でも、国際機関の中でも最古の機関だとも言われております。また、百九十カ国・地域が加盟をしている条約でございまして、その歴史も深く、また、五年に一度議論され、見直されてきた歴史を考えると、本当に国際郵便において、各国の取り組み、また国際協力というのは、今までいろいろな形で議論をされてきたのだと思います。
 この郵便物に入れてはいけないもの、爆発物であったり麻薬であったりとか、あるいは児童ポルノの問題、我が国だけが抱えている問題ではないと思います。輸出を未然に防ぐことができない、輸入を防ぐことができないというのは、各国、恐らく同様の問題を抱えていると思います。
 外務省に提案をさせていただきたいわけでございますけれども、こういった各国が抱えているであろう同様の問題について、ぜひ、次回の会議でも、日本から提案をするような形で、どのような形で国際協力をしていくべきなのか、国内法の整備は当然でございますけれども、どのように条約に沿った形で郵便物の輸出入を防ぐことができるのか、こういった議論を積極的に展開をしていただきたい、このように思います。
 外務省、いかがでございましょうか。
○神余政府参考人 お答え申し上げます。
 確かに、郵便につきましては、長い歴史の中でいろいろなものが入ってきております。例えば環境問題についてもそうでございまして、今、郵便条約の中で、環境につきましても周知を図るというところまで来ているわけでございます。
 したがいまして、ポルノにつきましても、これは先生いろいろと国内的あるいは選択議定書等で御尽力いただいているわけでございますけれども、ただいまいただきました御意見を参考に、これは恐らくほかの国も同様だと思うんです、信書の秘密との関係から、封筒に入れて送られてくるものを取り締まることが困難な状況はほかの国も同様だと思います。
 したがいまして、今後、四年に一回、いろいろ意見交換の場がございますし、大会、理事会もございます。そういう場を使いまして、あるいはまた委員会や検討グループもございますので、加盟国としての問題意識を踏まえながら、そういう議論を積極的にやってまいりたいと思っております。
○丸谷委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 児童ポルノの問題だけに特化して言わせていただきますと、第一義的には、当然、日本国内ではつくらせない、製造させないというのが一番大事になってくるわけでございますけれども、国際協力のもと、各国同様の問題として抱えていますこの児童ポルノ、児童性愛等の性質を有するものの輸出入を防ぐための最大限の努力とお取り組みをぜひお願い申し上げまして、この条約に関する質問を終わらせていただきます。

163 - 衆 - 内閣委員会 - 3号 平成17年10月14日
○村田国務大臣 売春という行為が人身取引に結びつきやすい、そういう人権侵害にかかわる問題があるということで、私どもの今回の改正は、風営法の改正によりましてそうした人身取引を抑制する、その中で、今委員が御指摘のように、そうした売春にかかわる行為が極力減少していくような効果をねらっている、こういうことでございます。

○吉井委員 要するに、買春という行為は、これは人身売買そのものなんですよ。ですから、人権に対する侵害であるわけですから、このことについてやはり内閣を挙げて、きちんとした法の改正をやって取り組んでいくということをやらないと、風営法のところであっせん業者だとかそこだけ一生懸命警察が規制をしていっても、きちんとした解決にならない。
 だから、私言っていますように、あなたがこの法を改正しますと言えないのはわかった話だから、法務大臣などと御相談もされ、内閣を挙げてその姿勢をきちんと貫くということが一番大事なことだと思います。どうですか。
○村田国務大臣 売春の行為が極力減少するように、私どもも努力してまいりたいと考えております

○吉井委員 努力をすると言うんですが、なかなか内閣を挙げて買春の方の処罰による禁止等、進んでいこうとしないところに、私は、やはり内閣が、国際的に批判の強い日本における性的搾取を目的とした人身取引と結びついたこういう問題に対する姿勢というものがまだ非常に甘いということを指摘しておきたいと思います。