児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

日弁連凶悪・重大犯罪に対処するための刑事法の整備に関する意見書

 奥村弁護士は関与していませんが、刑法学会には、児童に対する虐待も刑法に盛込めという意見があります。

http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/data/2004_42.pdf

凶悪・重大犯罪に対処するための刑事法の整備に関する意見書
2004年8月19日
日本弁護士連合会
意見の趣旨
「凶悪・重大犯罪に対処するための刑事法整備に関する諮問」に対する当連合会の意見は、次のとおりである。

【意見】
世界の趨勢に鑑み、性的自由の侵害に係る罪については男女の差を設けない構成要件を新たに検討し、そのそれぞれに見合う刑を規定すべきである。、、新たに設けられる各罪のそれぞれの刑は強盗罪等の法定刑の適正化を図りつつそれらとの権衡を考慮して決められるべきである。
【理由】
(1) 強制わいせつ罪と強姦罪の犯罪類型について根本的に見直す必要があること刑法の強姦罪は、行為主体を男性、客体を女性に限っており、男性が客体となったときは強制わいせつ罪となる。ところで、性的自由の侵害に係る罪については、世界の趨勢は、男女間に差を設けない方向にある。フランス、アメリカ、カナダなどにおいて、被害者を女性に限定しない形での法改正が行われており、ドイツにおいても年の改正により、被害者の性別を女性に限定せず「他の者1997 、を」と規定して性に対する中立的な文言を使用することにより、男性被害者についても強姦罪が成立するようになっている。かかる時期に刑法の強姦罪等の改正を行うときには、この世界の趨勢にあわせて改正が行われるべきである。また、近親姦にみられる家庭内における性的自由の侵害も近年問題となっている。これについては、必ずしも脅迫や暴行が用いられていないために現行の強姦罪規定では犯罪とならない場合もあることから、そうしたことに対応する新たな犯罪類型を設けることも検討課題とされてしかるべきであるし、そうでないとしても、かかる犯罪を非親告罪化して訴追しやすくすることも検討に値する。性的自由の侵害に係る問題に対応した構成要件の検討とそれぞれに見合う刑の在り方の検討をせずに、行為主体を男性に限り、客体を女性に限定する強姦罪の構成要件をそのままにして、強制わいせつ罪の法定刑の上限を年に引き上げ、10強姦罪の法定刑の下限を年に引き上げる等を内容とする要綱案には疑問なしとしない性的自由の侵害の罪の重要性は言うまでもないだからこそ、。強姦罪の刑の下限強制わいせつ罪の刑の上限の引き上げですませてはならないこの点については、財団法人キリスト教婦人矯風会が、刑事法部会宛に提出した「刑法改正に関する要望書」にも「新たな法体系は性を人権として捉え姑息な、改正にとどまらないこと」と述べているとおりである。
(2) 性的自由の侵害の罪の刑を検討するに当たっては、現行刑法の強盗罪等の刑との比較が不可欠であること刑事法部会での説明によれば、強姦罪の下限の引き上げは、絶対的なものであって強盗罪との比較をするなど相対的に決められるべきものではないとのことである。( 年以上年以下の自由刑( 年以上の有期しかしながら、フランス、ドイツ1 15 1 )自由刑) ( 年以上年以下の懲役刑、今回の要綱と比較しても強姦罪の刑それ自体2 15が不当に低いという(骨子)どおり有期刑の長期が改正されれば年以上年以下) 2 20わけではない。強盗罪の下限が年という刑法の規定と比較するからこそ、現行5の強姦の罪の刑の下限が低きにすぎるようにみえるのである。現行の強盗罪の刑の下限が年というのは、欧米諸国と比較しても異様に高いものとなっている。5強盗を含む財産犯の刑の在り方の再検討抜きに強姦罪等の性的自由侵害の罪の刑の検討はできないと言うべきである。