児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

[性犯罪]わいせつ教師:相次ぐ逮捕「氷山の一角」 市教委など、訴え放置や虚偽報告 /静岡

 学校は使用者責任負う危険もあるので、事件にしない方向に動く。
 犯罪なんだから、学校に訴えても無駄という理解でいいんじゃないですか。警察へ。
 しかも、児童に対する性犯罪者の発生率は一般社会より高いんだし。
 裁判例にあるのでは、学校に相談したら、教員が否認して激怒して、保護者に土下座して謝らせた(教員はその後逮捕)という事案もありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060825-00000020-mailo-l22
容疑者は校長らの調べに対し、わいせつ行為を全面的に否認。関係者によると、学校側は生徒に「私たちは先生を信じる。あなたのことは信用できない」と告げたという。生徒はその後学校を休みがちになったが、転校も許可されなかったという。

[ハイテク犯罪・サイバー犯罪] インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書」の公表

 で、東京の偉いさんによれば、掲示板管理者の刑事責任は、当分、地方の裁判所でコツコツやれということですね。

http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060825_6.html
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060825_6_1.pdf

1 電子掲示板の管理者等が他人の掲載する情報を放置した場合の法的責任
(1)刑事上の責任
電子掲示板の管理者等が、他人の掲載した違法な情報を放置した場合の刑事責任については、実行行為を作為(違法な情報が掲載されたディスクアレイの陳列)と捉えるか不作為(他人により掲載された違法な情報について送信防止措置を行わないこと)と捉えるか、正犯と構成するか従犯と構成するか等の法的構成に関する問題があり、これらの法的構成によって問題となる点も異なるものと考えられる。17この点、電子掲示板の管理者等について他人の掲載した違法な情報に関して刑事上の責任が肯定された裁判例18は、いずれも電子掲示板の管理者等において違法な情報の流通について積極的な関与が認められる事案であり、単に違法な情報の存在を認識したが、これについて送信防止措置を行わず放置したことのみを理由として刑事上の責任が認められたものではないと解される。
したがって、現時点においては、電子掲示板の管理者等において、違法と思われる情報について単に送信防止措置を行わないというだけでは、他に特段の事由がない限り、刑事上の責任を問われるおそれが高い状況ではないと考えられる。
しかし、電子掲示板の管理者等として、他人が掲載した違法な情報の流通に対してどの程度の関与があれば積極的な関与があるとして刑事責任が認められることになるかについて明確な基準が示されているものではないため、今後の裁判例の動向等を注視する必要がある。
将来的に、電子掲示板の管理者等が、他人の掲載した違法な情報を放置していた場合の刑事上の責任について、その範囲を明確にする必要が生じた場合等においては、諸外国の法制度を参考にしつつ立法措置を講ずることの検討も必要になる可能性があると考えられる。





第5 違法な情報への対応に関する提言
インターネット上を流通する違法な情報のうち、権利侵害情報については、プロバイダ責任制限法関係ガイドラインが存在しており、権利侵害情報の判断基準等を規定するほか、法務省人権擁護局からの削除依頼又は信頼性確認団体を経由した削除依頼等の仕組みにより、電子掲示板の管理者等による情報の権利侵害性の判断を支援しているところである。
上記の取組を参考に、インターネット上を流通する社会的法益等を侵害する違法な情報に対する電子掲示板の管理者等による送信防止措置を効果的に支援する方策を検討すると、違法な情報の判断基準等を提示するとともに、違法性の判断に関して専門的知見、経験等を有する機関(組織)からの削除依頼については、仮に、電子掲示板の管理者等が違法ではない情報について誤って送信防止措置を行った場合でも、裁判所によって、送信防止措置について、当該情報の流通が違法であると信じるに足りる相当の理由があり故意又は過失がないと判断されることが期待されるような仕組みを構築することが考えられる。
具体的には、違法な情報の例示及び判断基準を提示するとともに、警察等、社会的法益を侵害する違法な情報について法令の解釈及び具体的事案における適用に関して専門的知見を有する機関からの送信防止措置依頼に対して、電子掲示板の管理者等が対応手順等を参照できる違法な情報への対応ガイドラインを策定し、電子掲示板の管理者等による送信防止措置を支援することが考えられる。

前提性犯罪と製造罪を併合罪とする裁判例

 普通、どっちでもいいと思うんですが、児童淫行罪と製造罪の場合は裁判管轄が絡むので重大問題。
 何罪との関係でも、結局、性的行為と撮影行為とが、社会見解上一個かどうかという問題なので、統一する必要があります。

奈良地裁*1(製造罪)・奈良家裁*2(製造罪−児童淫行罪)
 同一児童に対する児童淫行罪と製造罪とを併合罪として、地裁と家裁とに分けて審理した。
② 名古屋高裁金沢支部H14(製造罪−児童買春罪)
 同じく性交・性交類似行為を実行行為とする児童買春罪とは併合罪であるとされる。
③ 名古屋高裁金沢支部H17(製造罪−児童買春罪)
 同じく性交・性交類似行為を実行行為とする児童買春罪とは併合罪であるとされる。
④ 和歌山地裁H17(製造罪−児童買春罪・強制わいせつ罪)
 製造罪は、児童買春罪とも強制わいせつ罪とも併合罪である。
⑤ 神戸地裁尼崎支部H17(製造罪−児童買春罪・強制わいせつ罪)
 児童買春罪とも強制わいせつ罪とも併合罪である。
⑥ 横浜地裁H17(製造罪−青少年淫行罪)
 青少年淫行罪とは併合罪である。

こういう裁判例をみちゃうと併合罪だよね。