児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

<ジャパネット>元社員に1億円賠償提訴 顧客情報流出で

 損害額は1件5000円だそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070417-00000018-mai-soci
訴状などによると、男性は96年3月から99年9月まで同社に勤務。98年ごろから別の元社員の男性(37)と共謀し、MO(マグネット・オプティカル)と呼ばれる記憶媒体に約51万人分の顧客情報を記録して流出させ、同社に少なくとも約25億7000万円の損害を発生させた。損害額は判例を基に、1件あたり5000円を目安に算出した。また、97年ごろからこの元社員と販売用パソコンなど約420台(総額約4100万円)を盗み、質屋に売るなどして代金を同僚らとの付き合いなどに使った。

インターネット・ホットラインセンターの運営の在り方及びインターネットカフェ等における匿名性その他の問題と対策

 業界に危機感がない場合、悪質なインターネットカフェを、ネット犯罪の共犯で検挙することも予想されます。

http://www.npa.go.jp/cyber/csmeeting/h18/image/pdf18.pdf
インターネット・ホットラインセンターの運営の在り方及びインターネットカフェ等における匿名性その他の問題と対策
平成18年度総合セキュリティ対策会議 報告書
総合セキュリティ対策会議

(エ) 子どもによる違法・有害情報の閲覧を防止する措置の不徹底
子どもがインターネットカフェを利用した場合、当該子どもが保護者の知らない間にインターネット上の違法・有害情報にさらされるおそれがある。
平成18 年12 月1日現在、21 都府県(注6)では、いわゆる青少年保護育成条例により、インターネット接続が可能なコンピュータを公衆の利用に供する事業者に対し、フィルタリングソフトの活用等によりインターネット上の有害情報を青少年に閲覧させないよう努力する義務を課している。また、日本複合カフェ協会も、運営ガイドラインの中で、18 歳未満の利用者に対してフィルタリング機能を付加したコンピュータを使用させるよう努力する義務を定めている。
しかし、東京都青少年・治安対策本部が平成18 年2月から同年3月にかけて実施した調査によると、都内のインターネットカフェ63 店舗のうち、フィルタリングサービスを提供していると回答したものは12 店舗(19.0%)に過ぎなかった(注7)。
このように、東京都内のインターネットカフェでは、子どもが使用するコンピュータへのフィルタリング機能の付加が徹底されておらず、他の道府県においても同様の状況である可能性がある。

観念的競合の歴史

 結局、最高裁では事件ごとに観念的競合説と併合罪説の両方を唱えているのですが、後付で、判例のいう「社会見解上一個の行為」を分析しています。
 只木先生の本によれば、一罪になるというのは東洋の思想とか武士道に遡るそうです。西洋ではローマ法とかゲルマン法。
 今度、書面で
    観念的競合の本質は侍魂である。
と書いてみましょう。それで結論が変わることはないと思いますが、弁護人はそこまで勉強したという証拠に。



只木誠「罪数論の研究 補訂版」P15
このように西洋における罪数論・競合論の歴史は古くローマ法にまで遡ることができる。そこでは、集権的支配と統一的な法秩序の確立への過程において、フェーデの禁止や、公的秩序を維持するために刑事罰が科されるようになり、私法的・賠償的な刑法・刑罰から公法的な刑法・刑罰への移行という現象がみられる。すなわち、併科主義から吸収主義、そしてその折衷的性格を有する加重主義への推移の歴史である。「所謂罪数論というのは、併科主義または併科主義を原理とする加重主義の法制の下において観念的競合または連続犯をその併科または加重より救わんとする意図の下に発展せしめられた理論である(41)」、といわれる所以である。また、当初は、刑の併科の事実上の困難さや科刑の実際上の不都合さが吸収主義を生み出したのであったが、後には、犯罪や刑罰の本質についての理解に関連づけた競合論の自覚的な展開がなされ、これに基礎づけられた吸収主義、加重主義が登場したのであり、実在的競合に対して観念的競合を区別して、これを宥恕して扱うという観念的競合の一罪性の思想は、その現れであるといえよう。

(41)小野・前掲註(5)三四一頁。西洋の刑法は併科主義から出発し、そこでは私法的・賠償的刑法観、威嚇的・保安的刑法観が背景をなしているのに対して、東洋の刑法は、古来一貫して「一の重きに従う」とする吸収主義に出発し、数罪において責任判断を総合して統一的に科刑する統一刑主義をもって一貫しており、これは公法的・道義的刑法観念に基づいていることを指摘する。唐律以来の東洋の競合論、わが国の武家社会の競合論及び明治維新後の競合論については、小野・前掲註(5)三四五頁。

強姦被害者の年齢と量刑(佐世保支部)

