児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年条例違反+3項製造罪(姿態とらせて製造)で懲役10月執行猶予3年(静岡地裁H20.2.1)

 職質で発覚してから、弁護士に相談していれば、もう少しソフトな結末だったと思います。

h19.4.28 青少年条例違反+3項製造罪(姿態とらせて製造)
h19.9 深夜同行13歳(←職務質問
h19.11.6 逮捕
h19.11.27 起訴
h20.1.18 初公判 求刑
h20.2.1 判決

少女にみだらな行為 静岡大生に有罪判決=静岡
2008.02.02 読売新聞社
 未成年の少女にみだらな行為をしたなどとして県青少年環境整備条例違反(淫行(いんこう)、深夜同行)と児童買春・児童ポルノ法違反(児童ポルノ製造)の罪に問われた被告(25)の判決が1日、静岡地裁であった。
 引馬満理子裁判官は「性的欲求を満たすために信頼や幼さにつけこんで悪質」として、懲役10月、執行猶予3年、罰金20万円(求刑・懲役10月、罰金20万円)を言い渡した。
 引馬裁判官は「教師を目指す者として子供をいさめる立場にあったが、罪を認め、退学が予想されるなどの事情がある」と述べた。
 判決などによると、被告は昨年4月28日ごろ、高校1年の女子生徒(当時15歳)が18歳未満と知りながら、学生寮内の自室に連れ込み、みだらな行為をしたうえ、携帯電話で撮影するなどした。

 3項製造罪(姿態とらせて製造)が一番重い刑になります。
 青少年淫行罪と3項製造罪(姿態とらせて製造)はおそらく併合罪
 撮影行為は条例の「わいせつ行為」に他ならないので、観念的競合か混合的包括一罪という罪数処理もあり得ます。
 16条2項の深夜同行罪は罰金10万円ですから、2罪あることがわかります。

http://rules.pref.shizuoka.jp/reiki/Li05_Hon_Dsp.exe?PAGE=1&UTDIR=E:\EFServ2\ss000006A3\H00000001&SYSID=721&FNM=a9000979041910311.html
静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例
制定 昭和36年10月4日条例第55号
次代をになう青少年が、心身ともに健やかに成長することは、すべての人の念願であつて、青少年は人として尊ばれ、社会の一員として重んぜられ、よい環境のなかで育てられなければならない。
このために、県民は今日まで絶えまない努力を続けてきた。しかしながら、現代の社会環境は必ずしも満足すべき状態とは言えない。よつて、県民は、青少年に対し深い関心と愛情を持ち、青少年が近代社会人としての人間形成ができるよう、良好な環境を整備し、青少年の健全な育成を図らなければならない。
ここに、新たな自覚と決意のもとにこの条例を制定するものである。
(目的)
第1条 この条例は、青少年の健全な育成を図るため、良好な環境を整備することを目的とする。
(適用上の注意)
第2条 この条例を適用するに当つては、県民の権利及び自由を不当に制限しないよう留意しなければならない。
(淫いん行及びわいせつ行為の禁止)
第14条の2 何人も、青少年に対し、淫いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
(追加〔昭和53年条例20号〕)
(深夜外出の制限等)
第16条
2 何人も、保護者の委託を受けず、又はその承諾を得ないで、深夜に青少年を同行して外出してはならない。ただし、正当な理由がある場合は、この限りでない。
第21条 第14条の2第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は50万円以下
の罰金に処する。
2 第14条の3の規定に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
5 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
(4) 第16条第2項の規定に違反した者

強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪が併合罪だとすると、訴因不特定となるおそれがある裁判例

 東京高裁h19.11によればわいせつ行為と撮影行為は一個の行為ではなく、併合罪だとされていますので、撮影を含む強制わいせつ罪のうち、撮影と撮影以外の行為は一個の行為ではなく、併合罪の関係になるから、↓のような訴因は、併合罪となる複数の事実を一個の訴因として記載していることになるので、訴因不特定です。
 弁護人はこの辺の判例の動きにご注意ください。

