擬律判断で問い合わせが多いと窺える。
なんことのはない。金沢と長岡支部の奥村弁護士事件とその他の事例若干を継ぎ接ぎしただけの設例であって、企画料は奥村弁護士に帰属してもおかしくない。刑法学会で出会った法務省の局長と課長には一笑に付されたが、実務の疑問解消に一役買ってるわけじゃないですか。本当の企画者は児童ポルノ児童買春犯人ですけど。
設例:甲は,インターネット上の出会い系サイトで14歳の女子児童乙と知り合い,乙が小遣いに困っていることを聞くや,これを奇貨とし,乙と性交をするとともに,後に自分で鑑賞する目的で,乙との性交時の写真を撮影しておくことを考え,渋る乙に対し,3万円を支払う約束をして,性交をすること,その際写真を撮影することを承諾させた。もっとも,その際,甲は,所持金が少なかったことから,実際に3万円を支払うつもりはなかった。そして,甲は,乙と性交し,その際の状況をデジタルカメラで撮影したが,約束の3万円については前言を翻してその支払を拒絶した。その後,甲は,所持金に困ったため,乙との性交時の写真を第三者に売り渡すことを企てたが,写真に乙が写っているのが分かれば自己の犯行であることまで発覚しかねないと考え,写真に写っている乙の目のあたりをぼかすなどの修正を加えることとし,この画像データをデジタルカメラのコンパクトフラッシュカードからパソコンのハードディスクに読み込ませた上,必要な修正を加えた。そして,インターネット上にこの画像データを販売する旨の広告を掲載し,申し込んできた丙に対し,インターネットを介してこの画像データを送信して,その代金を,知人戊名義の銀行口座に振り込ませた。
甲はいかなる罪責を負うか。
島戸 対償を供与する約束をして性交をした点
詐言でもいいのかという話。
強姦罪や強制わいせつ罪との法定刑の比較から、真摯な承諾がない場合は買春罪ではなく強姦罪や強制わいせつ罪で処罰すべきである・軽い罪を立てて法定刑の上限を科刑するという無理をするなというのが奥村弁護士の見解と主張。
研修に紹介されている名古屋高裁金沢支部(弁護人奥村)と大阪高裁H15.9.18(弁護人奥村)(こっちは最高裁webに出ている。携帯電話を買うつもりもないのに、「携帯電話を買ってやる」と騙した。)は、真意が無くても対償を供与する約束を認めている。
なお、金沢支部については、金額で騙されても性行為自体には真摯な承諾があったから準強姦罪も成立しないとしている。こんな判決があったので、奥村弁護士がNGOから「準強姦罪の成立範囲が狭くなった」抗議を受ける結果となった。ごもっともですが、奥村弁護士の責任ではない。
被害者の調書に「無理やり」「犯人を許せません」「厳罰に処してください」ってあって強姦事件みたいだったので、遠回しに強姦罪で裁いてみてはどうか?と提案してみただけ。
なお、金沢支部判決は、原判決破棄で減刑されている。
島戸 画像データをパソコンのハードディスクに移した点
東京高判平成15年6月4日は,本設例とほぼ同様の事案(MOファイルに蔵置した電磁的記録をCD−Rに複写し,これを販売する目的でMOを製造,所持した事案)において,以下のように述べている。
これはmac判決として有名な、原田國男裁判長(macユーザー)・奥村弁護人(winユーザー)の判決だ。
なお、製造罪については大阪高裁H14.9.10(弁護人奥村)も参照(といっても公刊物未掲載)。
島戸 罪数関係
(4)結局,児童ポルノに係る罪についてまとめると,①第7条第3項の製造罪,、②第7条第5項の製造罪,③同項の所持罪,④第7条第4項の不特定多数の者に対する提供罪が成立するが,③第7条第5項の所持罪と④第7条第4項の提供罪とは包括一罪として処理され これと①第7条第3項の製造罪,②第7条第5項の製造罪とは併合罪の関係に立つことになる。
これはややこしいなあ、法務省としては、わいせつ図画の判例は忘れさせて、全部併合罪って言いきって現場にそう処理させて、裁判所に包括処理させないと、あぶないぞ。
しかも、個人的法益だったら、被害者の人数も罪数に反映させるべきではないか?
奥村弁護士の見解は、各被害児童毎に、製造・所持・提供・・・の各行為について別罪として、原則として併合罪。みじん切り。こうしておけば、裁判所が少しずつ包括評価したくなる。