 別に、何歳以上は性犯罪被害が軽いとかいうつもりはありません。
 統計的には出せないですが、量刑理由における被害者の年齢の評価を見る限り、児童・未成年だと加重されていますが、中高年齢とかになっても変わらないんですね。
 これは発見なんですよ。
 佐世保バーガー食べて長崎市へ。

認否留保

 別に1回目に認否するとかいずれかの時点で被告人が罪状認否しなければならないという法律にはなってないですよ。保留はよくあります。そこで打ち切ったのは裁判所の訴訟指揮。>>神戸新聞

刑訴法第291条〔冒頭手続〕
検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。
②裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070416-00000094-jij-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070416-00000126-mai-soci

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070417-00000023-san-soci
被告側はいずれも「検察側の証拠開示が遅れたため、証拠について十分検討できていない」として認否を留保した。認否は次回公判で明らかにする見通し。
 被告側の認否留保の理由について、神戸地検は「証拠開示が特別遅れたわけではない」としている。

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000304503.shtml
遺族会見 言葉失い、大粒の涙
 「怒り、憎しみ、悲しみ。いろんな感情があふれてうまく表現できません」。十六日の初公判の後、カラオケ店火災で亡くなった男性=当時(18)、男性=同(17)、男性=同(16)=の父親がそろって記者会見に応じた。言葉を失い、大粒の涙を流した父三人。罪状認否もなく、約三十分で終わった裁判に「拍子抜け。何をしに来たのか分からない」と憤った。
 朝、三人は家族らと火災現場を訪れ、息子らが一酸化炭素中毒で亡くなったカラオケボックスの部屋に花束を手向けた。「息子は殺された。今日から戦いが始まる」。息子たちにそう語りかけ、神戸地裁に向かった。
 だが、検察と弁護側の「行き違い」で冒頭陳述はおろか、罪状認否もなし。遺族らは初めて見る被告の顔や背中をじっと見つめ、悔しさをかみ殺した。

過失秘密漏示罪

 故意に漏らした人もそうでない人もいるようなんですけど、条文を見たら、過失犯も処罰されていますね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070417-00000041-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070417-00000001-yom-soci
 客体が無体物なので「漏らした」というのは微妙な概念ですね。「漏れた」ら「漏らした」ことになるんでしょうか?
 公になると意味が無くなるんですが、公判請求されて知る権利なんかが主張されると、刑訴法上秘密保持のための特段の制度はないいですよね。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO166.html
日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法
(昭和二十九年六月九日法律第百六十六号)
(定義)
第一条  この法律において「日米相互防衛援助協定等」とは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定及び日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定をいう。
2  この法律において「装備品等」とは、船舶、航空機、武器、弾薬その他の装備品及び資材をいう。
3  この法律において「特別防衛秘密」とは、左に掲げる事項及びこれらの事項に係る文書、図画又は物件で、公になつていないものをいう。
一  日米相互防衛援助協定等に基き、アメリカ合衆国政府から供与された装備品等について左に掲げる事項
イ 構造又は性能
ロ 製作、保管又は修理に関する技術
ハ 使用の方法
ニ 品目及び数量
二  日米相互防衛援助協定等に基き、アメリカ合衆国政府から供与された情報で、装備品等に関する前号イからハまでに掲げる事項に関するもの

(特別防衛秘密保護上の措置)
第二条  特別防衛秘密を取り扱う国の行政機関の長は、政令で定めるところにより、特別防衛秘密について、標記を附し、関係者に通知する等特別防衛秘密の保護上必要な措置を講ずるものとする。

(罰則)
第三条  左の各号の一に該当する者は、十年以下の懲役に処する。
一  わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、又は不当な方法で、特別防衛秘密を探知し、又は収集した者
二  わが国の安全を害する目的をもつて、特別防衛秘密を他人に漏らした者
三  特別防衛秘密を取り扱うことを業務とする者で、その業務により知得し、又は領有した特別防衛秘密を他人に漏らしたもの
2  前項第二号又は第三号に該当する者を除き、特別防衛秘密を他人に漏らした者は、五年以下の懲役に処する。
3  前二項の未遂罪は、罰する。
第四条  特別防衛秘密を取り扱うことを業務とする者で、その業務により知得し、又は領有した特別防衛秘密を過失により他人に漏らしたものは、二年以下の禁こ又は五万円以下の罰金に処する。
2  前項に掲げる者を除き、業務により知得し、又は領有した特別防衛秘密を過失により他人に漏らした者は、一年以下の禁こ又は三万円以下の罰金に処する。
第五条  第三条第一項の罪の陰謀をした者は、五年以下の懲役に処する。
2  第三条第二項の罪の陰謀をした者は、三年以下の懲役に処する。
3  第三条第一項の罪を犯すことを教唆し、又はせん動した者は、第一項と同様とし、同条第二項の罪を犯すことを教唆し、又はせん動した者は、前項と同様とする。
4  前項の規定は、教唆された者が教唆に係る犯罪を実行した場合において、刑法 (明治四十年法律第四十五号)総則に定める教唆の規定の適用を排除するものではない。
(自首減免)
第六条  第三条第一項第一号若しくは第三項又は前条第一項若しくは第二項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