佐賀地方裁判所平成18年3月14日
第4 わいせつな行為をする目的で,同年10月15日午後5時35分ころ,福岡県大牟田市g町h丁目i番地所在のG方南方約130メートル先路上において,帰宅途中のH子(当時7歳)に対し,同児を持ち上げて,同所に停車中の普通乗用自動車の運転席側後部ドアから同車両内に押し込むなどの暴行を加え,直ちに同児を自己の支配する同車両内に乗せたまま同車両を発車させて略取した上,そのころから同日午後7時5分ころに同市j町k丁目l番地所在のI方北側路上で同児を解放するまでの間,同市内又はその周辺に停車させた同車両内において,同児が13歳未満であることを知りながら,同児に対し,同児を全裸にし,その陰部をバイブレーター様の異物で弄び,その口腔内に自己の陰茎を含ませ,その状況を所携のデジタルカメラで撮影するなどした
第5 わいせつな行為をする目的で,同年11月4日午後3時30分ころ,佐賀県鳥栖市m町n番地所在のJ神社東側路上において,下校途中のK子(当時9歳)に対し,同児を持ち上げて,同所に停車中の普通乗用自動車の運転席ドアから同車両内に投げ入れるなどの暴行を加え,直ちに同児を自己の支配する同車両内に乗せたまま同車両を発車させて略取した上,そのころから同日午後5時ころに同市o町p番地所在のL方西側路上で同児を解放するまでの間,同市内又はその周辺に停車させた同車両内において,同児が13歳未満であることを知りながら,同児に対し,その下着を脱がせ,その陰部を手指で弄び,その状況を所携のデジタルカメラで撮影するなどし,その際,同児に対し,約1週間の治療を要する第1度会陰裂傷の傷害を負わせた
第6 わいせつな行為をする目的で,平成16年2月20日午後4時15分ころ,同市q町r番地所在のM方北側路上において,下校途中のN子(当時9歳)に対し,同児を持ち上げて,同所に停車中の普通乗用自動車の助手席側後部ドアから同車両後部座席に押し込むなどの暴行を加え,直ちに同児を自己の支配する同車両内に乗せたまま同車両を発車させて略取した上,そのころから同日午後5時ころに同市s町t番地所在のO方東側路上で同児を解放するまでの間,同市内又はその周辺に停車させた同車両内において,同児が13歳未満であることを知りながら,同児に対し,その下着を脱がせ,その陰部を手指で弄び,その状況を所携のデジタルカメラで撮影するなどした

神戸地方裁判所平成17年11月25日
第5(平成16年9月2日付け起訴状記載の公訴事実)
 女子児童に強いてわいせつな行為をし,状況によってはさらに強いて姦淫する目的で,平成15年5月31日午前9時ころ,兵庫県明石市<番地等略>所在の中学校の敷地内にその正門から侵入し,同中学校玄関ホール前付近において,G(当時14歳)に対し,「職員室はどこ,案内して。」などと言葉巧みに申し向けて同女を同中学校の中庭にある植え込みに誘い込み,同所において,「抵抗したら殴るぞ。殺すぞ。」などと語気鋭く申し向けて脅迫し,同女の体操服のシャツ等をまくり上げ,その両乳房をもむなどし,さらに,同女を同中学校玄関ホール北側入り口前付近まで連行し,同所において,同女の体操服のシャツ等をまくり上げ,同女の体操服の半ズボン等を脱がせて同女を裸にし,所携のカメラ付き携帯電話で同女の乳房や陰部を撮影した上,同女が抵抗しなかったことから,強いて同女を姦淫しようと決意し,前記脅迫により反抗を抑圧されている同女を姦淫しようとしたが,同女の膣内に自己の陰茎を挿入できなかったため,その目的を遂げなかった

逮捕された方・起訴された方、判決を受けた方からのご相談

 最近、実刑判決後の相談が多くなりました。
 犯罪事実が固まっていて一般論では意味がないことから、可能な限り、無料で相談に応じることにしています。
 できれば、勾留状・起訴状・判決書を拝見できれば、それを前提にしたコメントを述べさせていただきます。
 この場合は電話でもメールでも結構です。
 せっぱ詰まった相談には迅速に対応します。

わいせつDVDが暴力団の資金源? 幹部ら14人逮捕

 そりゃ、捕まるまでは儲かりますから。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080203/crm0802031930008-n1.htm
県警は2日夜から同市北越谷のDVD製造工場や埼玉、栃木両県のDVD販売店5店など計8カ所を一斉捜索。わいせつDVD計約2万枚と複製機11台などを押収した。
 容疑者らは平成17年秋ごろから次々と店舗を開設。最盛期の19年夏には3県で約10店舗を営業し、月に計約2000万円を売り上げていたという。県警は売上金が暴力団組織の収入源だったとみて調べている。
 DVDは越谷市の製造工場で生産、各店舗で販売されていた。これまで確認された店舗は埼玉、栃木、群馬3県の10カ所近くにのぼっており、警察の目を逃れるために、店舗内外に複数の監視カメラを設置していた。容疑者は主犯とみられ、13人は従業員を雇い店の経営に携わっていた。

 モザイクを外したのか、モザイクを掛ける前のテープを持ち出したのか知りませんが、著作権法違反も狙うようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080204-00000071-mailo-l11
05年秋ごろ営業を始めた同店は口コミで評判が広がった。昨年10月に電車内で女子高生を撮影したとして、県警に都迷惑防止条例違反の疑いで逮捕された元公務員も常連客だったという。
 グループは埼玉、群馬、栃木の9店舗で、1枚3000円〜10枚1万5000円で違法DVDを販売。パッケージは市販品と同一だが、合法的に流通しているDVDのモザイクを外したものも多数あった。同本部は著作権法違反の疑いもあるとみて流通経路を調べるとともに、売上金が暴力団の資金源になっていたとみて追及する。