児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

略式手続(罰金)の拡大。

 刑事政策として、これが何を意味するのか、どんな効果があるのかわかりません。一応、メニューが増えるのは個別化の理念からは歓迎ということになるんでしょうか。

 刑訴法も改正するそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050929-00000045-kyodo-soci
これに伴い、簡易な手続きの略式命令で科すことができる罰金の最高額も50万円から100万円とする。

刑事訴訟法第461条〔略式命令〕 
簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、五十万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。

 児童ポルノ・児童買春法違反についてみると、法定刑には高額の罰金があるのだが、

第4条(児童買春)
児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
第7条(児童ポルノ提供等)
児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

実際に科刑される罰金刑の上限は略式の上限(50万円)で仕切られて(というか、ほぼ全員50万円。まれに30万、40万、80万、100万)、それ以上悪質な場合は公判請求であった。
 改正後は、1万円〜100万円の幅を活用して、柔軟な量刑が実現するだろうか?従来公判請求されていた事件の軽い方の一部が高額の罰金に落ちるだろうか?
 それとも、略式と公判請求の境目は動かずに、罰金の場合の罰金額が、全員100万円になるのだろうか?

 なお、こういう児童の性的虐待・性的搾取が、なんで罰金で済むのかという疑問は、奥村弁護士ではなく、立法者へどうぞ。