(この法律の解釈適用)
第七条  この法律の適用にあたつては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあつてはならない。


http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29SE149.html
米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法施行令
(昭和二十九年六月十八日政令第百四十九号)
 内閣は、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法 (昭和二十九年法律第百六十六号)第二条 の規定に基き、この政令を制定する。
(秘密区分)
第一条  日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法第一条第三項 に規定する特別防衛秘密は、その秘密の保護の必要度に応じて、機密、極秘又は秘のいずれかに区分しなければならない。
2  前項の「機密」とは、秘密の保護が最高度に必要であつて、その漏えいが我が国の安全に対し、特に重大な損害を与えるおそれのあるものをいう。
3  第一項の「極秘」とは、秘密の保護が高度に必要であつて、その漏えいが我が国の安全に対し、重大な損害を与えるおそれのあるものをいう。
4  第一項の「秘」とは、秘密の保護が必要であつて、機密及び極秘に該当しないものをいう。

(秘密区分の指定、変更及び解除)
第二条  国の行政機関(内閣府並びに内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 及び第二項 に規定する機関並びに国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関をいう。以下同じ。)の長(以下「各省庁の長」という。)で、アメリカ合衆国政府から特別防衛秘密に属する事項又は文書、図画若しくは物件の供与を受けたものは、その特別防衛秘密につき、前条に規定する秘密区分の指定を行わなければならない。
2  前項の国の行政機関の長は、同項の規定により指定した秘密区分を変更することができる。
3  第一項の国の行政機関の長は、特別防衛秘密として秘匿する必要がなくなつたとき、又は公になつたものがあるときは、その部分に限り、速やかに、秘密区分の指定を解除しなければならない。
4  第一項の国の行政機関の長は、特別防衛秘密について、前三項の規定により秘密区分を指定し、変更し、又は解除したときは、必要に応じ、その旨を関係行政機関に通知しなければならない。

(標記)
第三条  各省庁の長は、その取り扱う特別防衛秘密に属する文書、図画又は物件につき、これらが特別防衛秘密に属し、かつ、機密、極秘又は秘のいずれかに区分されている旨の標記をしなければならない。
2  各省庁の長は、前条第二項若しくは第三項の規定により秘密区分を変更し、若しくは解除し、又は同条第四項の規定による秘密区分の変更若しくは解除の通知を受けたときは、速やかに、前項の標記を変更し、又は抹消しなければならない。
3  第一項の標記の様式は、別記様式のとおりとする。

(通知)
第四条  各省庁の長は、その取り扱う特別防衛秘密に属する事項又は特別防衛秘密に属する文書、図画若しくは物件であつて、前条の規定による標記ができないもの若しくは標記をすることが適当でないものについては、関係者に対し、文書又は口頭により、これが特別防衛秘密に属し、かつ、機密、極秘又は秘のいずれかに区分されている旨の通知をしなければならない。
2  各省庁の長は、第二条第二項若しくは第三項の規定により秘密区分を変更し、若しくは解除し、又は同条第四項の規定による秘密区分の変更若しくは解除の通知を受けたときは、必要に応じ、速やかに、その旨を関係者に対し、文書により、通知しなければならない。

(掲示)
第五条  各省庁の長は、その管理する施設内にある特別防衛秘密に属する物件について、必要があるときは、その物件に近接してはならない旨の掲示を行うものとする。

(委託中における特別防衛秘密保護上の措置)
第六条  各省庁の長は、その取り扱う特別防衛秘密を製作、修理、実験、調査研究、複製等のため政府機関以外の者に委託する場合は、委託中における秘密の漏えいの危険を防止するため、契約条項に秘密保持に関する規定を設ける等必要な措置を講じなければならない。

(特別防衛秘密保護上の措置の実施細目)
第七条  第二条から前条までに規定するもののほか、各省庁の長は、その取り扱う特別防衛秘密に属する事項又は特別防衛秘密に属する文書、図面若しくは物件の複製、送達、伝達、接受、保管、破棄等その取扱いに関し、特別防衛秘密の保護上必要な措置を講じなければならない。
2  前項に規定する特別防衛秘密の保護上必要な措置の実施細目については、各省庁の長が定める。