児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

携帯電話を制限すると、児童買春のエサになる。

 携帯電話の取得を厳しくすると、児童買春のエサになりますよ。
 いまやってる事件でも、被告人は地域では「¥すれば、携帯買ってくれるおっちゃん」として有名でした。
 被害児童も携帯6台くらい持ってるんですが(出会い系サイト毎に、番号変えるため)、どうやって入手したんだか。

プリペイド携帯>犯罪対策指針を策定 警察庁、新手詐欺で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040921-00000065-mai-soci

警察庁の配付資料を入手しました。指針策定といえるほどのものでもないですね。

犯罪対策として必要な措置
1 本人確認
○ エンドユーザーの本人確認情報を事業者のシステムに入 力しなければ携帯電話が開通しないシステムの構築
〜 未登録のプリペイド式携帯電話の出現防止
○ 写真付き公務所発行証明書の原本による確実な本人確認

2 同一名義による複数契約
○ 同一名義人による複数契約の原則禁止
〜 例外についてはガイドラインが必要
○ 同一人名義による複数契約をチェックし、排除するシス テムの構築
※ プリペイド式に限った問題ではない

3 第三者への譲渡
第三者への譲渡の原則禁止

4 不正のチェック
事業者による代理店、販売店の不正のチェック

5 不正に対する制裁
代理店、販売店及びエンドユーザーの不正に対する制裁
・代理店契約の解除
・当該携帯電話の利用停止・角郡余

6 管理・監督
総務省又は電気通信事業者協会による管理・監督の徹底

 時々出てくる、携帯電話が対償とされている児童買春事件。「本体無料じゃないの?」って主張してみたら、真面目に判示してくれました。
 「お金5万円なんかじゃなくて携帯電話がいい。そんなに携帯欲しがってる児童に『おっちゃんが買うたる』って騙して買春したんだから、買春罪どころか準強姦罪じゃないのか」という主張については、「真意が無くても約束は成立する」という判断でした。
 因みに、被害児童の被害感情部分は「被告人は最初から現金を払うつもりでいて携帯電話を買うつもりはなかったと刑事さんから聞きました。携帯電話を買ってやると私を騙していやらしい行為をしたのです。そんな被告人を許せません。」という趣旨でした。児童なんだから、そんなこと言ってもいいじゃないですか。しかし、児童買春の被害はそこじゃないんだからそんな調書取ってくるなよ、奈良県警

http://courtdomino2.courts.go.jp/Kshanrei.nsf/webview/27642C03FB01140B49256E6700180854/?OpenDocument
(2) 原判示第1の事実についての法令適用の誤りの主張(控訴理由第15)及び訴訟手続の法令違反の主張(控訴理由第19)について
所論は,原判示第1の事実について,①原判決は,対償の供与を約束したことを認定しているが,証拠によれば,被告人にはAに対して携帯電話機を買い与える意思はなく,詐言による約束であって,双方の真意に基づく約束とはいえず,また,携帯電話機本体の価格は通常無料であって,反対給付としての経済的利益には当たらないから,児童買春罪の成立を認めた原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり(控訴理由第15),②平成14年6月26日付け起訴状記載の公訴事実には対償の供与の約束の成立時期,場所が特定されておらず,訴因が不特定であるから,公訴棄却をすべきであったのに,実体判決をした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある(控訴理由第19),というものである。
しかしながら,①については,被告人は,捜査段階において,携帯電話機を買ってやる約束をしたが,被告人名義で契約するわけにもいかないし,時間もないので,携帯電話機の代わりに現金を交付するつもりであったとの供述をしており,その内心の意思いかんにかかわらず,被告人がAに対して携帯電話機を買い与える約束をして性交に応じさせたことは関係各証拠に照らして明らかであるから,対償の供与の約束があったというべきであり,また,仮に携帯電話機の本体価格が無料であったとしても,取得するには契約手数料等が必要である上,携帯電話機にはその通信回線利用の権利が伴っているから,経済的価値が認められることもいうまでもないところであって,原判決が対償の供与の約束があったと認定したことに誤りはない。さらに,②については,児童買春罪の訴因としては,対償の供与の約束があったことが記載されていれば足り,その約束が成立した日時,場所を記載するまでの必要はないから,対償供与の約束とともに,被告人が児童であるAと性交をした日時,場所が具体的に記載されている本件公訴事実に訴因の特定に欠けるところはないというべきである。
論旨はいずれも理由がない。