改正時の旧法新法の比較は、ネタの宝庫です。
旧法には電磁的記録がありませんでした。
CDROMは「電磁的記録」である
本件児童ポルノ販売罪の客体はCDROMであるところ、CDROMはデジタルデータであるから、電磁的記録(現行法2条3項)である。すなわち、現行法は児童ポルノについて、
「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物
と規定しており、コンピューター用のデジタルデータは電磁的記録として児童ポルノに含め、ビデオテープなどのアナログデータについては「その他の物」として児童ポルノに含めると解される。
旧法の同項と比較すれば、客体として電磁的記録が追加されたことは明かである。つまり、旧法では児童ポルノには電磁的記録は含まれず、新法で含まれることになったのである。
旧法事件である本件でも、CDROMは児童ポルノとはならない。
改正前(本件)
第2条(定義)
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、ビデオテープその他の物であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。改正後(現行法)
(定義)
第2条
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。