児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ:教え子に行為の教諭に実刑判決−−地裁八王子支部H20.5.9 /東京2008.05.10 毎日新聞

 検事さんの論告なんかを聞いていると、教員の性犯罪が懲戒免職にしても一向に減らないものだから「懲戒免職」という情状は弱くなっているようです。
 他方、師弟間の地位利用型は児童淫行罪的要素があって量刑重いので、こういう結果になります。

2008.05.10 毎日新聞
 教え子の女子生徒にわいせつな行為をしたとして強制わいせつの罪に問われた元都立羽村高校教諭(46)に対し、地裁八王子支部は9日、懲役1年2月(求刑・懲役1年6月)の実刑判決を言い渡した。柴田誠裁判官は「信頼していた教師に裏切られ、被害者が心に深い傷を負ったのは明らか。刑事責任は重い」などと述べた。
 判決によると、被告は、学校が休みだった昨年10月12日、女子生徒(当時17歳)をドライブに誘い出し、あきる野市の山中に止めた車内で、生徒の体を触るなどのわいせつな行為をした。
 柴田裁判官は、被告が懲戒免職になったことなどの事情について、「十分に考慮したとしても、刑の執行を猶予すべき事案とは認められない」と指摘した。

 進行を推測すると

2/29 逮捕
3/下旬 起訴
4/末 第1回
5/9 実刑判決

ということで、早期判決ですね
 慰謝の措置について、できることを全部やったのか疑問です。
   懲戒免職で社会的制裁を受けたから、執行猶予じゃ
なんて油断していたのかもしれません。
 そうじゃなくて、実刑危険が高いので、刑期を短縮するために、ぎりぎりまでできることは全部やるくらいでないと、意外な結果となります。
 奥村なら、示談で100点満点の情状が無理でも、それに向けた努力で、10点、20点、30点という部分点を狙いますけどね。そういう評価なので。

逮捕されるかどうか?について、怪しげな相談サイトで相談料5万円払い、自称探偵に相談料20万円払い、逮捕された事例

 非弁行為の被害者です。

 冷静に考えると、警察と弁護士以外にこの関係の情報が集積するはずがなく、警察に相談すると捕まるかもしれないんだから、最初から弁護士に相談するしかない。
 弁護士の相談料でもこの手の相談で「相談料5万円」というのは高いですよね。

青少年条例違反で真剣交際の主張

 

http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20080510ddlk09040108000c.html
論告求刑公判が9日、宇都宮地裁小林正樹裁判官)であった。検察側は「悪質極まりなく、社会的影響も大きい」と懲役1年を求刑した。
 一方、弁護側は「性欲を満たすためではなく、淫行には当たらない」と、改めて無罪を主張した。
 起訴状などによると、被告は昨年12月、下野市のホテルで性的欲求を満たすため女子生徒(当時17歳)にみだらな行為をした。その後、2人の関係に気付いた被告の妻が、警察に連絡し事件が発覚した。

読売新聞
検察側は「教師へのあこがれに基づく被害者の積極的な態度に乗じて関係を持った。教師の社会的信頼を害した結果も重大」として懲役1年を求刑した。
 弁護側は最終弁論で「被告と被害者の心情は恋人同士のもので、淫行にはあたらない」と無罪を主張した。


 進行をみると

2/15 逮捕
2/26 起訴
4/11 初公判
5/9 論告求刑弁論

ということで、被害児童は尋問は入ってないようですね。
 それほど真剣に主張・立証しているようには思えません。

<労役場留置>10年で2.8倍 モラル崩壊顕著に

 「モラル崩壊」っていっても、法律を守らない犯罪者の話ですから、いまさらな感じです。
 略式手続の上限が上がって100万円までになって、支払困難というのも増えたんじゃないですか?
 児童買春罪の罰金は30〜100万円なんですが、払えないこともあって、事実上分納(分割払い)している人もいます。意外にモラルあるんです。
 モラルのない人は、高額の罰金を目にして、「それなら公判請求されて執行猶予の方が良かった」と言いますね。「執行猶予」って後がないことを実感してない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080511-00000010-mai-soci
<労役場留置>10年で2.8倍 モラル崩壊顕著に
5月11日2時31分配信 毎日新聞
罰金執行件数と労役場留置件数
 交通違反などで命じられた罰金刑を支払わずに刑務所や拘置所で働く「労役場留置」の件数が急増している。法務省のまとめでは、97年度の2661件が06年度は7376件と10年間で2.8倍になった。罰金刑の件数(執行件数)そのものは同期間で約4割減少しており、罰金刑に占める割合は4.5倍に跳ね上がった計算になる。専門家は、罰金高額化の流れの中で払えない経済的困窮者が増加したことに加え、「払わなくていい」というモラル崩壊で強制的に収容されるケースが多いと指摘している。

