児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

 痴漢・盗撮(迷惑条例違反)弁護(自白事件)

 迷惑条例違反で逮捕された教授には罰金前科があったという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040412-00000182-kyodo-soci
 痴漢・盗撮は暗数(泣き寝入り)が多く、捕まるまで繰返していることが多い(常習性)ので、初犯の起訴猶予・罰金の時点で積極的再犯防止を取らせるのがポイント。
 なお、痴漢・盗撮・のぞきは、条文の体裁にかかわらず、被害者がある犯罪として対応すること。被害者がいることは常識で考えればわかることであり、理屈で「被害者なき犯罪」にすることはできない。

http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/bunken.htm
1 逮捕された場合は、できるだけ速やかな釈放。そのためには早期の弁護人依頼。
2 刑事処分については、前科がなければ、罰金の略式命令であろう。
3 軽い量刑を狙う場合
 痴漢・盗撮罪の保護法益は、個人的法益80+社会的法益20であろうから、謝罪・被害弁償がメインとなる。被害者は犯人との接触を拒むのが普通であるから、交渉役として弁護人選任が必須である。
 痴漢行為は強制わいせつ罪と紙一重(or重複している)であるから、被害感情を悪化させると、強制わいせつ罪の告訴をされて、容疑を強制わいせつ罪に転換されるおそれがある。強制わいせつ罪に罰金はない。
   刑法第176条(強制わいせつ)
   十三歳以上の男女に対し、
   暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、
   六月以上七年以下の懲役に処する。
   十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
 痴漢行為と公訴事実の同一性がある事実について、一度条例違反として刑事処分を受ければ、同一事実について重ねて強制わいせつ罪に問われることはない。つまり、適切に被害者対応を行えば、軽い処分が確定する。
4 行政処分(公務員・医師・歯科医・獣医師・薬剤師等)対策を忘れないこと。上述したように、刑事処分よりも行政処分や社会的制裁の方が強烈である。この面でも被害者との示談が望ましい。監督機関との交渉役として弁護人選任が必須である。
5 弁護人は、犯罪地が条例の適用範囲かどうか確認すること、強制わいせつ罪に発展させないこと(早期の謝罪・弁償)・報道対応・行政処分に注意。

6 通常は、初めての行為で検挙されることは珍しいから(弁解としてはそう弁解すべきであるが)、ある程度の常習性があることは否定できない。再犯防止を図り、捜査機関・被害者にアピールする必要がある。通勤コースの変更を誓約させることは、被害者にも安心を与える。
 謝罪・被害弁償は、それがない場合は即懲役というわけではないが、謝罪の苦しみや金銭支払の経済的支出によって、初犯時の反省(規範意識)を記憶に深く刻み込むことができ(刑罰の感銘力)、再犯防止につながる。
 被害者からみれば、あれほどの苦痛を受けたのに、犯人が罰金だけで放免されるのは理解しがたいところである。
 罰金のみの感銘力では頼りないところで、その意味でも謝罪・被害弁償を勧める。