児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

上申書強制わいせつ事件

 こういうのが性犯罪と児童ポルノ罪の接点で、児童ポルノ罪と性犯罪、児童ポルノ犯人と性犯罪者の関連性を示す事案ですが、強制わいせつ罪だけで必要な量刑が実現されるので、児童ポルノ製造罪がたてにくいんですよ。
 下手に3項製造罪(姿態とらせて製造)をたてると、数人分まとめてhddなどにダビングしてたりすると、数人分の強制わいせつ罪も科刑上一罪になってしまうんですよ。

http://www3.nhk.or.jp/news/k10014806011000.html
広島県内の小学校で女子児童の体を触ったとして逮捕された42歳の教諭の男が「以前勤めていた3つの小学校でほかにも15人の女子児童にわいせつな行為をした」とする上申書を提出していたことがわかり、警察が裏付け捜査を進めています。

その後の警察の調べに教諭は「以前勤めていた3つの小学校で15人の女子児童に対し、裸の写真を撮るなどわいせつな行為をした」とする上申書を提出したことがわかりました。警察の調べによりますと、教諭は女子児童に言うことを聞かないと指導しないと迫ったりして、学校の使われていない教室や車の中に連れて行ったということです。警察は、自宅から写真などを押収し裏付け捜査を進めるとともに、ほかにも被害にあった児童がいないか調べています。

 「上申書」が多数の余罪の自首になると、全体の情状としても減軽されることがあるんですが、画像が先に見つかってしまうと、自首になりにくいです。

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20080525p301.htm
 捜査関係者によると、三原署が容疑者の自宅からパソコンを押収した際、中に十数人の児童のわいせつな画像が保存されていたため、追及していた。

 こうなると「かすがい現象」の主張するしかないですね。
 製造罪が起訴されなくても、かすがい外しで処断刑期を引き上げることは許されないと主張するんですよ。

 この問題はときどき、警察関係者からも質問を受けますが、児童ポルノ罪と強制わいせつ罪の罪数処理の判例を組み合わせた結果生じる「現象」なので、どうしようもないですね。
 既存の罰則を知らなかった児童ポルノ法の立法者の責任ですよ。

ビデオ村vsネット

 売ってる人は、売れるから売ってるだけで、必ずしもそういう趣味の人ではありません。
 有体物の需要もまだ当分あるみたいですね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080525-00000910-san-soci
■「最大の脅威」は警察ではなく「ネット」
 男性たちの欲望に支えられ、“尋常でない生命力”を見せてきた「ビデオ村」だが、その立脚基盤は地盤沈下ともいうべき逆風が吹いている。
 「ビデオ村」を揺るがしているのは「ネット」なのだという。
 「やっぱりネットの影響ですよ。商売あがったりです。かつては月1000万円を売り上げた店もあったが、今や昔です」
 ビデオ店店主は寂しげな表情で振り返る。
 インターネットで無修正画像は当たり前。さらにファイル交換ソフトの発達で、大容量のビデオが無料で簡単に入手できるようになった。
 「客層が一気に高齢化してしまった。客として来るのはおじさんかおじいちゃんですよ。支えているのは団塊の世代と言っても過言でない。かつては性への興味ではちきれんばかりの高校生が来ていたものですが…」
 警察から摘発されても復活はするが、「ビデオ村」全体の市場規模は縮小しているようだ。
 最近ではパソコンのハードディスクにアダルト動画を詰め込んで「1台5万円」と販売する例もあるというが、主流になるには至っていない。
 ただ、利用者はネットにはないメリットを感じているようだ。客に話を聞いてみた。
 男性(45)はビデオ村に来る理由について、「ネットはワンクリック詐欺などが怖い。自分で買うほうが安全だし、(店に来たほうが)ネットより種類が多い」と強調する。
 男性会社員(33)は「インターネットは、家族に気づかれやすい。こういう店は自分で直接手に入れられるので助かる。買ってマンガ喫茶で見ます」と笑顔で話す。
 「結局、ビデオ村はアナログ人間が支える場所になっている。ただ、ネットの猛威をしのぎきれるとは考えにくい。“裏ビデオの聖地”も、今後は緩やかに衰退していくはず」
 前出の風俗ライターはそう分析している。

少年法改正案 「成立は微妙」「成立は困難」

 微妙に関与しているので、注目しています。

http://www.moj.go.jp/HOUAN/SYOUNEN/refer02.pdfによれば
   第三十七条から第三十九条まで  削除
とされていて、少年法37条も廃止されるんですが、改正のポイントには触れられていません。
http://www.moj.go.jp/KEIJI/keiji43.pdf

http://www.moj.go.jp/HOUAN/SYOUNEN/refer03.pdf
理由
・・・成人の刑事事件により適切に対処するため、その管轄を家庭裁判所から地方裁判所等へ移管する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 児童淫行罪の際の児童ポルノ製造行為が家裁管轄か、地裁管轄かが争われている(というよりだれもわからない)上告事件があるんですが、それは、「従前の例による」ということで、万一差し戻されるとしても家裁と地裁ですね。

http://www.moj.go.jp/HOUAN/SYOUNEN/refer02.pdf
附則
(施行期日)
(経過措置)
2 この法律の施行の日前にこの法律による改正前の少年法第三十七条第一項の規定により公訴の提起があった成人の刑事事件については、この法律による改正後の少年法、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定にかかわらず、なお従前の例による。沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十九号)第二十六条第四項の規定により家庭裁判所が権限を有する成人の刑事事件についても、同様とする。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080522-00000085-mai-pol
改正案は傍聴の対象を殺人や強盗致死、危険運転致死などの重大事件とし、裁判官が少年の年齢や精神状態などを考慮したうえで傍聴を認めるかどうか判断する。ただ、日本弁護士連合会などは「少年が萎縮(いしゅく)し、健全育成を阻害する」などと反対している。民主党も修正協議を模索していることから今国会中の成立は微妙だ。

少年法改正案、審議入り(186文字)(産経新聞) - 2008年5月23日(金)
 原則非公開となっている少年審判の傍聴を犯罪被害者や遺族に認めることを柱にした少年法改正案が、22日の衆院本会議で審議入りした。しかし日程的に、今国会での成立は困難とみられる

弁論で「○○の事実については証拠がない」って指摘すると証拠が追加されてやぶ蛇になる危険

 言わないで判決もらって、控訴審で指摘すべき場合があります。
 判例になったある事件で、ある構成要件事実について自白しか証拠がないので(補強法則)、指摘してやろうと弁論を用意していたら、被告人が出頭困難で公判が空転して、その間に検察官が交代して、その部分の立証を追加され、臍を噛んだことがあります。

<偽計業務妨害>「音声案内に興奮」 電話500回の男逮捕

 「顧客への案内業務」を妨害したということでしょうから、「通話料幾ら」というのは必須ではありません。実害からはちょっと遠い。
 でも、妨害を客観的に評価する数字はよく出てきて、妨害の回復費用とか妨害による売り上げ減少グラフとかが立証されます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080525-00000049-mai-soci
容疑者は05年7月から06年11月にかけ、二つの携帯電話から同県高崎市に本社を置く食品会社の通販専用フリーダイヤルに約500回計3100時間電話し、通話料約380万円の損害を与えた疑い。商品は購入しておらず、同社は06年12月に被害届を出していた。

(信用毀損及び業務妨害
第二百三十三条  虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。