 民事でも刑事でも無担保の場合の債権回収って大変なんですよね。
 サラ金の回収担当者並に、執拗に執行すれば、執行率は上がると思います。
 そもそも罰金を100万までにするのなら、一括支払不能を想定して、執行方法も多様化(分納・延納など)する必要もありますよね。クレジットカードでリボ払いとか。

追記

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080513-00000030-mailo-l04
◇「収容状」には周到準備
 通常、身柄を拘束し、強制執行する場合には、事前に周到な準備が必要だ。同地検では、少なくとも2回以上の督促状を送付。通知を無視したり、払うと約束しながらほごにした場合のみ、財産の差し押さえで対応できないか資産を調査する。一連の手続きを踏んだうえで、ようやく身柄拘束のための「収容状」を執行する。
 だが、実際に身柄を拘束されてはじめて、家計を共にしない親族が、あわてて借金をして納付する場合も多い。同地検は「それなら最初から払ってほしいと思うが、生計を一にしていない親族の資産状況まではわからない」と徴収作業の難しさを語る。
 多重債務問題に詳しい釧路弁護士会の今瞭美弁護士は「罰金を払うために消費者金融から金を借り、多重債務に陥るケースもある」と指摘する。
 罰金の納付は、原則的に一括納付しか認められていない。個別の相談で分割に応じる例はあるものの、広く知られていないため「高額すぎてどうせ払えない」と支払う意思が失われてしまう例もあるという。今弁護士は「分割納付の制度導入について議論を始めてもいいのではないか」としている。

 親族が払うと、刑罰としての一身専属性が失われますね。
 刑罰ですから、回収コストは考慮しませんよね。労役場留置も1日5000円ですが、衣食住まかなって5000円も残るような作業はできないでしょう。
 そうであれば、資力に応じてぼちぼち支払って、感銘力を深めるような執行方法を作るべきですね。

「同一被害児童への数回の児童買春罪は包括一罪」という一審判決はどうしたものか?

 併合罪だという金沢支部判例がある。
 原審弁護人も主張してないのに。
 黙ってても控訴審で訂正されるんでしょうが、一審は保護法益とかわかってなかったんでしょうね。

 もっとも、「同一被害児童への数回の青少年条例違反は包括一罪」という金沢支部判例もあって、みんなわからないまま、実刑判決を書いているような気もします。

美人局の恐喝・強盗で児童買春罪も既遂の場合

 児童買春罪は未遂処罰がないので、性交等(性器接触行為・性交類似行為)に至ってないのであれば、児童買春罪で処罰される危険はありません。
 児童買春罪は既遂になっている場合でも、児童買春罪の自首で持って行くと、在宅捜査として恐喝・強盗の捜査もやってくれるようです。

出会い喫茶、犯罪誘発も 京に2店、府警監視

 北海道、名古屋、京都と監視対象になったようです。
 児童を一斉補導とか、カップルを尾行してホテル前で職務質問とか、やればできるみたいです。

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008051100053&genre=C1&area=K00
面識のない男女に出会いの場を提供する「出会い喫茶(カフェ)」に対し、京都府警が監視を強めている。女子高校生も店に通い、男性客から金を受け取って店外デートを重ねており、援助交際などに発展することを懸念しているからだ。ただ、営業形態が風営法の対象外で、現状では店の摘発や規制は難しいとみられる。
 警察庁は昨年末時点で、京都市の2店を含め全国で77店の出会い喫茶を確認している。店内で男性が女性を指名し、別室で会話を楽しむシステムで、大半は交渉次第で店外デートが行われ、交通費名目の金が女性に渡されている。この交通費を目的に店を利用する高校生や大学生の女性も多いとみられ、府警は「犯罪に巻き込まれる危険がある」と警戒する。
 府警は昨年、店で知り合った女子高校生にみだらな行為をした男2人を府青少年育成条例違反で検挙した。全国的にも、店で出会った男女が援助交際するなどの事件が相次いでいる。愛知県警は今年4月末、児童買春容疑で逮捕した男が少女と出会った名古屋市の店を家宅捜索した。
 店は客同士の交渉に介入しないため、店外で男女の買春行為があっても店の責任追及は難しい。警察庁は「店と女性客との間に雇用関係はない」との認識を示し、風営法違反にも問えない。

 ということで、児童買春した(かもしれない)人は、なるべく早く、最寄りの弁護士に相談しましょう。