児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

八王子支部の量刑理由

 買春・援助交際の害悪について、詳細に判示しています。
 こういうことだと思いました。
 きっと元小説家志望の裁判官だという噂。

東京地裁八王子支部
児童がわきまえもなく金ほしさに自発的に売春を決意に、買春に被告人を誘ったとしてもこれを逡巡するのが大人の分別であるところ、・・・犯情悪い
確かに児童とはいえ婚姻年齢に達すれば肌のふれあいを求める女子も、学校に行くより男性に抱かれたいという女子も、性をひさぐ女子もいよう。
しかし不特定多数の異性と簡単に性的関係を持つ児童は、喩えていえば、砂漠の中で一滴の水を求めてさまよっているものであり、つかのまのふれあいをもとめているに過ぎない。
 このようなかりそめの関係で取り結ばれる性的結合はやがて将来において取り消しがたい汚点となって児童の悔恨事になることは必定である。
・・・
よしんば児童自ら性をひさぐような積極的行為があったとしても大人としては絶対に受けてはならないと反省している。これが大人の分別であり、理性のしからしめるところである

公園→ホテルと移動して性交等が行われた場合、買春罪1罪と評価した事例(東京地裁八王子支部)

対償供与の約束し
15日 22:00 公園内において口淫させ(性交類似行為)
引き続き16日 0:00ころ ホテルにおいて性交した
法令の適用
 児童買春罪1罪(併合罪の摘示なし)

webサーバーに対する自宅における送信・職場における送信行為(6日間)を公然陳列罪一罪と評価した事例(東京地裁八王子支部)

 サーバーの陳列として考えると、1罪になるでしょうね。
 不正アクセス禁止法の東京高裁(原田判決)は反対ですけど。

略式命令に対する正式裁判申し立てにより、地裁に正式起訴され、罰金刑となった事例(東京地裁八王子支部)

 素人っぽい理由で略式命令(罰金)に対して被告人から正式裁判請求があって、通常手続になったのですが、地裁に移送されています。
 しかし、簡裁の事物管轄は原則として罰金刑相当事件だけですが、地裁の事物管轄は無限定です。
 しかも、正式裁判請求に、刑訴法402は準用されない(最決昭31・7・5)ので、懲役刑が科される危険があります。
 そういう場合は、判決直前に、正式裁判請求を取り下げるしかないですね。 

第465条〔正式裁判の請求〕
略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。
②正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。
第466条〔正式裁判請求の取下げ〕
正式裁判の請求は、第一審の判決があるまでこれを取り下げることができる。
第468条〔正式裁判請求の棄却、通常の審判〕
正式裁判の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。
②正式裁判の請求を適法とするときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。
③前項の場合においては、略式命令に拘束されない。

第402条〔不利益変更の禁止〕
被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。

第33条(裁判権
簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
二 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪、刑法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪又は同法第二百五十二条若しくは第二百五十六条の罪に係る訴訟(第三十一条の三第一項第三号の訴訟を除く。)
簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。ただし、刑法第百三十条の罪若しくはその未遂罪、同法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪、同法第二百五十二条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条の罪、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第三十一条から第三十三条までの罪若しくは質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第三十条から第三十二条までの罪に係る事件又はこれらの罪と他の罪とにつき刑法第五十四条第一項の規定によりこれらの罪の刑をもつて処断すべき事件においては、三年以下の懲役を科することができる。
簡易裁判所は、前項の制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは、訴訟法の定めるところにより事件を地方裁判所に移さなければならない。